~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『潜水服は蝶の夢を見る』・・・

2008-02-25 00:00:44 | 映画【フランス】
技術的に完璧な出来だと思いました。
深海をイメージしたような淡いブルーとグリーンを基調とした病室の色使いも印象的。
お涙頂戴的なメロドラマ的な演出は全くない。
だからといって、淡々としていながらもドキュメンタリー風でもなかったように思える。
本音とペーソスが効いている。

だけど、何か物足りなさを感じてしまったんですよね。
それが何なのかがわからなかったので帰りの電車の中でずっと考えていたんですけど。
こういうシリアスな題材を描いたリアルファンタジーというと
私は韓国映画『オアシス』を思い出すんだけど、
私が韓国映画に全く興味がなかった頃に観て凄く衝撃を受けた(心にズシンときた)。

  『オアシス』・・・ ※私見+ネタバレ有

でも、『潜水服は蝶の夢を見る』は私の心には響かなかったんですよね。
その違いはなんだろうって・・・。
やはり“世の中の非情さ”が伝わってこなかったからなのかな?
ジャン・ドーが倒れた事による周囲(職場・家庭)の変化がリアルに描かれていたら、
自分を憐れむのをやめて“記憶”と“想像力”に希望をつなげる
ジャン・ドーの姿に説得力をもたせることが出来たような気がするのですが・・・。
エリート編集長の颯爽としたジャン・ドーと倒れた後のジャン・ドー
を演じ分けたマチュー・アマルリックの演技は素晴らしかったので。


P.S.
数年前、某映画雑誌でジョニー・デップにこの役のオファーがきているというのを読んだ時は
「この役をジョニーに演じてほしいな。」
と思ったし、ジョニーでも演じられる技量はあるとは思うけど、
今のジョニーは役者としてよりも人気が際立ってしまっているので、
この役を演じるにはリスクが大きすぎるようにも思える。
この役はマチュー・アマルリックで良かったと思いました。

2 コメント

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物足りなさ (yuan)
2008-04-06 21:41:27
BCさん、こんばんは♪

マチュー・アルマリックの演技は素晴らしかったですね。肉体を潜水服に見立てた視点も。
BCさんのおっしゃる“世の中の非情さ”という点、同感です。奥さん。偉かったなあ。
ジャン・ドゥーはかなり優遇された治療を受けていたようですし、死因の肺炎もおそらく誤嚥性(誤って食物などが気道に入る)のもので、劣悪な環境で罹ったものではないと思います。
倒れるまで仕事と家庭と愛人のある結構な生活をしていたし、見舞いに来ない愛人の電話に、妻にとんでもないこと言わせたりするかなり身勝手な男という印象が強かったです(笑)。
実際はもっと大変な闘病生活だったとは想像できますが。

彼が愛人と訪れた巡礼の町の回想シーンが印象に残っています。死を意識して人は何を思うのか・・・それを“書き残した”ジャン・ドゥーは、やはり非凡なものを持った人だったのでしょう。

マチュー・アルマリックが想像で牡蠣を食べる場面の生々しさ。「オアシス」でムン・ソリとソル・ギョングがダンスする場面の暖かさ。同じリアルファンタジーでもかなり印象が違います。
「潜水服は蝶の夢をみる」は、内面をよりリアルに出すために、どこか自己満足的な印象を受けたのが物足りなさの原因のひとつかな、と思います。
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リアルファンタジー。 (BC)
2008-04-08 21:41:00
yuanさん、こんばんは☆
コメントありがとうございます。(*^-^*

ドキュメンタリーじゃないから、闘病生活をリアルに描いてほしいとまでは思わないけど、
少しぐらい現実味のある“厳しい世の中”を取り入れても良かったのでは?と感じてしまいました。

>マチュー・アルマリックが想像で牡蠣を食べる場面の生々しさ。「オアシス」でムン・ソリとソル・ギョングがダンスする場面の暖かさ。同じリアルファンタジーでもかなり印象が違います。

そうですよね。
『潜水服は蝶の夢をみる』には“暖かさ”が感じられなかったですよね。
その辺が物足りなかったのかな?
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