《ふうさい》にはいっさいかまわないため、印象的な風貌にもかかわらず、不快感ばかりをかもしだしていた。老人がどんななりをしていたかについては、重たげな長靴までたれさがるぼろきれにしかすぎないもののように見うけられたので、ほとんど何も語ることはできない股票投資。清潔感の欠如といったら、いいようもないほどだった。 この老人の外見、そして心にひきおこされた本能的な恐怖のために、わたしは敵意にも似た気持えた。だから老人がわたしに椅子に坐るよう手振でうながし、おもねるような敬意と気にいられようとする歓迎の気持にみちる、かぼそく弱よわしい声で話しかけたとき、わたしは驚くとともに、妙な不調和を感じとって、もうすこしで体を震わせてしまうところだった。老人の話しぶりはとても奇妙なもので、わたしがとうの昔に失われてしまっていると思っていた、極端なまでのニューイングランド方言だった。わたしはまえに腰をおろした老人を仔細に観察した。 初のほうの絵を見なされ。大きな葉をはためかせてる、こげな木を見たことがありなさるか。それにこの連中ときたら。絶対に黒人じゃありませんな。たまげはてた連中じゃて。アフリカにおっても、インディアンに似とるとわしは思うとります。ほれ、ここにおるのは猿というか、猿と人間のあいの子みたいじゃが、けどこっちにおるんは何じゃろうか。こげなもん聞いたこともありませんわ」老人は画家の空想上の生物を指差していった。鰐《わに》の頭をもつ龍に似た生物だった。 「じゃが一番い實德い絵を見てもらわんと。まんなかへんにあるんじゃが……」老人の声はすこしこもったようになり、目が明るく輝いた。しかしページを繰る手は、見かけはまえよりぎこちなくなっていたが、その任務にはまことに適切だった。本は頻繁に同一ページが開かれたためでもあるかのように、ほとんどひとりでに開いた。あらわれたのは、食人の風習をもつアンジック族の肉屋を描いた忌わしい第十二図だった。わたしはまた心が騒いだが、おもてにはださなかった。とりわけ気味が悪いのは、画家がアフリカ人を白人のように描いていることだった。店の壁にぶらさがっている手足や四つ裂き部分は凄絶きわまりないもので、斧をもつ肉屋の主人はひどくふつりあいだった。しかし老人はわたしが嫌っているのとは正反対に、その図版をおおいに気にいっているようだった。 「どう思いなさる。こげなもんをご覧になったことはありませんじゃろう。わしはこの絵を見たとき、エブ・ホールトに『あんたを興奮させて血を騒がせる絵じゃな』とゆうてやりましたよ。聖書で人が殺されるようなとこ、ミデアン人が殺されるようなとこを読むとき、こげなものを考えとりましたが、はっきり思いうかべることはできませなんだ。ところが、ほれ、ここにははっきり描《か》かれとる。罪深い絵じゃとは思いますがのう。けど、わしらは皆、罪をもって生まれ、罪のうちに生きとるそうじゃありませんか。この切り刻まれとる男を見るたびに、わしはむずむずしますのじゃよ。それでいつもじいっとながめておりますのじゃ。肉屋の主人が足を切っとるところがわかりますかな。頭がほれ、その台の上にあって、片一方の腕がこっちがわ、もう一方の腕が肉の塊のむこうがわにありますじゃろう實德」
バート・ウェストが姿を消したいま、わたしだけが知っている恐怖だ。
ウェストとわたしはミスカトニック大学医学部の夏期講習に研究科生として参加しており、わが友人は死者の蘇生に通じる実験をつづけたために広く悪名をはせていた。科学の名のもとにおびただしい小動物を殺した後、異常な研究は懐疑的な学部長アラン・ホールシイ博士の命令によってうわべは中止させられてしまったが、ウェストは陰気な下宿である種の分析をひそかにつづけ、あの忘れられようもない恐ろしい一夜、無縁墓地の墓から人間の死体を掘りだして、メドウ・ヒルの奥の無人の農家に運んだのだった。
その思いだすだに忌わしい夜、わたしはウェストとともにいて、生命の化学的かつ物理的な作用をある程度まで回復させるはずの霊液を、ウェストが死体の硬化した血管に注入するのを目撃した。この試みは恐ろしい結果になり――恐怖による錯乱のうちにわたか緊張しすぎた神経のせいだと思うようになっていたのだが――その後ウェストは、何ものかにとり憑《つ》かれているという、狂おしい思いをふりすてることができなかった。その死体はそれほど新鮮なものではなかったのだ。正常な精神の特性を回復させるには、死体がまさしくきわめて新鮮なものでなければならないのは明白であり、古い農家が炎上したことでわたしたちが標本を葬ることもさまたげられてしまった。あの標本を地下に埋めてさえいれば、まだしも心安らいだものを。
そのことがあってから、ウェストはしばらく研究を断念していたが、やがて生まれついての科学者の熱意がゆっくりと甦るにつれ、またしても大学の教授たちをうるさがらせるようになり、どうあっても重要だと思う研究のために、解剖室と新鮮な解剖用死体の使用を認めてほしいと訴えた。しかしその訴えもまったく無駄におわってしま航天科技った。ホールシイ博士の決定は動かしがたいもので、他の教授たちも一人残らず学部長の判断を支持したからである。蘇生という過激な理論に、教授たちは若い情熱家の未熟な奇想以外の何物も認めず、それに加えてウェストのこがらな体、ブロンドの髪、眼鏡をかけたブルーの目、やさしい声は、冷徹な頭脳に尋常ならざる――ほとんど悪魔的ともいえる――力が秘められていることをほのめかすものではなかった。わたしは当時と同様、いまもウェストをありのままに見ることができる――そして震えあがってしまうわたしなのだ。ウェストは顔つきがけわしくなっていったが、老けこんだわけではなかった。そしていまセフトンで不幸な出来事がおこり、ウェストは姿を消してしまった。
ウェストは学部の最終学期の終了間際になって、ホールシイ博士と意見を対立させたが、礼儀の点では温厚な学部長に対して面目を保つものではなかった。ウェストは重大きわまりない研究が不当にもいわれなくさまたげられていると感じたのだ。もちろんこの研究は後に気のすむようにおこなえたわけだが、大学の特別な設備が利用できるあいだにはじめたいと願っていたのである。伝統に縛られる年長の教授たちがウェストの異常な動物実験の結果を無視して、蘇生の可能性を断固否定しつづけたことは、ウェストのような論理的な気質の若者にとって、言葉にあらわせないほどいまいましく、およそ理解できないことだった。ウェストももっと成熟していれば、「学者先生」タイプの根深い知的限界が理解できただろうに――彼らは何世代にもわたってつづく感傷的な清教徒気質の産物で、慈愛深く、良心的で、ときには寛大で愛想もいいが、常に狭量、頑迷、因習にとらわれ、長期の展望に欠けているのだから。時代はこれら不完全ながら志の高い者たちに寛容だが、彼らの最大の悪徳は小心さであり、とどのつまりは知的罪悪――たとえばプトレマイオス説、カルヴァン説、反ダーウィン説、反ニーチェ説をはじめ、ありとあらゆるたぐいの安息日厳守主義や奢侈《しゃし》禁止法といった罪悪――によって、世間一般から莫迦《ばか》にされて罰せられるのだ。若いながらも驚嘆すべき科学知識をもつウェストは、善良なホールシイ博士やその博学な同僚の教授たちを腹にすえかね、い
ってしてもまったく理解できない方言を使っていた。働いている者はもっぱら港湾労働者や無許可の行商人のように生計をたてていたものの、しばしばギリシア料理のレストランで給仕をしたり、街角の新聞売店で店番をしたりすることもあった。しかし大半の連中はとりたてて職ももたず、密輸や「酒の密売」以外は記すこ回收價ともはばかられる、暗黒街の営みにかかわっているようだった。彼らはどうやら不定期貨物船でやってきて、月のない夜にボートに移されると、とあみ、隠された運河伝いに、ある住居の地下にある秘密の池まで行くのだ。マロウンがこの岩壁も運河も住居もつきとめられなかったのは、情報提供者たちの記憶がはなはだ混乱しているばかりか、その話の内容たるや、最も優秀な通訳にしたところでほとんど理解できないようなものだったからで、かくも組織だった密入国をくわだてるべき理由についても、具体的な情報は何一つ得られなかった。情報提供者たちも出身地の正確な場所となると口を閉ざし、自分たちを探しだして行動を指示した組織を明かすほど、十分に警戒を解くこともなかった。事実、ニューヨークにあらわれた理由をたずねられると、何か激しい恐怖のようなものをつのらせるばかりだった。他の人種のならず者たちも同様に口数が少なく、ようやく集めえた最大限の情報によると、彼らは神か大司祭のような者によって、見知らぬ国での前代未聞の権力と、尋常ならざる栄光や支配者としての地位を約束されたものらしい。
サイダムの警戒厳重な夜の集会には、新参者と古くからのならず者の双方が、きわめて規則正しく出席しており、警察がまもなくつきとめたのは、かつての隠者が別にいくつかフラットを借りうけ、合言葉を知っている者たちに提供しているばかりか、あげくには三軒の家屋を占有して、奇妙な取り巻きの多くを常時かくまっている事実だった。サイダムはもうフラットブッシュの屋敷で暮すこともなくなり、書物をとりだしたり持ちかえったりするためだけに出入りしているようで、その容貌や振舞が驚くほど荒あらしいものになっていた。マロウンは二度にわたってサイダムから話を聞こうとしたが、いずれの場合も木で鼻をくくったような態度ではねつけられた。謎めいた陰謀にせよ動向にせよ、そんなものについては何も知らんし、クルド人たちがどうやって入りこんだのか、何を求めているのかなど、見当もつかんというのだった。この地区の移民すべての民間伝承を、誰にも邪魔されずに調べようとしているだけなのだから、警官がいらぬおせっかいをやくものではないともいった。マロウンはカッバーラー等の神話に関するサイダムの小冊子を賞讃したが、老人が表情をなごませたのはつかのまのことにすぎなかった。サイダムが私事に立ちいられていると思い、話をつづけることをあからさまに拒否したため、マロウンもうんざりしてひきあげ、他の情報源にあたることにした。
マロウンがそのまま事件の捜査をつづけていたら、はたして何がつきとめられていたかは、誰にもわからないことだが、事実をいえば、市警と連邦捜査局のあいだに愚かしい意見の対立があって、捜査は数ヵ月にわたって中断し、その間マロウンは他の任務に忙殺されていたのだった。もっとも一度とて事件に関心碳酸面膜をなくしたことはなく、ロバート・サイダムにおこりはじめた変化に驚かないわけがなかった。誘拐と失踪《しっそう》が頻発してニューヨークが興奮の波に呑
これまでのところ草は汚染されていないようで、牛たちは家の近くで自由に草を食《は》んでいたが、五月も末になると、乳がひどいものになりはじめた。それでネイハムが牛たちを高台に移
すと、それからはこの問題はなくなった。その後まもなく、草や葉の変化が見た柏傲灣呎價目にもはっきりわかるようになった。草や葉が灰色にかわり、妙にもろいものになってしまったのだ。ネイハムの
家を訪れるのはいまではアミだけになってしまい、そのアミまでもが次第に足を遠のけはじめた。学校が夏休みになると、ガードナー家の者たちはまったく世間から切り離されてしまい、街に用
事があるときは、無理をいってアミの力をかりる始末だった。ガードナー家の者たちは肉体的にに弱っているようで、ネイハムの妻の狂ったことがいつのまにかあたりに知れわた
っても、驚く者は誰もいなかった。
隕石が落下して一年目になろうかという六月に、あわれなネイハムの妻は、いいようもないものを宙に見て、悲鳴をあげたのだ。うわごとをいっているときには、具体的な名詞をまるで口にせ
ず、動詞と代名詞だけを口走った。何かが動き、形をかえ、ひらひら飛んで、音ではないものがひびいて耳がうずくといった具合だ。何かがとり去られた――何かが吸いとられている――ついて
はいけないものがくっついている――誰かにとってもらわなければ――夜にじっとしているものは何もない――壁も窓も動いている。ネイハムの妻はこんなことをいっていた。ネイハムは妻を郡
の精神病院に入院させることはせず、誰かに害をおよぼすということがないかぎりは、自由に家のなかを歩きまわらせた。妻の顔つきがかわったときでさえ、何もしなかった。しかし子供たちが
おびえるようになり、タデウスが母親の形相《ぎょうそう》にあやうく失神しかけることがあってからは、妻を屋根裏部屋に閉じこめることにしたYumei好用。七月になると、妻はしゃべることもやめ、四
つん這いになって這いまわりはじめ、その月が終わらないうちに、ネイハムは妻が闇のなかでほのかに光るという狂った考えをもつようになった。もういまでは、近くの植物にはっきり見えるよ
うになっていた輝きと、おなじように。
このすこしまえのことだが、馬たちが逃げだしてしまうことがあった。ある夜、馬たちは何ものかに眠りを破られ、厩《うまや》のなかでいななく声と蹴りたてる音といえば、それはもうすさ
まじいものだった。馬たちが静まる気配もなく、ネイハムが厩の扉を開けると、おびえきった森の鹿のように、一頭のこらず飛びだしてしまった。四頭の馬をすべて見つけるには一週間かかり、
ようやく見つけだしてみても、まったくつかいものにならない、手におえない馬になりはてていた。馬たちは狂ってしまい、ネイハムは馬のためにも撃ち殺さなければならなかった。そして干草
づくりのため、アミから馬を一頭かりたが、その馬はどうしても納屋に近づこうとしなかった。あとずさり、立ちすくみ、低くいななくので、ネイハムとしても庭に連れていく以外どうすること
もできず、干草を投げこめるよう、二階に干草置場のある納屋の近くまで、子供たちとともに重い馬車を押さなければならなかった。こんなあいだも植物は灰色にかわり、もろくなっていった清晰微笑激光矯視中心。
不思議な色をしていた花さえも、いまでは灰色になってしまい、果実は灰色にかわって小さくなって、味もなくなった。シオンやアキノキリンソウも灰色になって形を歪め、前庭のバラやヒャク
ニチソウやタチアオイが不気味な姿になりはてたので、ネイハムの長男
ている空間の渦を。そしてそれらすべての彼方に、黯黒《あんこく》の底知れぬ深淵を垣間見た。固体であれ流動体であれ、風のような揺らぎによってのみ存在が知られるだ口服 避孕 藥けの深淵では、雲のような動きをする〈力《フォース》〉が混沌に秩序を付与し、われわれの知る世界の秘密と矛盾を解く鍵を示しているようだった。
するうち突然、心がむしばまれるような漠然とした不安が高まって、呪縛がたちきられた。ブレイクは、恐ろしいほど一心に自分を見つめる、何か得体の知れない異界的な存在を間近に意識して、息がつまり、多面体から目をそらした。何かにからみつかれているような気がした――多面体の石のなかに潜んでいるのではなく、石を通してブレイクを見つめている何かだった。それは視覚ではない認識力でもって、どこまでもブレイクを追ってきそうだった。どうやら、その場の雰囲気がブレイクの神経を高ぶらせていたらしい――恐ろしいものを見いだしていたのだから無理もないだろう。光も弱まっていたし、灯になるものは何ももっていなかったので、すぐに立ち去らなければならないことがわかった。
そのときだった。ブレイクは、深まりゆく暮色のなか、狂ったような角度をもつ多面体の石に、かすかな光を見たように思った。目をそらそうとしたが、何やら有無をいわせない力がブレイクの目を石にひきもどした。石には放射性の微妙な燐光があるのだろうか。死んだ記者のメモで輝くトラペゾヘドロンにふれたくだり[#「くだり」に傍点]は何を意味している均衡飲食のだろう。ともかく、記者が調査をはたせなかった宇宙的な邪悪の根城とは、いったい何なのか。かつてここではどんなことがおこなわれたのか。鳥さえ避ける闇のなかになおも潜んでいるかもしれないものとは何なのか。ブレイクがそんなことを考えていると、どこか近くからかすかな悪臭が漂ってきたかのような感じがしたが、その発生源はわからなかった。ブレイクは長いあいだ開かれたままになっている箱の蓋をつかみ、勢いよく閉めた。風変わりな蝶番によって蓋、見まちがえようもなく輝いている石の上で、完全に閉まった。
蓋の閉まる鋭い音がしたとき、引き戸の彼方、常闇《とこやみ》につつまれる頭上の尖り屋根から、かすかなざわめきが聞こえたようだった。もちろん鼠にちがいない――ブレイクが足を踏みこんで以来、この呪われた建物で存在をあらわにした唯一の生物は、鼠にちがいなかった。しかし尖り屋根でのざわめきを耳にしたことで、ブレイクは怖気立ってしまい、半狂乱になって螺旋階段をくだり、薄気味悪い身廊を走り抜け、穹窿天井《ヴォールト》をもつ地下室にもぐりこみ、闇のつどう無人の広場にとびだすと、健全な大学地区の街路と故郷をしのばせる煉瓦敷きの舗道とを目指して、フェデラル・ヒルの恐怖がとりつく雑然とした小路や大通りを駆けおりていった。
その後数日間、ブレイクは遠出したことを誰にもいわなかった。そのかわり、特定の本をたんねんに読み、下町で長期間にわたる新聞のファイルを調べるとともに、蜘蛛の巣のからむ教会付属室からもち帰った革装釘の本をまえにして、熱にうかされたように暗号の解読にとりくんだ。暗号が単純なものでないことはすぐにわかった。長いあいだたゆまず努力した結果、もともとの言語が英語、ラテン語、ギリシア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語のいずれでもないことが確信できた。どうやらブレイクは、尋常ならざる知識の奥深い源にまで目をむけなければならないようだった。
毎日夕方になると、西のほうを眺めたいという例の衝動がぶりかえし、ブレイクはかつてのように、なかば幻めいた遠い世界のひしめく屋並の只中に、黒ぐろとした尖り屋根を見た。しかしいまでは、ブレイクにとって、尖り屋根は新たな恐怖の調べをたたえていた。ブレイクは教会が邪悪な学問と抗衰老護膚品いう遺産を秘め隠していることを知っており、その知識のままに、目にうつる景色が奇妙な新しい様相を呈しはじめた。春の鳥たちがもどってきていたが、ブレイクは夕暮に飛ぶ鳥たちを眺めながら、鳥たちが蓼々《りょうりょう》として不気味な尖り屋根を避けているように思った。そんなことは以前にはなかった。鳥の群は尖り屋根に近づきかけると、おびえたように旋回したり、散りぢりになったりするのだった。相当な距離があるので耳にとどくことはないものの、ブレイクは鳥たちがきっと激しいさえずりをあげているのだろうと思っていた。
ブレイクが暗号の解読に成功したことを日記に書きとめるのは、六月になってからのことだ。もとの言語は、太古から存在する邪教宗派の用いる、一般には知られないアクロ語で、ブレイクは以前おこなった調査からいくぶんかはその言語に通じていた。解読された内容につい