初デート

前回の続きである。くどいようだが決して笑わないように。

さて、前夜にチューの練習も終え、キザなセリフも2～3つほど頭に叩きこみ、
あらゆるシーンをシミュレートし万全の態勢でデートに臨んだはずだったんだけど‥‥

結論から先に言うと‥‥

ほとんど彼女と言葉を交わす事なく初デートは終了してしまったのだ！

待ち合わせ場所のバス停に（あえて）少し遅れて行くと、すでに彼女は来てたんだけど、また私服姿が超可愛くて！！

あまりに可愛い過ぎるもんだから、ただでさえ緊張気味だったのが、さらに緊張で身も心もまさにガチガチになってしまった！

「お、おっす‥‥」

これがこの日の午前中に俺が発した最初で最後の言葉である。

照れくさくて、とてもではないけどバスの隣の席になんぞ座れたもんじゃない！

デートなのに、思いっきり離れた場所に座ってしまったではないか！

いきなりスタートでの大コケが尾を引き、この日は最後までこんな感じだった。

プラネタリウムの席も当然のように別々‥‥

プラネタリウムが終わると食事もする事なく、また別々の席でバスに乗って、はいサヨナラ！

「じ、じゃあな！」この日の午後に俺が発した最初で最後の言葉である。

最悪だ！何やってんだか‥‥

こうして、この日の為にいろいろ練習したり、シミュレーションしたり、妄想したりした事全てが水の泡となったのだった‥‥

家に帰って猛烈に後悔したしたものの、すでに後の祭りである。

チューの練習に使ってカピカピになってしまった俺の枕は、今度は俺の涙でさらにカピカピになったのであった。

結局、Aちゃんとのデートはこれが、最初で最後になってしまった。

リベンジを果たす事なく、それから半年後に別れてしまったのだ。

中学を卒業してからは、Aちゃんとは今日まで一回も会っていない。

遠い日の苦い思い出だ！

今笑っただろ？

でもまあ許す。

本人が書きながら笑ってんだからしょうがないわな～（笑）

完。