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 時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

セシル   by  クリスタル・キング

2012年08月19日 | 音楽全般

かつて大人気だったロックバンド、クリスタルキング。

その名前は、大ヒット曲「大都会」、そして続いてヒットした「蜃気楼」などで記憶されている。

個人的には、大好きだったNHK時代劇ドラマ「風神の門」の主題歌である「時間差」という曲も忘れ難い。ドラマだけでなく主題歌も大好きだった。

クリスタルキング・・・略して「クリキン」は、なんといっても、ツインボーカルがこのバンドの特徴だった。

一人はムッシュ吉崎さんで、もう一人は田中昌之さん。

吉崎さんは、パンチパーマの強面な風貌で、ドスをきかせた渋いボーカルで、男っぽい。

田中さんは、一度聴いたら忘れられない、電気を通したようなハイトーンボーカルで、いかにも当時のロックミュージシャンという風貌。

この二人の対比がインパクト絶大。

なんで、こういう対照的な2人が一つのバンドにいて、2人でフロントマンをつとめてるんだろう・・・・とも思ったが、そのアンバランスさは、ビジュアル的にすごく面白かった。

吉崎さんは、個人的なイメージでは宇崎竜道みたいなイメージで、田中さんはクイーンのギタリストであるブライアン・メイみたいなイメージを個人的に感じた。

まるで、宇崎竜道さんとブライアン・メイさんが同じバンドにいて、2人でボーカルをとっているようであった。

ブライアン・メイさんは本来ギタリストであったから、ブライアン似の田中さんがボーカルのポジションにいることが余計面白くて。

 

で、大ヒット曲「大都会」では、なんといっても田中さんのハイトーンボーカルがものすごくて。一体どこまで高い声が出るんだ?って感じだった。

 

だが、私がここで紹介したいクリキンの曲「セシル」は、なんと!

ボーカルは吉崎さんでもなきゃ、田中さんでもない。

山下さんという、ギタリストの方が歌ってた曲である。くせのない、素直な歌い方に好感を持った覚えがある。

 

クリキンは、吉崎さんの男っぽさと、田中さんのハードロック系のハイトーンボーカルの強烈なイメージが強かったのだが、この「セシル」という曲は、いつものクリキンとは全く違う系統の曲である。

甘く、切ないラブソングだ。

メロディラインは極めて親しみやすく、なおかつ優しくて、キュート。

山下さんのボーカルは少し地味目だが、それがかえって、この甘い曲には合ってた感じ。

曲調からいって、確かに吉崎さんや田中さんのボーカルキャラとは違う。

 

私がこの曲を初めて聴いたのは、・・確か、何かの音楽番組だったと思う。

クリキンが出てきて、てっきり吉崎さんと田中さんが歌うのかと思ったら、普段後ろに引っ込むような感じでギターを弾いてる方が歌いだすから、「あれ?」と思ったものだった。

でも、曲が進むうちに、「なるほど、こういう曲なら、吉崎さんや田中さんがリードボーカルをとらないのは、分かるなあ」と思った。

と同時に、この曲の持つメロディラインに引き込まれ、「うわ~、いい曲だなあ」と感心。

 

また、いつもはリードボーカルをとっている吉崎さんと田中さんが、少し暇そうにも見えた(笑)。

・・・と思ったら、曲の1コーラスごとの終盤で、田中さんが必殺のシャウトコーラス・・・というか、シャウトによるバックボーカルが入ってくる。

田中さんのシャウトコーラスが入ってくると、リードボーカルがかき消されてしまうパワーがあり、田中さんのような凄腕ボーカリストを1コーラス隊にまわすことの難しさも感じた(笑)。

要するに、それだけ、リードボーカルを「くって」しまう存在感があるということ。

吉崎さんの声は、しっかりコーラスに溶け込んでいるのか、入っているにしてもあまり目立たない。少なくても私は聞き分けられなかった。バッキングにも徹することもできる・・ってことなのかな。

だが、田中さんの声はコーラスに溶け込むには強烈すぎた(笑)。「この曲ではボーカルとってないけど、俺のことをお忘れなく!」とでも田中さんに言われているようであった。

でも、そういう要素が、この曲を「ただの甘い曲」に終わらせてない、いつものクリキンらしさが一瞬そこに現れる。

とはいえ、やはり「甘く切ないラブソング」である本質はしっかりしていた。

一度聴いただけでは「大都会」や「蜃気楼」「時間差」のほうがアピール度は高いだろう。

でも、「セシル」は、地味ながらも、じわ~~っと良さが染み込んでくる感じの名曲だった。聴くにつれ、良さが増してくる・・そんなバラードだった。

また、コーラスワークも、凝っていた。私の大好きなビーチボーイズをも彷彿とさせる秀逸さ。そんな点も、私の心は鷲掴みされたのだろう。

 

この曲は、密かな人気があったようで、学生時代に私が所属してた音楽サークルで、後輩がこの曲を弾き語ってもいた。

「こいつ、いい選曲するなあ」なんて思いながら、私は聴いてたものだった。

 

その数年後、私は友達が経営するカラオケパブに常連として通うようになった。

普段あまり私はカラオケは歌わないほうである。

でも、この「セシル」が大好きで、その店では気が向くと、この曲を歌ってた覚えがある。

あまり有名な曲じゃなかったにもかかわらず、私がたまにこの歌を店で歌うので、他の客もこの曲を覚えてしまい、気づけば、その店でこの「セシル」を歌う人が増えたのを覚えている。

当初、その店では、この「セシル」を選曲する人は誰もいなかった。だからこそ「他の客の手あかがついていない」ような気もして、大好きだったこの曲を歌い始めた私であったが、気づけば他の人にとられてるような気がした(爆)。

でも、この曲を気に入る人が増えたこと自体は、嬉しかった。

 

私にとっては、その店の思い出も染み込んでる曲である。

 

クリキンというと「大都会」のイメージしかない人、ぜひ、この「セシル」も聴いてみてほしい。

この珠玉のメロディラインを、そして絶品のコーラスワークを味わってほしい。これだけで、泣けてくるような曲。

貴方のクリキン観が、少し変わること、うけあい。

出だしから中盤までは、クリキンという気がしないだろう。終盤で、田中さんのバックボーカルが出てくるまでは。

 

クリキンには、こういう曲もあったのか・・・と思ってもらえたら、この曲をこのブログでネタにした意味もある。

人によっては、この曲こそクリキンのナンバー1と評価する人もいる。

クリキンって、こんなに音楽性の幅が広い、優れたバンドだったんだね。

決して・・決して「大都会」だけのバンドではなかった。それだけは間違いない・・ということが、この1曲で分かるだろう。

 この曲でリードボーカルをとった山下さんにとっては、満を持した曲であっただろう。

 

まさに、ビーチソングの隠れた名曲・・・という表現がぴったりくる、珠玉のラブバラード。それが、クリスタルキングの「セシル」だ。

 もっとヒットしてほしかった・・・。 

どうして、こういう曲があまりヒットしなかったんだろうね。そんな現実が、なんだか、悲しい。

今も。

 ♪ さよならセシル 渚に今 思い出を集めて・・・・

 

 

 小中高の生徒たちにとっては、夏休みももう、4分の3ぐらいは過ぎ去ってしまった。

私は学生時代、8月下旬は、夏休み終了のカウントダウンのように感じたものだった。

そんな時期に、ちょっと前の夏最盛期を思い出し、こんな曲を聴いてみるのも・・いいかもしれない。


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