時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

真向かいにあった同業ライバル店

2020年04月26日 | 懐かしい系、あれこれ

 

小学校時代、学校から駅へ続く道は商店街で、その中には文具店もあった。

文具店は2店あり、しかもその2店の文具店は向かい合っていた。

1店は古くからあった店で、店構えは古臭く、小さかった。おばちゃん姉妹がきりもりしていたのだが、店番は姉妹が交代でやっていた。照明は暗く、どこか「穴蔵」のような雰囲気で、決してこぎれいな店ではなかった。

どこか、駄菓子屋みたいな雰囲気もあった。

 

で、もう1店のほうはあとから出来た店で、新しい店らしく店構えがきれいで、照明が明るく、清潔で明るい雰囲気だった。

 

その新しい店ができるまでは、商店街には文具店は1店だけだったので、選択の余地はなく、その古い店を私は使っていた。

だが、新しい文具店が出来てからは、どちらの店も私は利用し始めた。

ある意味、バランスよく利用してた・・・といえるのかもしれない。

 

ただ、新しい店のほうに入っている時、私は背後に視線を感じた。

その視線は、向かいの「古い文具店」の奥のほうに座っているおばちゃんの視線であった。

ジ~~ッとこちらを見ていた。

これが子供心に妙に気まずかった。

 

私としては、どちらの店もえこひいきなくバランスよく利用してるつもりだったのに。

 

まあでも、古い文具店のおばちゃんにとっては、その新しいお店になじみ客を奪われたような感覚だったのかもしれない。

 

バランスよく利用・・・といえば聞こえはいいが、どっちつかずだったのかもしれない。

でも、客がどの店を利用しようと、それは客の勝手である。

必要な時に必要な店を使えばいい・・・と割り切れればよかったのだが・・。

 

なまじ、2店の文具店が向かいあって建っているからいけないのだ・・・と、何度も思ったもんだった。

 

新しく出店した文具店は、なにも真向かいに文具店がある立地に店を出さなくてもよかったのに・・・。

せめて、斜め向かいか、同じ列側に出してくれれば、私がその店にいる姿を真向かいの店から丸見えにならずにすんだのに。

 

「裏切り者」みたいに思われてるんじゃないか・・・と、しなくてもいい心配をした私は、その後だんだん・・・古くからある文具店のほうに戻っていくようになった。

視線に負けたわけだ、私は。

 

まあ、そうなると今度は、その古い文具店の中にいることを、真向かいの「新しい文具店」のオヤジさんから丸見えなのだが・・・。

新しい文具店のおやじさんの視線も気にはなったのだが、なぜかその視線に負けることはなかった。

それには理由があった。

 

古い文具店は、売られている商品の種類が多かったのだ。というより、そこで売られていたのは、文具だけではなかったのだ。これが大きかった。

 

新しい文具店のほうは、文具専門で、そのぶん文具の品ぞろえは、古い文具店に勝っていたはずだ。

文具だけを買うなら、その新しい文具店の固定客になったほうがいい。

 

だが、古い文具店は、文具の品ぞろえは新しい文具店に負けるものの、文具のほかに様々な玩具も売っていた。

かるた、昆虫採集セット、ボードゲーム、プラモデル、シール、花火、ぬりえ、ほかほか。

 

 

店先には、季節に即した玩具が、店先の一番目立つところに陳列されていた。

夏休みが近づけば花火セット、昆虫採集セット。正月が近づけば、かるた、ボードゲームなど。

 

これが、小学校に通学する子供にとっては、アピール度が強力だった。

 

町には玩具店もあったが、玩具店のほうは、少し敷居が高く感じてた。

お店に入るには、ドアをあけて、店内に正式に(?)入っていかねばならなかった。

なので、「買う」という前提がないと、入って行き辛かった。

もちろん、玩具専門店だから、玩具の種類や数は、前述の文具店よりも多い。

だが、ドアをあけて店内に入らなきゃいけないというのが、敷居が高く感じたのだ。

なので、その玩具店に入るには、ドアごしに、店内を覗き、自分の欲しいものがあるかどうかを確認して、それを買えるお金を持ってる時に、満を持して店内に入っていき、商品を買ったわけだ。

 

だが、前述の古い文具店の場合は、玩具類は店頭におかれ、しかもそれが道を歩く人からよく見えるように置かれていた。

今考えると、それが強みだったんだと思う。

 

子供が欲しがりそうな商品を、一番道路ぞいの店頭に並べ、触ろうと思えば触れる状態で売られていたことが。

 

その古い文具店は、玩具屋と文具店が合体したような店で、店頭に玩具を並べ、店の奥のほうに文具を揃えていた。

文具を買う場合は、店の中に入り、奥まで行って買う。

文具を買う場合は、すでに子供は「買う」気でいるから、つかつか店の奥にも入っていきやすいわけだ。文具を買う場合は、親もお金を出してくれやすいだろうし、全体的に玩具よりも文具のほうが安い場合も多いし。

 

一方、玩具の方は、文具ほどには子供には気楽には買えないだろう。裕福な子供でもない限り。

ただ、その時買うお金がない子供でも、店に引きつけることはできる。

店頭なら、ひやかしで見ることもしやすい。

ひやかしで見て、「これは欲しい」と子供が思ったら、後日お金を用意できた時に来ればいい。

 

考えてみれば、店頭に文具を並べるより(例えばノート、鉛筆など)、ボードゲーム、かるたなどの玩具を並べたほうが、子供の関心は引きやすいよね。

 

 

文具だけでなく、店頭に玩具を並べてる・・・その魅力があったから、私はやがてその古い文具店の顧客に戻っていったのだと思う。

 

新しい文具店の顧客になり、古い文具店の奥のほうから「裏切り者」みたいに思われたら、何か欲しい玩具が古い文具店の店頭に並んでも、買いづらくなりそうで、それは避けたかった・・・きっと私はそう思ったのだろう。

 

今では文具は、昔とは比べられないぐらいファンシーな文具もあるし、面白い文具もある。

面白い文具、ファンシーな文具なら、店頭に置いてても客目を引くことも可能だろう。

 

だが、昔の「町の小さな文具屋」では、文具はどの文具屋でも売ってそうなものしか置いてなかったのだ。少なくても私の町ではそうだった。

だからこそ、玩具で客目・・というこ子供の関心を引くのは有効だったのだろう。

 

 

ちなみに、私の小学校時代の町の通学路にあった2店の文具屋は、今どうなっているかというと。

後にできた「新しい文具屋」は今では建物ごどなく、代わりに小さなビルが建っていて、文具屋はない。

その真向かいにあった「古い文具屋」は、とうにおばちゃん姉妹は亡くなったようで、小さな店舗自体は残ってるものの、シャッターがずっと閉められたままだ。営業再開しそうな気配はない。いずれ全然違う種類の店が入るのかもしれない。

あるいは、現在、どこかの店の倉庫にでも使われているのかもしれない。

 

 なお、トップの写真は、あくまでもイメージです。その店そのものではありません。

 

 

 

 

 

 


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (キャプテンゼロ)
2020-04-26 22:25:02
文房具屋さんにも、なつかしい思い出が多いですね。
ボクの住んでいた町にも、小学校のそばに2軒、商店街に1軒ありました。

子供の頃だったので、ノートや鉛筆、消しゴムくらいしか買わなかったけど
店の奥にある色々な事務用品が、見ていて飽きなかったです。
電卓は、まだ無かった時代なので、そろばんや計算尺を売っていました。
謄写版印刷のローラーやインクなんかも、ありました。

人間が造った知的道具である文房具は、子供ごころにも、
とても美しく見えたものです。
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Unknown (だんぞう)
2020-04-27 08:29:41
特に、自分の通った学校の近くにあった文具屋には、懐かしい記憶が多いのではありませんか。
子供にとっては普段出入りする頻度が高かった店だと思いますし。

文中にもありますが、私が子供の頃に利用してた文具屋は、玩具も売ってましたから、いつも気になる存在でした。

プラモデル、シール、水中モーター、花火など、色んなものを買いました。

そろばん、、、ちょっと記憶が曖昧ですか、きっとそろばんも売られてたと思います。

コンパスや分度器などは、カッコ良く見えたもんです。
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Unknown (キャプテンゼロ)
2020-04-27 12:51:27
そういえば、分度器やコンパス、絵の具や絵筆なんかも買ったなぁ。
象が踏んでも壊れない「筆箱」なんてのも、ありました。

だんぞうさんの古い文房具屋さんは、懐かしの「水中モーター」やプラモデル、
花火などの玩具も扱っていたのですね。
取扱い品目を積極的に増やし、収益の発生を図ることは、
店舗の経営者として有能な方だと思います。
新店舗に客を取られるのは、さぞくやしかったでしょう。

ボクの町の小学校のそばの店は、菓子パンや駄菓子の販売が本業で、
おまけで子供用の文房具も扱っていた店舗でした。
学校帰りに、よくここで買い食いしたものです。
商店街の方の店は、店も大きく品揃えも豊富でした。
ここは店員の声がけが少なく、好きなだけ文房具を
見ることができ、お気に入りでした。

現在、大手じゃない個人の文房具屋さんは、経営で苦労されているでしょう。
100円均一の店で、大抵の文房具が手に入りますから。
でも、あの頃の昭和の匂いがする文房具屋さんが、あったら
なにか買物をしてみたいです。
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Unknown (だんぞう)
2020-04-27 15:47:11
象が踏んでも壊れない筆箱、確かこのブログでも昔取り上げたことがあったと思います。

私が子供時代によく利用してた古い文具屋は、文具プラス玩具を販売して、店頭には玩具を並べてたから、後に新しくキレイな文具屋ができても勝負できてたんでしょう。
文具だけなら、新しい文具屋のほうが品揃えも店のきれいさも上だったにもかかわらず、、、です。

文具と駄菓子と菓子パンを販売する店?
そりゃすごい。
私がそのエリアに住んでたら、絶対に利用したと思います。


そんか文具屋が今もあったら、楽しいでしょうね。
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Unknown (鮎川愛)
2020-04-28 17:19:53
子供ながらに双方に気遣いをしていらっしゃる、だんぞうさん。

可愛らしいですね(笑)

私の場合は、文房具店ではなく、本屋が一軒違う店を挟んで隣り合わせにありましたよ。


品揃えは大して変わらないのですが、お気に入りの方は2階があり、そこには古い学習参考書も多かったです。


今でも、その当時買った古い国語参考書は、大切に保存しています。

そして2軒の本屋は今では消滅して、100円ショップとアクセサリーショップになっています。


諸行無常…ですね。
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Unknown (だんぞう)
2020-04-28 19:03:53
新しい店はキレイでしたし、清潔感もありました。
文具のストックも多かったです。

一方、古い店の方は、玩具類も置いてあり、楽しかったんです。

なので、バランスよく使いわけていきたかったんですが、古い店のおばちゃんの視線に私は負けてしまいました(笑)。

鮎川さんのお気に入りの店も、残ってほしかったことでしょうね。
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Unknown (捨丸)
2020-04-29 19:02:53
私が通ってた小学校の近くにも2軒文房具屋さんがありました。
対比としてはだんぞうさんの所と同じく1軒はいわゆる文房具屋オンリーで間口も広い新しいお店。
もう1軒は文房具、駄菓子、安価な玩具等を扱う古くて狭い店でした。
うちの小学校には正門と西門という2つ門があり、新しい店は西門の真ん前。一方古い店は正門に続くダラダラ坂の下にあるガード横にありました。
今考えると正門西門で生徒たちもはっきり色分けされてましたね。
西門は山の手の団地や建売住宅の子弟たち。私が使ってた正門は、戦前からあった棟割り長屋や古い平屋の住宅が密集した、いわば下町から通うガキ。

私は自分が使ってた店の方が断然好きでした。もちろんノートや消しゴムなんかは普通にここで買ってましたが、西門前の店にはない子供受けするラインナップが揃ってたように思います。母に言わせると文具じゃなくておもちゃのようなもの。ウルトラQの怪獣が表紙のノートなんてこっちの店しか置いてませんでしたからね。
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Unknown (だんぞう)
2020-04-29 21:52:47
おお、そうでしたか!
私の利用してた2店の文具屋と同じですね。
1店が新しくてこぎれいな店、もう1店が狭くて古く玩具も売ってる文具屋というパターンは同じです。

捨丸さんの利用してた文具屋は駄菓子まで売ってたんですか。
そんな店があったら、私は入り浸っていたと思います。

文具という勉強道具、遊び用の玩具、駄菓子という食べ物、、、子供に必要な要素を兼ね備えてますものね。
そりゃ強力だなあ。

その店の主人は、まさに子供にターゲットを絞ってたんでしょうね。
案外、商売上手かも。
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Unknown (捨丸)
2020-04-29 22:33:57
よくよく考えてみると、文房具屋と言うのは私の記憶違いなのかもしれません。

確かにノート、消しゴム、分度義、すぐ壊れるコンパス、習字用の半紙なんかはこの店で買ってたんですが、同時に洋食(と言っても最近の小洒落た料理ではなく、かつて一銭洋食とも呼ばれていたほとんど具のないお好み焼きみたいなの。関東圏ではどんどん焼き・・だったかな)食べてた記憶があるんですよね。

お勘定場(レジなんてありませんでしたね〜)の横にちっちゃい鉄板があり、頼むとおいちゃんがめんどくさそうに焼いてくれてました。
狭い店でしたから夏場は頼むと本当に嫌がられてました(笑)

あ、それに店の外にはおいちゃん特製のコリントゲームがおいてあり、一回5円で当たりに玉が入るとガムとか飴玉とかもらってましたね。

そう考えると、あそこってやっぱり駄菓子屋だったのかな〜
返信する
Unknown (だんぞう)
2020-04-30 09:34:53
そういう状況の店だったことを考えると、駄菓子屋がメインがだったっぽいですね。

文具は、プラスアルファみたいな要素だっあのかも。

コリントゲームは私はよくわかりませんが、クジつきの五円ガムは、よく食べました。
というか、駄菓子屋にいくと、最初に買ったのがそれだったと思います。
返信する

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