【珍獣の食卓】第10回 エイとサメ 2000年6月28日発行 より
メルマガ読者からの投稿引用-----------
エイですが、私も食べたことなかった。(うちは京都です)
けど、広島県の山奥出身のダンナは、子供のころから常食!!!
何でもエイは排尿器官がなくてアンモニアがまわって長持ちするので、
冷蔵庫の発達していなかった昔は、わずかに食べられる鮮魚だったとか。
もちろん古くなると、アンモニア臭くって食べられないそうですが。
で。新鮮なものは刺身、もしくは煮こごりにして食べるんです。
私も田舎で食べましたが、脂がのってしこしこしてました。
私は刺身で食べましたが、ダンナは子供のころは
「煮こごり」でしか食べたことがなかったそう。
「煮こごり」は、がちがちのぶるんぶるんでした。
鯛とかの煮こごりより、生臭く感じませんでしたが、
それはあっさりした味付けのせいだったのかも知れません。
ふつうに、生姜を入れて煮たのを一晩置いておくだけみたいです。
ところで、この前のメルマガ(第9回)を読んで、ちょっと補足。
そうそう、確かに、私も初めて食べたときは、
「エイって、巨大なヒラメの縁側みたい」と思いました。
そういう繊維が全体に走ってるんです。
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お向かいの韓国では、壺にエイの切り身を入れておき、
しっかり熟成させて
アンモニアで目がちりちりするものを刺身で食べるとか。
晴れの日のご馳走だそうです。
結婚式で食べているシーンを前にTVで見たことがありますが、
すごいニオイに満ちて祝福されるのかぁ。楽しそうだなぁ。
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韓国では、いつも臭いお刺身を食べてるわけでもなさそうです。
このまえ読んだ韓国料理の本に、エイの刺身の食べ方が載ってました。
・エイを3枚に下ろして骨をとる。
・ひと口サイズの切り身にしてから塩をふってもみ洗いする。
・お酢少々でしめてから、水分を布巾でふきとる。
・コチュジャン・酢・砂糖・醤油・ごま油・刻み葱・ニンニクで作った
合わせ調味料で和え、千切り大根や春菊などをそえて、お皿に盛る。
エイに限らず、韓国でもお刺身をよく食べるそうですが、日本とちがってか
ならず唐辛子味噌などで和えてあるみたいですわ。
それはともかく、エイを3枚に下ろすというのが興味津々なのですっ。あの
平べったいエイを、どういうふうに3枚にするのでしょう???
その本には、材料と上記の手順しか載っていなくて、何エイを使うとか、お
ろし方などは書いてありませんでした。あぎゅ~、気になる~。
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エイと同様に、サメも食べます。サメも、貴重なお刺身です。
こちらは、すごく淡泊で、鶏のささみみたい。
ちなみにサメのことをこちらでは「ワニ」と言います。
出雲に近い山奥ですから、これで「因幡の白ウサギ」の謎が解けた!
だって日本海に、本物のワニがいるわけないもんね。
ダンナの故郷の近く、庄原だったか三原だったかには
サメの郷土料理を食べさせる店があるそうです。
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関東のほうでも、サメの皮の煮こごりなら普通のスーパーでよくみかけま
すの。それに、煮魚用に切り身で売られていたりもします。珍獣が中学生の
(ふりをして学校に通っていた)頃、家庭科の調理実習で、サメの煮付けを
作りましたわ。でも、こっちのほうではサメのお刺身は食べませんねえ。美
味しいっていう噂は耳にするので、一度食べてみたいのです~。
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イタリアを知る基礎知識より
サルデーニャ自治州
※おいしさチェックポイント
かつてスペインの支配下にあったため、郷土料理にもその影響が現れています。また山の幸、海の幸ともに特徴的であり、牧羊や牧牛がさかんな山間部では臓物料理が、海鮮料理では伊勢エビを使ったもののほか、サメやエイなども調理されています
素朴な疑問集●疑問No.052 (2000.08.09)より
Q. かすみさんからの疑問
みなさん、サメを食べたことありますか? 私はありません。
でも、聞くところによると、山陰のある地方では、サメを食べるそうなのです。もっとも、そちらでは「フカ」と呼ばれているようですけど、これって「サメ」のことですよね。
そこで、★雑木話★の読者のみなさんにお願いです。サメを食べた経験のある方、どんな味なのでしょうか? また、それにまつわる話も教えてもらえるとうれしいです。
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A. minさんから
泉州地方(大阪南部)では昔から食べています(最近は高いのであまり食べませんが……)。やはり「フカ」と呼んでいます。
だいたい湯ビキにして、酢ミソで食べます。味は鱧(ハモ)とかオバケ(皮クジラ)とかとあまり変わりません。特にヒレの部分がおいしい(フカヒレ)ですよ!
そういえばオバケもあんまり食べなくなりましたよネ
A. arikumaさんから
私が、実際にサメを食べたことがあるわけではありません。が、手持ちのコミックの中で、その件に関してとても詳しく記載されていたので、でしゃばって参りました。
サメを、一番盛んに食べるのは 奥備後 特に広島比婆郡。その理由は……。
交通機関の発達していなかった昔、山の中では生の魚を食べることができません。しかし、サメは身体の中に アンモニア分を溜め込むため 腐りにくく、半月くらいは持つので、海から遠い山の中で食べられてきたそうです。 交通機関も発達し、冷蔵庫もある現代でも食べられているのは、伝統的な食文化として、根付いているからでしょうか。
ちにみに、その地方では サメのことを「わに」と言います。
一度、何かのテレビ番組で、その町のわに料理を出す食堂を取材していたのを見たことがあります。コミックにも登場する、口和町の「まんさく茶屋」と同じところでしょうか。
オーストラリアでは、流通機構に関係なく 海辺の町でも食べるそうです。
A. えがわさんから
大阪南部出身、大阪南部在住のえがわです。
大阪でもさめ(ふか)を食べますよ。よく法事の膳料理に出てきますし、地元の魚屋さんでも湯引きにしたものを売ってます。
先日、泉佐野市の魚市場に行ったら、まるごとのサメが売ってました。まるごとのサメは、さすがに初めての経験でしたが……。
○食し方
湯引きにしたものにぬた(ミソと練りからしなどでつくった和風ソース)をつけて食べる。私はこの食べ方しか知りませんが、他にも調理方法があるのかも。
A. 若旦那さんから
小学生(昭和30年代)の頃、九州に住んでおり、ときどき食していました。味は非常に淡白です。白身魚より淡白で、食べ方は、皮のままぶつ切りにし、身が白くなるまでしっかり茹でます。茹であがると冷水にさらします。すると、付いている皮が縮み、身が広がり食べやすくなります(水を切って食膳へ)。そして、我が家では、ゆず味噌をつけて食べていました、父親などは辛し醤油を付けていた様です。何というサメの種類だか、記憶がありません。
いずれにしても、淡白この上ない物に、ユズだの辛しだのをつけるので、身本来の味も香りもほとんど判らなくなり、食感を楽しんでた様です。食感は、冷水にさらしているせいか、しっかりした固めの鳥のササミの様なものでした。
フカ(鱶)とサメ(鮫)は同じもので、フカが地方名です。関西以西では「フカ」がほとんどで、九州も「フカ」の方が一般的だったです。
かすみさんへ:サメを食べられたことが無いそうですが、蒲鉾は嫌いですか?かまぼこの原料の一つですから、多分、きっと知らないうちに……と、思います。それくらい淡白な食材です。
突然、昔の懐かしい想い出に浸る事が出来ました。かすみさん、ありがとう。
A. とっしーさんから
地元の伊勢には さめのたれという鮫の干物があります。多分、下記のURLのお店で扱っていると思いますよ。
http://www.wakamatsuya.co.jp/same.html
A. こみゃんさんから
軟骨魚類は、硬骨魚類と比べて腎臓の機能がよくなく(?)て、尿の濃縮力だったか、忘れたれたけど、アンモニアが肉に溜まっているとか――聞いたことがあります。
昔30年ぐらい(?)前、埼玉県にいたときに食べたことがあるけど、あれは昔だったからなのか、埼玉県だったからなのかは、不明。
A. 男爵さんから
サメは1度だけ食べたことがあります。
熊本県の有明海沖に湯島という小さな島があります。ここでは年に一度、漁の邪魔になるサメ(地元ではフカ)を漁協の方々や漁師さんたちが退治するべく「フカ狩り」を行います。
この様子を地元のテレビ局で取材させて頂いたときに、掛かったサメを食べさせてもらいました。
調理法は主に湯引きで、酢味噌をつけて食べました。ハモなどに似ていて淡白ですが、少々臭みが感じられました。慣れればどうということもないのかもしれません。
ちなみに、掛かったサメは帰港した際に解体して、島の方々に配られていました。
4年くらい前の話で現在のことはわかりませんが、どうしてもという方は訪ねてみてはどうでしょう。
ここはpdfファイル
サメ食の現状調査サメ肉の特性に適した利用方法を検討する際の参考とするため、食文化として現在も地域に根差している伝統料理として広島県三次地方、愛媛県宇和島地方、三重県伊勢地方における利用実態調査を実施した。加工方法の検討1 アンモニア除去方法の検討サメ肉のアンモニア除去には酢酸処理が効果があるとされている2)ことから、肉重量の 5 倍量の 10%酢酸、酸性水(pH5.02)、対照として蒸留水のそれぞれに切り身を 12 時間浸漬し、表面と中心部のアンモニア濃度を測定した。試料には同じ大きさの遠洋凍結ヨシキリザメ切り身を凍結のままのものと解凍したものを用いた。
2 アンモニア臭発生の確認遠洋ヨシキリザメ切り身を原料に、切り身焼きと乾燥品を試作した。原料は、1 回解凍したもの、凍結解凍を 3 回繰り返したものを用いて、その製造途中、完成品、完成品を 25℃に 1 週間保管したもののそれぞれの段階において、アンモニア臭の発生を官能的に測定した。3 乾燥粉末素材の開発遠洋ヨシキリザメの皮付きフィレを目合い 3mm の魚肉採取機で落とし身とし、3 倍量の 0.3%食塩水で水晒しした後に遠心脱水機とデカンター(横型連続遠心脱水機)で脱水を行った。それを真空凍結乾燥後に粉末とした。試作品の開発前述の乾燥粉末素材のほか、遠洋ヨシキリザメの肉、内臓、真皮を利用して 16 種の試作品を製造し、利用の可能性を検討した。結 果 及 び 考 察ヨシキリザメの水揚量及び利用状況調査サメ類の全国水揚量は 15,000t~20,000t で推移しており、このうち気仙沼での水揚量は 12,000t~15,000t で全国の水揚量に占める割合は 60%~75%であった(図1)。平成 6 年については、全国のサメ類水揚量16,764tのうち宮城県での水揚量が12,959tで、気仙沼での水揚量が 12,774t であり、気仙沼が全国水揚量の 75%を占める最大の水揚げ地でありこの傾向は現在も変わらない1)。図1 全国及び気仙沼におけるサメ類水揚量また、平成 6 年の宮城県でのサメ類水揚量を魚種別に見ると、ヨシキリザメが78.6%、ネズミザメが14.4%であった。漁法別に見ると近海まぐろ延縄による漁獲が 93.7%を占めており、気仙沼に水揚げされるサメ類のほとんどは近海まぐろ延縄漁業によるヨシキリザメであった。気仙沼市内のサメ類を取り扱っている水産加工業者からの聞き取り調査によると、気仙沼に水揚げされるヨシキリザメの約 50%がすり身として、約 30%が正肉ブロックとして出荷されており、それらの約 80%が関東方面向けであった。近海ヨシキリザメと遠洋ヨシキリザメの特性調査気仙沼魚市場に水揚げされた近海ヨシキリザメ及び他の4 種並びに遠洋ヨシキリザメの一般成分を比較すると、ヨシキリザメの水分が突出して多かった(表1)。ドリップ量についてもヨシキリザメが突出して多かった(表1)。気仙沼魚市場に水揚げされた近海ヨシキリザメの各等級と遠洋ヨシキリザメのアンモニア濃度を比較すると、遠洋ヨシキリザメは 23.5mg/100g と近海ヨシキリザメの1,4,5等級のうち最もアンモニア濃度が低いものと同等の濃度であった(図2)。以上のことから、ヨシキリザメは他のサメに比べて水分が多く解凍時のドリップも多いことが確認できた。このため加工の際には、アンモニアの軽減も含めた水分の除去方法の検討が必要である。表1 サメ類の一般成分及びドリップ量図2 気仙沼魚市場におけるヨシキリザメの等級毎のアンモニア濃度サメ食の現状調査広島県三次地方ではオナガザメ科を「ワニ」として、主に刺身で食している。味は淡泊で臭みがなく、鮮魚店やスーパーで販売しているほか居酒屋や回転寿司にもある。特に正月には欠かせない料理として親しまれている。
愛媛県宇和島地方では「フカの湯ざらし」が冠婚葬祭や通常の家庭料理として今も頻繁に食されている。真皮の付いた切り身をゆがいて酢味噌で食す料理。近年は家庭で調理するより、完成品を購入することが多い。地元の魚市場に水揚げされたサメを原料として用いるが、地方名マブカ(ドチザメ科)が美味とされる。三重県伊勢地方では「サメのタレ」が副食や酒の肴として一般的に食されており、鮮魚店やスーパーなどで売っている。「かつら干し」とも言われ、味は「塩干し」「みりん干し」がある。伊勢神宮で大きな祭典に欠かせない神餞の一品として伝わる伝統的加工品である。製造は主に和歌山県那智勝浦町で行われており、主な原料には地方名メマル(オナガザメ科)が用いられ、そのほかアオザメ、ヨシキリザメも使用する。この他にも鮫を食す地域はあるが、そのほとんどがツノザメ科、ドチザメ科、オナガザメ科を酢味噌や煮付けで食すことが多く、ヨシキリザメの肉はハンペンやさつま揚げ等のねり製品原料以外での利用は少ない。加工方法の検討1 アンモニア除去方法の検討いずれの区においても 10%酢酸が最もアンモニア濃度が低く、切り身を凍結状態のまま浸漬した方が中心部のアンモニア濃度が低かった(表2)。このことから解凍時の酢酸浸漬がアンモニア除去に効果があることを確認した。表2 浸漬後の切り身のアンモニア濃度2 アンモニア臭発生の確認いずれの段階においてもアンモニア臭の発生はなかった。このことと、遠洋凍結ヨシキリザメの場合元来のアンモニア濃度が低いこと、解凍時のドリップ流出だけでもアンモニア濃度の軽減になることから、特段にアンモニア除去策を講ずる必要はないものと思われる。3 乾燥粉末素材の開発水晒し後の脱水工程において、遠心脱水機では濾布が目詰まりを起こして脱水が困難であったが、デカンターを用いることにより水分82.3%まで脱水することができた。83.5kg のフィレから 42.3kg の落とし身が得られ、この時点での歩留まりは 50.7%であった。脱水後の落とし身は 14.7kg で、原料との水分に大きな差がないため単純に計算すると原料からの歩留まりは17.6%であった。これを真空凍結乾燥して粉末化素材としての利用を検討した(図3)。図3 乾燥粉末素材の製造工程及び写真試作品の開発乾燥粉末素材並びにそれを利用した試作品 2 品、肉を利用した試作品 8 品、内臓を利用した試作品 4 品、真皮を利用した試作品 1 品の計 16 品を製造した(表3、図4)。いずれの試作品においても、特別なアンモニア除去を施さなかったが製造途中及び完成後にアンモニア臭は感じられず、様々な加工品に応用できることが分かった。また、味が淡泊で低脂肪で、かつコラーゲンが他の魚類より多く含まれるなどの点に着目することにより新たな加工素材としての利用や用途拡大の可能性があるものと思われる。商品化の際に問題となるのがサメ自体に対する先入観や嫌悪感であるが、様々な情報提供により偏見を取り除き、好感の持たれる商品開発を目指す必要がある。