大阪訪問リハネット第3回勉強会終了(Part1)
先月、2月22日(金)大阪医療専門学校にて第3回勉強会が行われ、極寒の中24名の先生にお集まり頂きました。ありがとうございます
今回の発表は堺市にあります、社会福祉法人貞省会 老人保健施設「カロス」の作業療法士 衣川美弥子先生に『介護老人保健施設から在宅へ ~ケアマネは圏外!?~』という内容で発表して頂きました。
はじめに訂正があります。
会の冒頭、平成20年度医療診療報酬改訂における、「在宅復帰率・重症患者の受入割合等による回復期病棟の質の評価」の話をさせて頂き、老健施設が在宅施設として含まれる方向‥ との話をさせて頂きましたが、正確には、重症患者の在宅復帰に際し、『当該病棟において退院患者のうち、他の保険医療機関への転院した者等を除く者の割合が6割以上である』とされており、現段階では老健施設は医療機関へ転院としたのと同様な扱い、つまり『保険医療機関』に含まれ、在宅施設としては含まれないという見解のようです。最終的な確定ではありませんが診療報酬改訂についての情報が交錯するこのような時期に、皆様に誤解と混乱を与える結果となり、大変申し訳ございませんでした
ともあれ、4月からの回復期リハビリテーション病棟に対するその質の評価導入により、3~6ヶ月程度で回復する見込みがあると判断される重症者は回復期病棟に優先的に入院することとなり、そうでないと判断された患者様は医療・介護療養型病床、老健施設へ急性期から早期に転院するといった、回復期病棟によるいわば重症度に応じた患者様の選択がおきてくると考えられます。このため、医療必要度の低い患者さんにおいては、今までは回復期病棟に入院していたような方が老健施設に移る事が予測され、老健施設にとっては本来の在宅復帰としての中間施設的役割の重要性が増してくると予想されます。
このような医療情勢の中訪問リハビリを導入し、在宅復帰を支援する取り組みをはじめられた介護老人保健施設の取り組みを発表していただけることとなりました。
大阪訪問リハネットワークでは主に、セラピスト同士のつながりを深めることを目的に発表者の所属施設の紹介、施設の取り組みを発表して頂き、次に日頃悩んでいる症例や、成功・失敗事例などの症例発表の後、症例の検討項目についてグループワークを実施し、最後にグループワーク発表を行っています。
まずは、カロスの理学療法士、渡邊久美子先生からの施設紹介から始まりました。

今回の症例発表の介護老人保健施設「カロス」は堺市南区にあり、療法士はPT:3名、OT:1名、ST:1名で入所約70名、通所約40名を担当、また昨年4月より訪問リハビリを開始され、5月からは施設内に在宅復帰プロジェクトチーム(ケアマネージャー、介護士、療法士、看護師、相談員、管理栄養士からなる)を立ち上げられ積極的に利用者様の在宅復帰に向けた取り組みをなさっておられるそうです。
続いて衣川先生からの症例発表に。今回の症例はKさん70歳代・女性で左被殻出血を平成18年11月に発症、その後回復期病棟にてリハビリ加療され、平成19年6月にカロスへ入所、12月より退所され在宅療養となり、訪問リハビリ導入になったそう。
衣川先生発表の様子↓

機能的レベルは入所時にてBRSTで上肢Ⅱ、下肢Ⅱ、麻痺側の可動域制限、感覚障害、認知機能として失語・失行の他、右半側空間失認・注意障害・構成障害等も見られる状況、回復期退所時のFIMは51点(運動項目:32、認知項目:19点)と、かなり重度の印象を受けました。
約6ヶ月の施設でのリハビリの結果、座位・立位の安定化が図られ、担当介護士と介助下での歩行も可能、5ヶ月後からは調理訓練も実施され、自宅の建て直しといった大幅な住環境整備や家族様の受け入れ準備も整い在宅療養となったそう。退所時のFIMは68点(運動項目:43、認知項目:25点)まで改善あり。おおすごいですね
今回、退所・自宅復帰にあたり問題となったのが、家族様の知り合いとして担当することとなったケアマネージャーが、本人様の自宅が堺市であるのにも関わらず、神戸の居宅介護支援事業所だったとのこと。このため、退所・訪問リハビリ導入に際し担当者会議が開催できず書面上だけでの情報提供にてサービス提供開始、また日中独居となるためケアマネが家政婦による住み込み介護を提案、リハビリからは訪問リハビリは週2回の頻度でPT・OT、月2回の頻度でSTが訪問することを提案し(STさんはカロスとは別の事業所)ケアプラン作成となったとのこと。
訪問開始時の問題点として
①動作能力を生かす介助が行えていない
②家政婦と本人の相性があまり良くない
③ADL動作レベルの低下
が挙げられ、訪問初期には住み込み家政婦に対して介助方法の指導を実施。
しかし、訪問開始約1ヶ月までに上記②の問題点により、数ヶ月間の間に家政婦が3人交代しそのたびに動作・介助法を指導する事態となり、担当者会議を開催、家族にとって住み込みの介護サービス利用は休まる暇がないとのことで、訪問介護によるサービスに変更、ケアマネ・事業所の変更となったとのこと。その後、訪問開始3ヶ月にて在宅生活が安定し、生活動作の問題に対応するためOTによる週1回の訪問は継続するものの、カロスでの週2回のデイサービスを利用が決定し、PT・STによる訪問は終了となる予定であるとの事でした。
グループワーク中!↓