この6月30日に発刊してまもない、渡辺聡樹とジェイソン・モーガンの共著書『覚醒の日米史観:捏造された正義、正当化された殺戮』(徳間書店、1700円)を読んだ。
以前から、日本がアメリカから真に独立することの重要性を切実に思うようになるとともに、その実現が容易ならざることもひしひしと感じるようにもなっていた。
ユーチューブ動画などいろいろと視聴しているうちに、麗澤大学准教授のジェイソン・モーガンという人物を見つけた。
モーガンは1977年、アメリカ南部のルイジアナ州出身で「私は自分を白人と思ったこともなければ、アメリカ人ともあまり思っていない。自分はインディアンとの混血であり、ルイジアナの人間で、ワシントンが消えてもかまわないと思っています。それは、ごく普通の、ルイジアナ南部の沼地に住んでいる人々の常識でしょう」と言う(p.43)。
動画上で語る彼のとつとつとした日本語と素朴な風貌に、どことなく懐かしさ、日本人以上に日本的な懐かしさを感じていた。
同時に、アメリカ、日本、中国、ハワイなどの各地の大学で求道者のごとく研究し、その真っすぐな物言いは時に過激にもなる。
そんな彼が渡辺聡樹(北米在住の日米近現代史研究家)と対談したのがこの著書である。
この著書の「まえがき」で彼は「アメリカは、人間が初めてアメリカ大陸を踏んだまさにそのとき“建国”されたのであり、当時の北アメリカ大陸は言語的、政治的、民族的にも実に多様性に富んでいたのです。
その大陸に大西洋の反対側からピューリタンが押し寄せてきたことが、多様だったアメリカの終わりの始まりを意味しました。
インディアンを虐殺したのも、黒人奴隷の存在が長引いたのもそれが理由です」(p.8)と言い「南部の人の自由、そして日本人の自由を取り戻したい。これが本書にこめた切なる想いです(p.9)と締め括っている。
私は昔から、アメリカという国の出自そのものに大きな疑問を抱いていた。
だがそれを口にしても、まともに議論してもらえず、いつしか「こんな話はタブーなのだ」と自身に言い聞かせて、自分の胸の内に押し込めてきた。
ところが、ここにその話題を正面から提起している人がいた。
ソーシャルメディアの出現という、何だか騒々しいものに振り回される世の中になって、ゆっくり歳を取る暇もなくなったなと恨めしく思ってもいたが、今は感謝している。
ユーチューブがなかったら、私と同じような考えを抱いている人の存在も知らずに人生を終えるところだったのだ。
因みに、遺伝子ワクチンについて「おかしい」と思った時も、周辺に誰一人理解者が存在せず、ソーシャルメディアがなければ、一人で鬱々としていただろうと思う。
以下では大雑把に、この著書の紹介をする。
また、必ずしも網羅的ではなく、私の主観によりテーマを取捨選択したことも了承願いたい。
詳しく知りたい方は著書を直接読まれることをお勧めします――対談なので読みやすい。
なお、煩雑を避けて、モーガンをM、渡辺氏をWと略記させて頂いた。
第1章ふたつの敗戦国が暴いたアメリカの正体(pp.20-47)
ここで2つの敗戦国のうち、1つは無論、第二次世界大戦で負けた日本ですが、もう1つはアメリカ合衆国における南北戦争の敗戦国である南部です――Mの故郷でもある。
南北戦争は奴隷解放戦争だと言われている(アメリカ人もそう思わされている)がそうではない。
南北戦争の目的は北部こそが絶対的な善であり、それに背いた南部は悪という図式の下で、アメリカ合衆国を否定した南部の反乱者を徹底的に潰し「無条件降伏」を呑ませること。
「奴隷解放」は、後で自分たちの絶対的な正義を強調するために創出した神話。
その証拠に、奴隷解放が達成した後でも、リンカーンは戦争を拡大した。
「その結果、南部は奴隷も非奴隷もみながワシントンの奴隷になってしまった。
南部の奴隷制度が北部の産業的奴隷制度に合併させられた」(M, p.36)。
「南部の中でさえさまざまな文化、文明があり、もともとインディアンという先住民がいるのに、憲法の下にひとつに融合させることじたいが無理矢理です。・・・
本音をいうと“アメリカはすべての土地をインディアンに返せ”と言いたい。・・・
そもそも理念で巨大な国をまとめ上げるという実験はもう終わったのではないかと思う」 (M, pp.42-43)
第2章世界史に混乱をまき散らす“ピューリタン帝国”(pp.50-77)
合衆国を支配するワシントンの人々の宗教的ルーツには、キリスト教、正しくは「プロテスタント」、なかでもごく少数派で極めて排他的な宗派である「ピューリタン(清教徒)」の影響が大きい。
イギリスにプロテスタントを導入したのはヘンリー八世(1491~1547)である。
妻と別れ他の女性と結婚したいと思っていたヘンリー八世は、離婚が厳しく禁止されているカトリック教会を分裂させ、カトリック神父と司教を殺し、国家統治者を首長とするイングラン
ド教会をたてた。
更にカトリックの教えを広めることを禁止し、多くの信者も殺された。
イングランド教会は、その後、次々と分裂し、秩序がなくなっていった。
ピューリタンという一派が現れたのもその過程で、革命を通して根本的な改革を試みたが、それは排他的なイングランド教会からしても「過激」なものだった。
そのため、王権べったりのイングランド教会がピューリタンを迫害するようになる。
迫害されたピューリタンは大西洋を渡り、アメリカ大陸に逃げ込んだ → メイフラワー号!
故に「アメリカ建国の父」がアメリカに渡ったのは、アメリカ大陸の原住民に福音を持っていくためなどではなく、自分の身を守るための「亡命」にすぎなかった。
自分たちが絶対に正しいと思い込んでいる宗教的テロ組織=ピューリタンは北部の遺伝子。
ピューリタンが分かれば、今のワシントンがよくわかる。(p.54)
アメリカに渡った単なる一派だったピューリタンの群れはさらに不安定に分裂を始めた。
例えば、弁護士のジョン・ウィンスロップはライバルのロジャー・ウィリアムズをマサチューセッツ湾植民地から追い出す → ウィリアムズは新たにロードアイランドを植民地とした。
即ち、プロテスタント同士なのに互いに宗教の自由を与えなかった → アメリカは州が多い。
しかも、ウィンスロップの名演説(と言われる):「我らピューリタンは神と契約を交わした民であり、丘の上の輝く町のように世界は我らを模範として見ている・・・仲良く暮らしている
ように見せることが重要である」
この演説には、アメリカ大陸に住むアメリカ・インディアンに
ついて一切触れていない。 (pp.54-56)
カトリック=キリストの血と肉の宗教(血を飲み救われる)。誰もが罪を持ち懺悔で救われる。
プロテスタント=聖書主義。アメリカ大陸に入り白人至上主義に変貌。
聖書が白人のやっていることを裏付ける →「マニフェストディスティニー」 (p.61)
中国の中華思想はワシントンに似ており、歴史が大嫌いなところも共通している。
アメリカの憲法~中国の朱子学。マニフェストディスティニー~中華思想
アメリカにとっての黒人・黄色人~中国人にとっての「化外の民」
西洋病=他人を蹴落とさなければ生き残れないという強迫観念が常識になっている
中国と手を結ぶバチカンは「反カトリック」 (pp.64-77)
第3章“捏造神話”の人工国家は歴史が弱点 (pp.80-117)
アメリカは味方の犠牲者を出してから復讐というパターンを繰り返している:
真珠湾攻撃(犠牲者2400人)、9・11(2977人)、ハマス・イスラエル戦争 等
ワシントンとは、人を殺したい、人殺しをビジネスにしたいという一種のカルト集団。
その証拠にウクライナ戦争では、武器を売るだけで絶対に助けにはこない。
“死のカルト”であるワシントンを「同盟国」という親米保守は国民を騙している。
(キッシンジャー曰く「アメリカの敵になることは危険だが、友人になるのは致命的だ」)
アメリカ人の歴史認識の変化←ハマス・イスラエル戦争における反イスラエル運動の出現 (W、p.104)
ユダヤ人がメディアを支配しているからイスラエル支持の声が絶対的に強い・・・のではない。
アメリカ人が信じたい神話にイスラエルの存在が欠かせない・・・というのが真相。
この双子のシオニスト(アメリカにとってはピューリタン版シオニスト)は、ユダヤ教とは
ほぼ関係がなく、歴史を装った神話が全てです。
アメリカとイスラエルは「歴史がない」、あるいは歴史を勉強すると崩壊してしまうという意味で双生児なのです。
イスラエルの正当性については、みな聖書に書いてあると言いたがるが、聖書のイスラエルと
現在のイスラエルはまったく別の国です。 (M、pp.106-107)
「第二次世界大戦は正義のためにアメリカは戦った」という神話と、「世界史上ホロコースト
の最大の被害者であるユダヤ人」による「イスラエル建国」の正当性は、ワンセットになって
いるため、片方の前提が覆るとアメリカも共倒れになる。
たとえイスラエルがどんなに非道であっても、アメリカが支持せざるをえないのは、これが理
由です → 戦後は神話としてこれがまかり通ってきた。
「ナチスドイツの犠牲者であるユダヤ人を批判するのか」といえばみな黙ってしまう。
イスラエルを批判した人間に対してはユダヤ人批判だとすり替えればいい。
ナチスドイツ=絶対悪、ユダヤ人=絶対善という伝家の宝刀が抜かれれば、黙るしかない。
それは当のユダヤ人にも適用された。
そしてアメリカ人も、自分の国の暗黒な歴史を隠すために、自分たちの正義を強調するために、
イスラエルを隠れ蓑として、無意識に利用している。
ユダヤ教、旧約聖書などは、関係ありません。 (M、pp.107-108)
アメリカという国じたいが「正義」という神話で成り立っている。だから歴史を知ってその神
話を覆すとアメリカは瓦解してしまう。
「アメリカに歴史がない」の本当の意味は、単に歴史の短さだけをいうのではない。
アメリカでいう「歴史」とは客観的な歴史ではなく、自分たちのとって都合のいい正義の衣に
包まれた「神話」にすぎない。
アメリカという国は自分たちがつくった神話を世界にばらまき、理念で現実を覆い隠す、真の
意味での歴史がない国です。
その理念を正当化するために歴史を捏造してきた。
そもそも「建国」じたいが神話です。
いままでの出来事すべて無視して、この時点から新しい歴史が始まる、と宣言すること
じたいがおかしい。
欧米の日本に対する歴史の見方は著しく偏り日本アレルギーと言える。(pp.110-112)
第4章ネオコン+親米保守が日本を滅ぼす(pp.120-145)
この章は項目だけ記す――内容はほぼ推測できる:
ユダヤ人とイスラエルは別物/ 米国内の反イスラエルは希望/ ようやく歴史の存在に気づきだ
したアメリカ人/ アメリカのほうが(日本より)危機感は強い/ 分断こそアメリカの希望/ ト
ランプ政権の「失策」/ ワシントンが中国と戦うはずはない/ ウクライナ戦争の真実を理解し
ていない親米保守/ 親米保守の論調はCIAそっくり/ 陰謀論批判に大反論/「台湾有事」は口実
/ 米国から守るために憲法九条は護持したほうがいい可能性
第5章日本人が知らない残酷な「ブラックビジネス」(pp.148-171)
ここであげている主なものが性的な犯罪を巡るもので、私自身の評価が定まっていないのでこ
こも項目のみに留める:
春文化も違う日本と韓国/ 人間が人間を裁くカトリック/ 南京事件を広めたのは宣教師/ モラ
ルが崩壊した医師たち
第6章ディープステート解体はローマの歴史を見習え(pp.174-216)
最後の対話を除いて、項目だけを列記する:
アサンジに訴えられたCIA/ トランプ打倒に燃える卑劣な民主党の選挙戦略/ 中央銀行も政
府もいらない/ 政府を大きくしないために政治家が官僚を制御/ 日本の政府の上にある「政
府」/ 数学者もレイシスト扱い/「被害者」という病/ 慰安婦を政治利用するアメリカの歴史
学者/ 慰安婦問題と共産主義者/ 核使用を正当化するいかなるロジックも日本は許してはな
らない/「無条件降伏」はプロテスタントの発想/ 途中で単なる「核実験」に変わった原爆
投下/ 経済政策はケインズでなく「オーストリア学派」が正しい/ アメリカ帝国解体の仕方
W:「Mさんは私よりアメリカへの絶望の度合が大きい。私はそれでもアメリカの復活を信じ
たい」(p.214)
M:「ナポレオンの帝政フランスのように、常に理念を湧出していかなければならない膨張主義
に入ってしまったので、これが終わると今のアメリカは瓦解します。
南北戦争の意味は、普通の国が帝国化したということです。
その帝国化したアメリカが今終わろうとしている。
その時に本当の希望が見えてくるのです。
本来のアメリカは素朴でシンプルな国です。
なぜそのような国が世界を支配しているのか、逆に不思議です。
ずるがしこい北部の支配が終われば、元の素朴なアメリカに戻るのではないかと思いま
す。・・・
私はテネシーで[大学時代]、プロテスタントの人たちにさんざんいじめられました。・・・
欧米を支配するアングロサクソンという人種は、元来狂暴で、絶え間ない闘争を好んできた
人たちです。
キリスト教の意義というのは、そのような彼らの狂暴な性質を抑えることにあったのです。
従って、キリスト教が衰退すれば、おのずとその狂暴性が浮かび上がる。
今の欧米の分裂と混乱はそこにあるのです」(pp.214-216)
以上ですが、アメリカという国の凄まじい姿が見えるようになった気がする。
どうやら我々は宗教のあり方も含め、この500年の「世界の近代化」そのものを問い直す必要があるところに来ているように思う。
その際、「建国の神話」に関しては、日本も「万世一系」とか「紀元は2600年」等を振りかざせば、アメリカやイスラエルと同じ過ちに陥る可能性がでてくる。
それにしても、北部の支配が終われば、元の素朴なアメリカの戻るという発想は、私が縄文を振り返ろうというのと、どこか似ている気がする。
以前から、日本がアメリカから真に独立することの重要性を切実に思うようになるとともに、その実現が容易ならざることもひしひしと感じるようにもなっていた。
ユーチューブ動画などいろいろと視聴しているうちに、麗澤大学准教授のジェイソン・モーガンという人物を見つけた。
モーガンは1977年、アメリカ南部のルイジアナ州出身で「私は自分を白人と思ったこともなければ、アメリカ人ともあまり思っていない。自分はインディアンとの混血であり、ルイジアナの人間で、ワシントンが消えてもかまわないと思っています。それは、ごく普通の、ルイジアナ南部の沼地に住んでいる人々の常識でしょう」と言う(p.43)。
動画上で語る彼のとつとつとした日本語と素朴な風貌に、どことなく懐かしさ、日本人以上に日本的な懐かしさを感じていた。
同時に、アメリカ、日本、中国、ハワイなどの各地の大学で求道者のごとく研究し、その真っすぐな物言いは時に過激にもなる。
そんな彼が渡辺聡樹(北米在住の日米近現代史研究家)と対談したのがこの著書である。
この著書の「まえがき」で彼は「アメリカは、人間が初めてアメリカ大陸を踏んだまさにそのとき“建国”されたのであり、当時の北アメリカ大陸は言語的、政治的、民族的にも実に多様性に富んでいたのです。
その大陸に大西洋の反対側からピューリタンが押し寄せてきたことが、多様だったアメリカの終わりの始まりを意味しました。
インディアンを虐殺したのも、黒人奴隷の存在が長引いたのもそれが理由です」(p.8)と言い「南部の人の自由、そして日本人の自由を取り戻したい。これが本書にこめた切なる想いです(p.9)と締め括っている。
私は昔から、アメリカという国の出自そのものに大きな疑問を抱いていた。
だがそれを口にしても、まともに議論してもらえず、いつしか「こんな話はタブーなのだ」と自身に言い聞かせて、自分の胸の内に押し込めてきた。
ところが、ここにその話題を正面から提起している人がいた。
ソーシャルメディアの出現という、何だか騒々しいものに振り回される世の中になって、ゆっくり歳を取る暇もなくなったなと恨めしく思ってもいたが、今は感謝している。
ユーチューブがなかったら、私と同じような考えを抱いている人の存在も知らずに人生を終えるところだったのだ。
因みに、遺伝子ワクチンについて「おかしい」と思った時も、周辺に誰一人理解者が存在せず、ソーシャルメディアがなければ、一人で鬱々としていただろうと思う。
以下では大雑把に、この著書の紹介をする。
また、必ずしも網羅的ではなく、私の主観によりテーマを取捨選択したことも了承願いたい。
詳しく知りたい方は著書を直接読まれることをお勧めします――対談なので読みやすい。
なお、煩雑を避けて、モーガンをM、渡辺氏をWと略記させて頂いた。
第1章ふたつの敗戦国が暴いたアメリカの正体(pp.20-47)
ここで2つの敗戦国のうち、1つは無論、第二次世界大戦で負けた日本ですが、もう1つはアメリカ合衆国における南北戦争の敗戦国である南部です――Mの故郷でもある。
南北戦争は奴隷解放戦争だと言われている(アメリカ人もそう思わされている)がそうではない。
南北戦争の目的は北部こそが絶対的な善であり、それに背いた南部は悪という図式の下で、アメリカ合衆国を否定した南部の反乱者を徹底的に潰し「無条件降伏」を呑ませること。
「奴隷解放」は、後で自分たちの絶対的な正義を強調するために創出した神話。
その証拠に、奴隷解放が達成した後でも、リンカーンは戦争を拡大した。
「その結果、南部は奴隷も非奴隷もみながワシントンの奴隷になってしまった。
南部の奴隷制度が北部の産業的奴隷制度に合併させられた」(M, p.36)。
「南部の中でさえさまざまな文化、文明があり、もともとインディアンという先住民がいるのに、憲法の下にひとつに融合させることじたいが無理矢理です。・・・
本音をいうと“アメリカはすべての土地をインディアンに返せ”と言いたい。・・・
そもそも理念で巨大な国をまとめ上げるという実験はもう終わったのではないかと思う」 (M, pp.42-43)
第2章世界史に混乱をまき散らす“ピューリタン帝国”(pp.50-77)
合衆国を支配するワシントンの人々の宗教的ルーツには、キリスト教、正しくは「プロテスタント」、なかでもごく少数派で極めて排他的な宗派である「ピューリタン(清教徒)」の影響が大きい。
イギリスにプロテスタントを導入したのはヘンリー八世(1491~1547)である。
妻と別れ他の女性と結婚したいと思っていたヘンリー八世は、離婚が厳しく禁止されているカトリック教会を分裂させ、カトリック神父と司教を殺し、国家統治者を首長とするイングラン
ド教会をたてた。
更にカトリックの教えを広めることを禁止し、多くの信者も殺された。
イングランド教会は、その後、次々と分裂し、秩序がなくなっていった。
ピューリタンという一派が現れたのもその過程で、革命を通して根本的な改革を試みたが、それは排他的なイングランド教会からしても「過激」なものだった。
そのため、王権べったりのイングランド教会がピューリタンを迫害するようになる。
迫害されたピューリタンは大西洋を渡り、アメリカ大陸に逃げ込んだ → メイフラワー号!
故に「アメリカ建国の父」がアメリカに渡ったのは、アメリカ大陸の原住民に福音を持っていくためなどではなく、自分の身を守るための「亡命」にすぎなかった。
自分たちが絶対に正しいと思い込んでいる宗教的テロ組織=ピューリタンは北部の遺伝子。
ピューリタンが分かれば、今のワシントンがよくわかる。(p.54)
アメリカに渡った単なる一派だったピューリタンの群れはさらに不安定に分裂を始めた。
例えば、弁護士のジョン・ウィンスロップはライバルのロジャー・ウィリアムズをマサチューセッツ湾植民地から追い出す → ウィリアムズは新たにロードアイランドを植民地とした。
即ち、プロテスタント同士なのに互いに宗教の自由を与えなかった → アメリカは州が多い。
しかも、ウィンスロップの名演説(と言われる):「我らピューリタンは神と契約を交わした民であり、丘の上の輝く町のように世界は我らを模範として見ている・・・仲良く暮らしている
ように見せることが重要である」
この演説には、アメリカ大陸に住むアメリカ・インディアンに
ついて一切触れていない。 (pp.54-56)
カトリック=キリストの血と肉の宗教(血を飲み救われる)。誰もが罪を持ち懺悔で救われる。
プロテスタント=聖書主義。アメリカ大陸に入り白人至上主義に変貌。
聖書が白人のやっていることを裏付ける →「マニフェストディスティニー」 (p.61)
中国の中華思想はワシントンに似ており、歴史が大嫌いなところも共通している。
アメリカの憲法~中国の朱子学。マニフェストディスティニー~中華思想
アメリカにとっての黒人・黄色人~中国人にとっての「化外の民」
西洋病=他人を蹴落とさなければ生き残れないという強迫観念が常識になっている
中国と手を結ぶバチカンは「反カトリック」 (pp.64-77)
第3章“捏造神話”の人工国家は歴史が弱点 (pp.80-117)
アメリカは味方の犠牲者を出してから復讐というパターンを繰り返している:
真珠湾攻撃(犠牲者2400人)、9・11(2977人)、ハマス・イスラエル戦争 等
ワシントンとは、人を殺したい、人殺しをビジネスにしたいという一種のカルト集団。
その証拠にウクライナ戦争では、武器を売るだけで絶対に助けにはこない。
“死のカルト”であるワシントンを「同盟国」という親米保守は国民を騙している。
(キッシンジャー曰く「アメリカの敵になることは危険だが、友人になるのは致命的だ」)
アメリカ人の歴史認識の変化←ハマス・イスラエル戦争における反イスラエル運動の出現 (W、p.104)
ユダヤ人がメディアを支配しているからイスラエル支持の声が絶対的に強い・・・のではない。
アメリカ人が信じたい神話にイスラエルの存在が欠かせない・・・というのが真相。
この双子のシオニスト(アメリカにとってはピューリタン版シオニスト)は、ユダヤ教とは
ほぼ関係がなく、歴史を装った神話が全てです。
アメリカとイスラエルは「歴史がない」、あるいは歴史を勉強すると崩壊してしまうという意味で双生児なのです。
イスラエルの正当性については、みな聖書に書いてあると言いたがるが、聖書のイスラエルと
現在のイスラエルはまったく別の国です。 (M、pp.106-107)
「第二次世界大戦は正義のためにアメリカは戦った」という神話と、「世界史上ホロコースト
の最大の被害者であるユダヤ人」による「イスラエル建国」の正当性は、ワンセットになって
いるため、片方の前提が覆るとアメリカも共倒れになる。
たとえイスラエルがどんなに非道であっても、アメリカが支持せざるをえないのは、これが理
由です → 戦後は神話としてこれがまかり通ってきた。
「ナチスドイツの犠牲者であるユダヤ人を批判するのか」といえばみな黙ってしまう。
イスラエルを批判した人間に対してはユダヤ人批判だとすり替えればいい。
ナチスドイツ=絶対悪、ユダヤ人=絶対善という伝家の宝刀が抜かれれば、黙るしかない。
それは当のユダヤ人にも適用された。
そしてアメリカ人も、自分の国の暗黒な歴史を隠すために、自分たちの正義を強調するために、
イスラエルを隠れ蓑として、無意識に利用している。
ユダヤ教、旧約聖書などは、関係ありません。 (M、pp.107-108)
アメリカという国じたいが「正義」という神話で成り立っている。だから歴史を知ってその神
話を覆すとアメリカは瓦解してしまう。
「アメリカに歴史がない」の本当の意味は、単に歴史の短さだけをいうのではない。
アメリカでいう「歴史」とは客観的な歴史ではなく、自分たちのとって都合のいい正義の衣に
包まれた「神話」にすぎない。
アメリカという国は自分たちがつくった神話を世界にばらまき、理念で現実を覆い隠す、真の
意味での歴史がない国です。
その理念を正当化するために歴史を捏造してきた。
そもそも「建国」じたいが神話です。
いままでの出来事すべて無視して、この時点から新しい歴史が始まる、と宣言すること
じたいがおかしい。
欧米の日本に対する歴史の見方は著しく偏り日本アレルギーと言える。(pp.110-112)
第4章ネオコン+親米保守が日本を滅ぼす(pp.120-145)
この章は項目だけ記す――内容はほぼ推測できる:
ユダヤ人とイスラエルは別物/ 米国内の反イスラエルは希望/ ようやく歴史の存在に気づきだ
したアメリカ人/ アメリカのほうが(日本より)危機感は強い/ 分断こそアメリカの希望/ ト
ランプ政権の「失策」/ ワシントンが中国と戦うはずはない/ ウクライナ戦争の真実を理解し
ていない親米保守/ 親米保守の論調はCIAそっくり/ 陰謀論批判に大反論/「台湾有事」は口実
/ 米国から守るために憲法九条は護持したほうがいい可能性
第5章日本人が知らない残酷な「ブラックビジネス」(pp.148-171)
ここであげている主なものが性的な犯罪を巡るもので、私自身の評価が定まっていないのでこ
こも項目のみに留める:
春文化も違う日本と韓国/ 人間が人間を裁くカトリック/ 南京事件を広めたのは宣教師/ モラ
ルが崩壊した医師たち
第6章ディープステート解体はローマの歴史を見習え(pp.174-216)
最後の対話を除いて、項目だけを列記する:
アサンジに訴えられたCIA/ トランプ打倒に燃える卑劣な民主党の選挙戦略/ 中央銀行も政
府もいらない/ 政府を大きくしないために政治家が官僚を制御/ 日本の政府の上にある「政
府」/ 数学者もレイシスト扱い/「被害者」という病/ 慰安婦を政治利用するアメリカの歴史
学者/ 慰安婦問題と共産主義者/ 核使用を正当化するいかなるロジックも日本は許してはな
らない/「無条件降伏」はプロテスタントの発想/ 途中で単なる「核実験」に変わった原爆
投下/ 経済政策はケインズでなく「オーストリア学派」が正しい/ アメリカ帝国解体の仕方
W:「Mさんは私よりアメリカへの絶望の度合が大きい。私はそれでもアメリカの復活を信じ
たい」(p.214)
M:「ナポレオンの帝政フランスのように、常に理念を湧出していかなければならない膨張主義
に入ってしまったので、これが終わると今のアメリカは瓦解します。
南北戦争の意味は、普通の国が帝国化したということです。
その帝国化したアメリカが今終わろうとしている。
その時に本当の希望が見えてくるのです。
本来のアメリカは素朴でシンプルな国です。
なぜそのような国が世界を支配しているのか、逆に不思議です。
ずるがしこい北部の支配が終われば、元の素朴なアメリカに戻るのではないかと思いま
す。・・・
私はテネシーで[大学時代]、プロテスタントの人たちにさんざんいじめられました。・・・
欧米を支配するアングロサクソンという人種は、元来狂暴で、絶え間ない闘争を好んできた
人たちです。
キリスト教の意義というのは、そのような彼らの狂暴な性質を抑えることにあったのです。
従って、キリスト教が衰退すれば、おのずとその狂暴性が浮かび上がる。
今の欧米の分裂と混乱はそこにあるのです」(pp.214-216)
以上ですが、アメリカという国の凄まじい姿が見えるようになった気がする。
どうやら我々は宗教のあり方も含め、この500年の「世界の近代化」そのものを問い直す必要があるところに来ているように思う。
その際、「建国の神話」に関しては、日本も「万世一系」とか「紀元は2600年」等を振りかざせば、アメリカやイスラエルと同じ過ちに陥る可能性がでてくる。
それにしても、北部の支配が終われば、元の素朴なアメリカの戻るという発想は、私が縄文を振り返ろうというのと、どこか似ている気がする。