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粟屋かよ子・Ψ(プサイ)が拓く世界を求めて

量子力学の理解を深めつつ、新しい世界観を模索して気の向くままに書きたいと思います。
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山口敬之によるトランプ政権の分析

2025-04-28 15:27:56 | 日記
松田政策研究所チャンネル「ジャーナリスト山口さん登場! トランプが目指す世界! その中核としてのAI」(2025/4/25夜)(山口敬之と松田学の対談)より

1.トランプがめざしているもの
 一見すると、トランプはアメリカ・ファーストによるエゴイズムで、世界に混乱を起こしている
 だけのように見えるがそうではない。トランプのめざすものは
①政治グローバリズムとの対決:
グローバリズムそのものがDS(ディープステート)によって作られた誤った世界秩序、とい
う明確な方針の下に、就任して3カ月はUSAIDを入口として、DSの巣窟だったアメリカ政
府の機関を次々と廃止。
 
②経済的グローバリズムからの脱却:
 3カ月たった今は、経済的グローバリズムからの脱却をめざしている。
 グローバリズムというものが世界を不幸にしているという信念の下に動いている。

③昨年11月7日、イーロン・マスクがアップロードした写真(トランプとマスクと彼の息子
 が映っている)に書いてある単語にトランプ政権のめざすものを読み解く重要な鍵がある;
白い帽子のトランプ、黒い帽子のマスク、両手を真横に広げ十字の形をしてマスクに肩車さ
れている息子の写真。
その下にラテン語で書かれた「NOVUS ORDO SECLORUM(ノヴス・オルド・セクロー
ルム)」(新世界秩序:1ドル紙幣の裏のピラミッドの下にある文字と同じ)――より正確な
訳は「時代の新秩序」。

2.DSの歴史
 昨年11月のマスクのツィートには重要なことがいくつも書かれた。
 彼は「世界支配の手は1913年にスタートした」というロン・ポールのツィートに「その通りだ」
 とツィートしている。

 1913年にFRB(連邦準備制度理事会=アメリカ中央銀行制度)の設立、(連邦レベルで)所得税
     の導入が決まった。
     これがDSによるアメリカ侵略の始まり、国民支配の手の始まり。
 FRB、CIA、FBI、国連などの政界秩序、これこそが不幸の始まりであり、DSの始まりだった
 のだから、それからの脱却を計ること。
 つまりトランプ政権が解体しようとしているのは第一次大戦前後に始まった世界秩序。
 そのリストのうちの政治的部分が最初の3カ月で相当ていど進んだ。
 
 4月2日からは経済的部分。
 これも元々、ガットウルグアイラウンドに始まって、WTO IMF、世界銀行などが、自由主義
 経済が良いに決まっているという論理を立てて、各国の独立性を破壊してきた。
 これは弱肉強食の資本の論理であり、世界分業という経済的グローバリゼーションによって、そ
 れぞれの国民の自立は損なわれ、文化も破壊される。
 さらには、いろいろな戦争や感染症も起こしてゆく。
 しかも(世界史の授業で習うように)「世界大戦はブロック経済によって引き起こされた → ブ
 ロック経済は悪」という教育(洗脳)をしたのもDS側。

3.中国との闘い
 最終的にトランプ政権は、世界覇権を中国に取らせない、共産主義者に世界を支配させないとい
 う強い意志をもって発足した。
 グローバリゼーションによって、現在の世界経済、アメリカ経済は中国の生産力や供給力なしに
 は、1日も立ち行かなくなってしまっている。
 アメリカには軍事産業と半導体などの高度な技術集約型の産業だけが残り、その他は壊滅状態。
 
 でもDS側としては、米ドルを刷ればいいじゃんという話になる――FRBが全部抑えているか
 ら、世界で作ったものを買ってくればいいと。
 これグローバリゼーション通り、それを担ってきたのがWTOとIMFと世界銀行。
 いまの国連は「地球はひとつ、皆が分業して仲むつまじく暮らしてゆけば全てハッピー」と言う
 が、これは空想!
 だって中国、違うでしょ。
 3000発のミサイルを持ってるんですよ。
 そういう国がいざとなって牙をむく可能性がある時に、その国の生産物がなければ立ち行かない
 経済では、もはや対抗できず奴隷になるだけ。 

 トランプ政権のターゲットは、いわゆるグローバリゼーションを見事に利用して巨大化した中国
 をどうやって抑え込んでゆくかということ。
 だからパナマ運河、グリーンランド、ウクライナのレアアースに彼らは注目せざるを得ない。
 パナマと北極海路を中国に抑えられたらアメリカ経済は破綻するし、さらに中国は世界のレアア
 ースの大部分(約70%)を生産している。
 いずれにしても彼らは、中国と最終的に経済戦争状態になった時に自立できるブロック経済体制 
 を作ろうとしている。    
 
4.中核としてのAI開発
 第一次大戦頃からの秩序を破壊してどのような世界をめざすのか?
 そこで出たのが、超知能のAIが世界の新秩序を作るのではないかという発想。
 AGI(Artificial General Intelligence=汎用人工知能:人間またはそれ以上の知能をもち、多様
 なタスクをこなす)の作製に中国は爆走している。
 最初の1個のAGIをどこが作るか、アメリカと中国のどちらが作るかで世界が全く違ってくる。

 AGIは人間のように自分で何でもでき、しかも人間よりもはるかに高い知能を持つ(とされる)。
 ただし、それが民主的なグループ(国家)によってか、或は独裁的なグループ(国家)によって
 作られるかで、出来上がったAGIも全く違ってくる。
 現在、コンピューターの能力などは非公開になりつつあり、実際、スーパーコンピューターの公
 表されている世界順位は日本の富岳が一位のままである――あり得ない。
 どうやら、トランプ大統領の在任中にAGI出現の可能性もあり得るというシナリオまである。
 そこで、トランプは目下最先端を走っているサム・アルトマン(OpenAI最高経営責任者;チャ
 ットGPTの開発者)をホワイトハウスに呼んだ。
 孫正義も約15兆円のAI投資の約束を表明した(昨年12月)。
 
 現在のノイマン型のコンピューターによる開発では時間がかかりすぎる。
 脳内のニューロンのシナプスと接続させるという方法も考えられている。
 中国は脳に外からデバイスをつけた改良を加速させているという。
 しかしこのようなアプローチができるのは中国だけで、民主国家でのこのようなアプローチは無
 理――中国は臓器売買も進んでいる国である。
 急がないと中国が先にゴールを切るのではないかというあせりもあり、矢継ぎ早の関税をかけた
 とのこと――本命は中国。
 これまで反トランプであったAI開発者で、トランプに乗り換えた研究者も少なくない。
 中国に先を越されて、彼らの奴隷になるよりましというわけだ。
 いずれにせよ、現在、大きな分かれ道に立っているという自覚がトランプにはある。


以上が話の大筋であり、私にとっては大いに得心がいく部分も少なくなかったが、最後のAGIの議論には十分な注意が必要と思った。
確かに、中国がとんでもないことをやらかす可能性は大きいと思う。
実際、禁止されているにもかかわらず中国で「世界初のデザイナーベビー」を誕生させ、世界的な波紋を呼んだ事件は記憶に新しい(2018年11月)。
さらには全世界を混乱に陥れた――現在も続いている――新型コロナウイルスによるパンデミックの発生源は、今や武漢ウイルス研究所であることがほぼ確実になっている。

ただし私は、AGIに関していえば、文字通りのAGIは決して作り得ないと思っている。
なぜならAGIは意識を持たないからである――そもそも意識は生命体にしか存在しない。
意識は生命体(認識の主体)が、周りの世界の境界(認識の地平)を広げるときに発生する――認識が自分に関してなされる時は自己意識という。
従って、現在のAGI開発は、「AGIは作れる」という錯覚の上に成り立っていると思う。
しかし、たとえ錯覚といえども、「開発」の途上でとんでもないものが出現する可能性はある。
現在のAI開発ですら、何度も指摘してきたように、混乱と危険性を孕んでいるのであるから。

このAGI合戦で思い出されるのが、量子コンピューター合戦である。
どうやらその裏の顔は、量子暗号の先陣争いらしい。
この技術を最初に有効に実現したグループは、世界中の暗号を解読でき、自らの暗号は(さらに協力な二番手が現れるまでは)決して解読されないというシナリオになっている。
だからこそ、いかに高価で、いかに実現性が薄くとも、しのぎを削って開発合戦をしているのであろう。

いよいよ気狂いじみた世界の到来である。

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