憔悴亭 sunny side

ほとんどアニメとゲームの感想ばっかりのブログです。ネタバレあり。                          

『どきどきポヤッチオ』プレイ中

2007-02-12 06:40:35 | Weblog
 GTA・SAですっかり荒んでしまった心を癒すべく、押入れの奥からなつかしのPSゲーム『どきどきポヤッチオ』を引っ張り出してきて遊んでいる。

 それにしても、同じ箱庭ゲーといっても『GTA』と『どきポヤ』では、方向性が180度違っていて、いまさらながら驚いてしまう。米国と日本で、同じように自由度を追及して開発したゲームの内容が、ここまで違ってくるとは…。GTAシリーズは発売されるやたちまち大人気となり、海外でのプレイステーション2普及の原動力ともなったソフトで、現在も新作が制作され続けているが、『どきどきポヤッチオ』は発売当時(1998年9月)一部で評判になったものの、その意味不明のタイトルもあってか売上は振るわず、むろん続編など制作されるはずもなく、今ではほとんど忘れ去られようとしている。いうなれば「不遇の名作」といっていいソフトだと思う。

 最近では(昔から?)『どきポヤ』を知る人もほとんどいないような状況なので、ゲームの内容をざっと説明すると、『ワールド・ネバーランド』とか『どうぶつの森』タイプの箱庭ゲーで、プレイヤーは主人公の少年となって夏休みを田舎の村で過ごし、そこで出会う人々とのコミュニケーションを楽しむ、というゲームだ(それだけ聞くと『ぼくのなつやすみ』みたいに思えるかもしれないが、発売は『どきポヤ』のほうが2年近く早いし、自由度もはるかに大きい)。
 その村「プエルコルダン村」には従姉妹のお姉さんの経営するパン屋「コロッセル」があり、主人公はそこに滞在し材料の仕入れとパンの配達を手伝うことになる。プレイヤーは基本的に何をやっても自由なのだが、毎日お姉さんの仕事を手伝わなければならない。もちろん真面目にパンを配達するか、サボってどこかに遊びに出かけてしまうかは、プレイヤーの遊び方次第。ただ、パンの配達というのは、村に住む人々(老若男女さまざまな人たち)との接点を得る装置として機能しており、毎日いろんな人々へパンを配達することで、自然にみんなと知り合いになり、村に溶け込めるようになっているため、やっておいたほうが賢明だ。第一、美人のお姉さんに「お願いね!」と頼まれては、男子たるものイヤとは言えないだろう。

 主人公が出会う村人達もみなユニークで、それぞれが独自の生活パターンを持っており、AIによって自律的に行動している。プレイヤーの操作する主人公とは関係なく、村人達同士で道端で雑談したり、いっしょに遊んでいたりもする。よって、村人達がどんな行動をとるかを正確に予測することは、ケッコウ難しい。せっかくパンを配達しに家を訪れてもタイミングがずれると、本人は外出中だったりして、村中を探し回って歩く羽目になったりする。効率よく配達するためには、村人の行動パターンをある程度知る必要があるのだ。なんて書くとちょっと大変そうだが、小さな村で人口も少ないため、何度か配達すればすぐに大体の見当がつくようになる。あの人はたいてい朝早く出かけてしまうから、真っ先にパンを届けなきゃ、みたいな…。そもそも一日に配達するパンの数はわずかだから、慣れれば簡単に終わらせることが出来るようになる。その後は夕食までの間、友達と会話したり、洞窟探検に出かけたり、珍しい木の実を採取したり、かわいい女の子に花をプレゼントしたり、何をやっても自由だ。イベントも大小あわせて1000近くあるので、二度や三度エンディングを迎えたぐらいではとても見きれない。

 このゲームの目的は、村での生活を楽しみながら、個性豊かな6人の少女と仲良くなること。こう書くといわゆる恋愛ゲーみたいに思われるかもしれないが、それほど濃いものではなく、恋愛要素は夏休みの思い出を美しく残すためのスパイスのようなもの、といった方がいいかもしれない。ちなみに少女達は、魔法少女、機械オタクのメガネっ娘、釣り好きな元気少女、読書好きで病弱な少女などなど…、プレイヤーのさまざまな嗜好に応えられるバラエティに富んだ布陣を誇っているw。それよりもこのゲームの真の魅力は、エンディングを迎え自分が村を去った後も、村人達はそれぞれの日々を送っていくに違いない、と思わせるほど緻密で丁寧な作り込みにあるのだと思う。とくにグラフィックは秀逸で、ドット絵のキャラクターがちまちまと動くさまは、見ていて本当に微笑ましい。1万パターンのキャラクターアニメーションというのもうなずける細やかさで、ポリゴンでは決して表現できないドット絵師の職人技を心ゆくまで堪能することが出来る。
 <余談だがドット絵の美しさは、今となっては日本製ゲームの数少ない強みの一つなのだから、なんでもポリゴンで表現するのはやめて、ドット絵を見直して欲しいものだ。>
 また物語の設定自体も凝っていて、村での生活はのんびりしているが、その背景には戦時下(帝国と王国が紛争中)というものが強く反映されていて、村人の会話の端々からもその影響が感じられたりする。そのため物語に緊張感が生まれ、リアルな世界観を作り上げる一助にもなっている。

 とまあ『どきポヤ』の特長をいろいろ述べてきたが、発売されたのは今から8年以上も前だし、グラフィックも今のゲームに比べると地味で見劣りしてしまうのは否めない。ゲーム自体も人を選ぶたぐいの物だし、無責任に「面白いから」とお勧めすることは出来ない。ただ、このユニークなゲームがこのまま埋もれてしまうのはあまりにも残念なので、あえて紹介させていただいた。最近では中古市場でもほとんど見かけなくなってしまった『どきポヤ』だが、もしどこかで安く売っているのを見かけたら、騙されたと思って購入して遊んでみるのもいいのではないだろうか。(購入後の苦情は一切受け付けませんw)

P.S. 無理なことだとは思うが、このゲームの続編、もしくはリメイクをPS3で出してくれたら(もちろんドット絵キャラで!)、ものすごく嬉しいんだけどなぁ。あ無理ですかそうですか。

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