尹派八卦掌

知っている人は知っている秘伝-中国伝統武術

尹福が手にしたもの。

2008-09-30 04:47:32 | Weblog
この写真は皆さんはよく目にしますね。
尹福は右手にした尖がった角の形をしてるものは、彼の使う暗器ということも、よく知られているようです。

王尚智先生から、それについての裏話を聞きました(初公開ね)。
その暗器を、中国語で「鑃(jue)]」と言います。
尹福は持ってるのは、翡翠でできていて、大変高価なものらしい。
尹福死後、尹玉璋は受け継ぎました。
尹玉璋の晩年、弟子の王敷に渡そうとしました。
王敷氏は「鑃」を手に持って暫く見ましたが、やはり遠慮して、頂くのを断りました。
その後、文化大革命で紛失してしまったそうです。

もし王敷師爺はそのとき受け継いだら、今の私も見れるかも知れないと思いました。
失ってしまったのは、とても残念ですが、尹玉璋にとって、一番信用できる人に「鑃」を譲ろうとしたことに違いありませんね。





『逝去的武林』の点穴

2008-09-24 06:31:27 | Weblog
『逝去的武林』(李仲軒口述/徐皓峰整理 当代中国出版社 2006年出版)ほぼ読み終わりました。
何度も読返したいところはたくさんありました。

内容は形意拳ですが、八卦掌にも通じます。
恐らく、いままで明らかにされてない内家拳の精髄を分かりやすく言ってくれたでしょう。
中国語を読めるかたなら、ぜひご一読を!

点穴のこと、大変興味深く読みました。
このブログも点穴について、以前書きました。
王尚智先生によると、点穴は尹派二代目ですでに失伝しました。

ここで、中国語を読めない日本武術愛好者のため、私の拙い翻訳で「点穴」をご紹介します。
先ず、点穴されたら動けなくなるのではありません。動いたら激しい痛みを感じるので、動きたくないようになってしまいます。
次、ツボを確認しながら追って点穴するのではなく、自然に行います。行ったり来たり戦いのなか、ちょうど「当たった」ような感じです。

点穴は「点」(の動き)ではなく、打つ動作でもありません。ぶつかって来たようなものです。
敵の力に従って、随意に行ったところは、点穴の場所になります。

点穴の手形は剣形(原文は「剣訣」)、人差し指と中指と重ねる形です。「指力」を練習するには、木を突き刺したり、砂袋を使うではなく、「劈抓」です。(注:「劈抓」はどういう練習法なのか、原文には続けて書いてません。その代わり、「三頂」の「指頂」について触れました。そういえば、八卦掌にも、「三頂」がよく言われます。もちろん「指頂」も。)

解穴について、点穴をできる人なら、解穴も自然に出来ます。点穴の力方向を考え推考して、反対方向へ打てば、解穴できます。

点穴の奥義は、指先ではなく、漢方の経絡ではなく、「打法」は肝心です。

気になる写真

2008-09-18 03:09:47 | Weblog
前から気になっていたが、ある英語の武術HPのトップページに、
王敷師爺の写真が使われています。
けれど、記事は解佩埼氏のことを書いてます。
http://www.chinafrominside.com/ma/bagua/xiepeiqi.html

王敷師爺のような純粋な古伝架式は、
(写真の場所はおそらく北京中山公園の一角、師は七十代のごろ。)
いまだと、そう正確にできる人はなかなかいないでしょう。

最近の話

2008-09-05 02:16:06 | Weblog
アメリカに来て、少しは落ち着いてきたので、王先生に電話をしました。
日本を離れたその日に、北京の王先生に連絡したら、翌日シンガーポールへ旅発つだと仰ったので、少し期間を置いての電話でした。

 「シンガポールの収穫は如何でしたか?」
 「予想以上大きかったね」と王先生は言う。。
 王先生の四番目弟さん王尚信氏(私は「四叔si shu」と呼ぶ)は三年前からシンガポールで、七叔が経営するレストランで仕事をしておられます。今回の旅、王先生の主な目的は四叔を訪ねるためです。
 王家7人兄弟のなかで、八卦掌を受け継いだのは王尚智と王尚信二人だけです。四叔王尚信はお父さんの王敷先師から八卦掌を教わりました。

 王先生の話によると、シンガポールで兄弟二人は尹派八卦掌の直伝伝人として、現地テレビ局の取材を受けました。そして、現地大学の教授は王先生に「ぜひ尹派八卦掌の歴史を調査してみたい」との話もありました。

 どうしてこうなったのか、きっかけは偶然な出会いからだそうです。
 四叔はシンガポールで北京のときと同じく、毎日八卦掌をやっています。初めの二年間、周りから全く何の反応もなく、一人で練習を続いていました。三年目、そばで見ている人は現れました。黙って見ている日は何日も続いて、とうとう四叔に話しかけて来ました。
 この人は、オーストラリア人の武術愛好家です。尹派八卦掌を求めて、台湾に行っで探しました。そこで「尹派」だと名乗ったものを暫く勉強したが、どうも自分が求めるものと一致しないと気付き、止めてシンガポールに来ました。たまたま四叔が練習する姿を目にして、求めていた尹派は「これだ」と直感し、話をしてみたら、まさしく当たりました。
 その後、この武術愛好家の関係で、習いに集まってきた人は30以上もなりました。テレビ取材までの反響を呼んだのでしょうか。

 王先生からもうひとつニュースがありました:
 北京市政府は「尹派八卦掌」を「無形文化財」としての登録をいま検討中です。その報告書に、王尚智先生を伝人としてなっています。

 以上の話は電話で伺ったので、これより詳しい事情を分かりません。とにかく、尹派八卦掌直伝本当の姿は、少しずつ世に知らされていくことは間違いないですね。