小説

統合失調症

001_006 キツさんが気になる

2017-08-22 16:53:28 | きち小説

他にも何名かのホームレスの方をインタビューして、
ぐったりとした表情で新宿からの帰路に着いたぼくだったけれど、
やはりキツさんの話が非常に気になった。

疑い深い性格というよりも、人の嘘に対して非常に敏感だという印象を受けた。

ホームレスになる前にはどんな仕事をしていたんだろう。
ホームレスになったから疑い深くなったのかな。


正直なところ、キチガイ系ホームレスの方への取材は諦めようと考えている。
駅の連結地下道で排泄をしている人や、隣にいる事さえ不可能なレベルで臭い人。
そのような人達にも人生はあるだろうけれども、取材も困難な気がしている。

その点でキツさんは違うように思った。
キチガイ系と言われても全くそう思わなかったし、
むしろインテリさがにじみ出ているようで、不思議な魅力もあった。

多分だけれども、キツさんが裸足じゃなければホームレスだとは思わなかっただろう。


ーー疲れた身体のぼくは温いシャワーで汗を流すにとどめた。

疲れた時にはクーラーを効かせた部屋で裸だ。
これだけは止められない。
風邪を引こうが構わないからこその至高な時間と言えるだろう。


そうだ。
ただ漠然と取材をしていても、単発原稿しか書けない・・・。
それならばキツさんにフォーカスを当てて大きな記事を書くのもありかもしれないな。

それには問題が一つ。
ホームレスの人の取材をしていて分かった事だけれども、
ホームレスだからこそ他人との接触をほど嫌う人が多いって事だ。

キツさんだって例外じゃないはずだ。
しつこく追い回す訳にもいかないし、かと言って密に連絡が取れなければ話にならない。


今日の明日で新宿に行ったとしてもダメだろう。
連日同じホームレスの人に話を聞いたら、嫌がられて殴られるのがオチだ。


さてどうしたものか。
今後の予定も定まっていないし、悩ましい所だなぁ。

とりあえずはデスクに進捗と今後の相談も兼ねてアポを取ろう。
それで今日はぐっすり寝て心地の良い時間を過ごす事にする。
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