やまがた好日抄ーⅡ

低く暮らし、高く想ふ! 
山形の魅力を、日々の関心事を、気ままに…。

漆山陣屋

2021-12-17 | やまがた抄
現在の家に住まひ始めてすぐ、漆山陣屋といふ遺構があるのは知ってゐました。
同じ町内会ではありませんが、出羽地区といふ場所の一角でした。
町内会の清掃やら、近くの神社のお祭りやらで、界隈は歩いてゐました。

ずっと気にはなってゐましたが、忙しさにかまけて調べることもないままでした。
先日、戊辰戦争の時、この地を駆け抜けた事件を、高橋義夫先生がお書きになった小説をやっと図書館で見つけられました。
『吹きだまり陣屋』(新人物往来社)です。

小説の主な舞台になるのは、現在の上山市、山形市、天童市、寒河江市、大江町あたりですので、強大な薩長軍の前に笹の小舟のやうに翻弄される陣屋の人々と村民たちの姿にとても親近感をもって読み終えました。

……薩長はどうでも奥羽の地を血で染めねば引かぬつもりだ。…
……列藩同盟趣意書に署名したことは、奥羽の中に孤立した分領の陣屋として周囲の大藩に脅迫されてやむを得ずやったのだといういいわけは、 新政府にたいしても藩にたいしても成立しない。そもそも武士として心ならずも誓約するなどということがあろうか……

小生、山形に移住してかなりの時間が過ぎましたが、移住してすぐに戸惑ったことは、山形弁と戊辰戦争への違和感でした。
山形弁に関しては、当初、東京弁を話す変な現場監督がゐる! といふことで、職人さん達は一向に指示に従ってはくれず、かなりの苦労がありました。まあ、今は昔の話ですがー。

そして、戊辰戦争ー。
きっかけは定かな記憶がないのですが、気にし始めて調べてゆくと、結局、薩長連合のクーデターによる政権奪取といふことになります。
今年の初め、東南アジアの国でありました。
そして何よりも、現在の新潟県を含めた東北6県が奥羽越列藩同盟を結成し、クーデター連合と対峙したことです。まさに、内戦です。
戊辰戦争のことを書き出すと止まらないのですが、やはり、ツートップだったはずの仙台藩と米沢藩の軟弱さと情報不足と戦略不足が顕著に見へてきます。
そして、その指示を充分に受けられない小藩は保身のために寝返りが頻発する。三春藩しかり、秋田藩しかり、そして山形県では天童藩と新庄藩ー。
敵は薩長連合だったはずが、同じお国言葉を話す人々同士が相まみえる戦ひになってゆくー。
そのあたりの悲劇を『吹きだまり陣屋』は描いてゐます。

最近、地区のコミュニティセンターで、出羽地区の歴史マップを見つけました。
春になったら、ゆっくりと散策してみるつもりです。

ちなみに、高橋義夫先生とはささやかな交友をさせていただいてゐます。
先日も、干し柿とサトイモとサツマイモをお持ち致しました。いつも、先生が入れられるコーヒーをご馳走になりながら、四方山話をいたします。
この次に伺った時には、漆山陣屋の話をたくさんお聞かせ願ふつもりです。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿