銘木アトリエEq

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生存15日目 2020/05/04

2020-05-04 07:11:10 | 過去の執筆など


<布団で紡がれる記憶>

ワシは活動を続けられる時間が凡そ2時間程度だ。もちろんメスチノンちゃんを服用している事が前提となるがな。2時間起きて1時間寝る。最低でもその様な生活をしないと身体が持たない、厄介な身体だ。疲れを取る為にも横になっている事が多い訳だが、いつでも睡眠が取れるほど便利には出来てない。寝られる時もあれば、全く寝付けない時もある。

ーー布団で色々な体勢を取るべく、小刻みに動くおじさん。

目を閉じて窓からの風を感じると、今までに行った場所が思い出されるんだ。北海道ツーリングで訪れた開陽台のこと、沖縄旅行で行った垣花樋川のこと、初めて登った山の麓でキマワリを見つけたこと、思い出される記憶はてんでランダムよ。けれども、思い出された映像と共に、生ぬるい風の感覚や空気のにおいすら蘇って来る。身体が動かなくなっても、いつだって旅行しているようなもんだ。

現実逃避の具現化かもしれんね。今の生活から逃げ出したい願望から、脳がビジョンを結んでいるだけかもしれない。身体が満足に動かなくなった今でも、家にいながら楽しかった気分になれるなんて面白いでしょ?火の鳥に出てくるムーピーゲームみたいじゃん。ムーピーのタマミはいないけれど、ワシの布団は世界中どこにでも行けるペケペケドアの入り口になってるんだろうね。


ーー壁に頭を押し付けて横向きに寝るおじさん。目を閉じて何やら記憶に酔っているようです。

ん。この生暖かいながらも風通しの心地よい坂道。街路樹の木漏れ日を浴びて坂道を登って行けば国立精神神経センター国府台病院だ。良く覚えてる。夏場は暑かったなぁ・・・そうだ、公園とグラウンドの横を通り抜けると鬱蒼と森が広がっていたや。懐かしいな。

そういや病気の診断が付かなくて苦しい時に見たのは国府台病院の夢だったかな。記憶旅行とは違うけれども、たった半年の病院実習がワシを助けてくれたと考えられるのか。あの頃お世話になった技師さんや先生がた、看護師さんたちは元気にしてるかな。おっかない技師長だったな。けど細菌が好きで色々と教えてもらったなぁ。懐かしい。

ーー病院の夢とおじさんの病気に何の関係があるのでしょうか。

本当に病気が辛くて、方々の病院の先生に診てもらっても原因が判明しなかったんだ。明らかに身体がおかしい、心因的な問題ではなくて身体が動かない。首から上と腕に掛けてが明らかに異常だったので、首に異常があるのかと思ったんだ。その日は整形外科に行って相談しようと考えていたかな。んで、明け方に国府台病院の夢を見たのよ。今は名称も変わっているはず、何て名前かも分からない。けれどもワシが実習に行っていた病院の夢だ。

病院実習で半年間通ったよ。その病院ごとに得意な疾病なんてのがあって、それを学ぶ事も実習の意義だったね。ワシは精神神経センターだったから、精神の病気や神経の病気について凄く沢山の勉強をしたわけ。その夢の中で出て来た場面は、産婦人科の横の入り口から入ってトイレの横を抜けると、右手に喫煙所。その反対側に階段があって階段を上ったかな。誰もいない広い廊下を抜けると左手に検査部があった。ドアを開ければ右手に生化学検査室、左手に細菌検査室だ。今でも全ての間取りを覚えてる。間取り図を書く事も何ら困難はないよ。ワシの記憶の中では面識を持った技師さんも先生も、みんな当時のままの顔で覚えているのよ。

ーー記憶力が良いという事でしょうか。

誰だって経験してきた事や会った人、通った道、なんでも覚えてるでしょ。何ら特別な話でもないさ。んで、検査部の扉を左手にしてまっすぐ進むと、病棟に繋がってたね。病棟に入ってからの最初の扉が左手にあって、そこを入ると神経難病の方たちがベッドに寝ている映像が思い出される。一度しか入った事が無いけれど、ALSって病気の人たちだったね。そんな病気があるんだ・・・と当時は勉強したな。

身体が辛くて、精神も連れて辛くなって、もう誰かに助けて欲しい時期だった。色々な病院に行っても良く分からないで金ばかり飛んで行く。そりゃ精神もおかしくなるわな。そんな時に見たのが国府台病院の夢。今の辛い状況は、もしかしたら国府台病院に行けば原因が分かるんじゃないか。そう感じた。けれども伝手も何もない。紹介状も金が掛かる。それで思いついたのが、神経内科のクリニックを探す事だった。なるべく近場、交通費の掛からない所でね。

ーー神経内科のクリニックに行った訳ですか。

そう、ダメ元で神経内科を受診した。血液を採って重症筋無力症の診断が付いたよ。すぐに大学病院に紹介状を書いてもらって、今の主治医にかかっているという訳。

ーー夢のお告げという物なのでしょうか。

オカルトの話は信じないし、よく分からない。理由を付けてオカルト小説を書く事なんていくらでも出来るけど、そんなのはもっと健康な奴が書けば良いんじゃないかね。ワシが書くような話でも無いさ。でも依頼が来ればもちろん書きますよ!お気軽に連絡・相談して下さいね!

bartonella@mail.goo.ne.jp まで。





色んな仕事をしてきた。医療機器から健診業界、製薬業界やらプログラマまで色々やったよ。会社の人事担当なんてのはシンプルなもんで、こんな紙っぺら一枚で騙されちゃうの。ワシがどれだけ社会不適合者かなんて見抜ける訳がないさ。口先だけで生きて来たワシにとっちゃ朝飯前だからね。そういう意味ではゴミみたいな資格だけど、ワシを助けてくれたのかもしれんね。

今じゃワシも統合失調症と重症筋無力症の二つを持つ病人さ。他にも国家資格やら認定資格なんざいくつか持ってる。けどよ、頭も動かない、身体も動かない。そんな状況で過去の栄光なんて何の役に立つかね。あくまで記憶の1ページに過ぎないじゃんか。ワシの人生経験を元に、これから何が出来るか、何をするのかが問われる時なのさ。

ーーまた資格が何かしらの役に立つと良いですね。

こんな免状コピー如きが仕事に繋がるなら嬉しいね。ワシに箔が付くならどんどんコピーしちゃうよ?お安い御用だ。


さてと。妄想はこの程度にして、金を稼ぐ為の現実に戻りましょ。ね。



~~現実逃避おじさん、たしかに夢ばかり見ていても仕方ないですね。~~



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