日々の泡

弁護士杉本 朗(神奈川県弁護士会所属)のブログです。個人の雑感発信用で、業務用ではありません。

いじめ防止対策推進法の定める「附属機関」設置に関する申し入れ

2013-08-31 06:00:19 | 身辺雑記

今年の9月28日から施行される「いじめ防止対策推進法」では、重大事態が発生したとき、学校設置者の文部科学大臣や地方公共団体の長は、重大事態への対処又は当該重大事態の発生の防止のために必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う、とされています。

今後条例などで、調査をする附属機関(たとえば調査委員会)についての定めがおかれていくと思われますが、自由法曹団では、その附属機関について、第三者的で公平・中立なものとされるよう申し入れを行いました。

この間のいじめ事件で自治体が設置した調査委員会の中には、地方自治体の顧問弁護士がメンバーになっているものなど、中立性が疑われるものがみられたからです。

申入れ本文はこちらです。

 

 

秋田書店事件に関する首都圏青年ユニオンの声明

2013-08-22 14:29:05 | 身辺雑記

秋田書店の社告は結構マスコミに流れていると思いますが、組合側の声明がまわってきたので、みなさんの参考に供します。

==ここから==
2013年8月22日
首都圏青年ユニオン
執行委員長 武田 敦

http://www.seinen-u.org/akita-saiban.html

首都圏青年ユニオン声明
「秋田書店「見解」はブラック企業の開き直りである」



2013年8月20日、消費者庁は、「少年チャンピオン」

などの発行で知られる秋田書店に対して景品表示法違反(有利誤認)で措置命令を出した。このことは消費者庁が発表するやいなや、マスメディアでも大きく報道され、社会的反響を呼んでいるところである。

 この不正をやめるように社内で訴えてきた女性社員に対して、2012年3月、秋田書店は、なんらの事実に即した根拠も示すことなく懲戒解雇をおこなった。

 女性社員が加入する首都圏青年ユニオンは、秋田書店と団体交渉をおこない不当解雇の撤回と不正をやめることを訴えた。秋田書店は、首都圏青年ユニオン側が繰り返し不正を指摘したことに開き直り続け、さらに女性社員に対する根拠のない懲戒解雇の撤回を拒否して現在に至っている。女性社員と首都圏青年ユニオンは、事態解決に向けて2012年夏に消費者庁への資料提供をおこなった結果、今回の秋田書店への措置命令が出されたものであり、私たちの主張の正しさを確信している。

 しかしながら、秋田書店は、毎日新聞2013年8月21日付夕刊報道を受けて、「【社告】毎日新聞の報道に対する弊社の見解について」という文書をウェブ上に掲げている。この中で、「解雇の理由は、元社員が賞品をほしいままに不法に窃取したことによるもの」としているが、こうした事実は一切、存在しない。こうしたことを根拠なく主張し懲戒解雇をおこなったこと自体が許しがたいことである。消費者庁からの措置命令を受けて、秋田書店の問題解決に向けた誠実な対応を期待していたが、秋田書店は今もなお開き直り続けている。

首都圏青年ユニオンと当該女性社員は、懲戒解雇撤回に向けて裁判を準備中である。秋田書店が行った数々の信じがたい違法行為については、法廷の場で明らかにされ、秋田書店は法廷の場でも社会的にも厳しく裁かれることになるだろう。

読者・社会をあざむく違法な業務指示を会社ぐるみで行い、さらに不正をやめるように訴え続けた労働者を事実無根の理由で懲戒解雇したブラック企業・秋田書店を許さず、首都圏青年ユニオンは徹底してたたかう決意である。首都圏青年ユニオンとブラック企業・秋田書店との正面からのたたかいに対して、多くの方の注目と支援をお願いするものである。

==ここまで==

 


麻生太郎副総理の罷免と議員辞職を強く求める声明【自由法曹団】

2013-08-04 08:10:32 | 身辺雑記

自由法曹団では、下記のとおり、麻生氏の大臣罷免と議員辞職を求める声明を発表しました。

なんにしても、日本の政府の要職にある人間が、ナチスに関して肯定的と受け取れる発言をすること自体アウトでしょう。

あまり騒がれないで憲法改正を行いたいというのは、正体見せたなぁ、という感じです。もっとも歴史的事実としては「全権委任法」が「誰も気づかない」うちに成立したということは、全くないのですが。

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麻生太郎副総理の罷免と議員辞職を強く求める声明

 

 麻生太郎副総理兼財務・金融大臣は、本年7月29日に行われたシンポジュウムの席上、現在の憲法「改正」論議に言及し、「今回の憲法の話も狂騒の中でやってほしくない」「騒がれたら中国も騒がざるを得ない。韓国も騒ぎますよ。だから静かにやろうや、と。」と前置きした上で、「憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」などと発言したと報道されている。

 ワイマール共和国憲法は、第一次世界大戦直後のドイツで制定された憲法であり、表現の自由や集会・結社の自由など自由権規定を定めるとともに、生存権や教育権など社会権規定をも定めた、当時としては極めて進歩的な民主的憲法とされている。しかし、ヒットラーは、国会議事堂放火事件などのデマで対抗勢力の共産党などを議会から排除し、弾圧した後は、自らが国家の全権を握ることを可能とする「授権法」を制定し、事実上、この憲法の機能を全面的に停止させてしまった。このような立憲主義を踏みにじる暴挙を行ったナチス政権は、その後、第二次世界大戦を引き起こし、欧州全体を戦禍に陥れるとともに、ユダヤ人大虐殺の悲劇まで生むに至った。ナチス政権によるワイマール共和国憲法の抹殺は、人類史におけるぬぐいがたい「汚点」として語り継がれてきたのである。

 ところが、今回の麻生発言は、このようなナチス政権による憲法抹殺の「手口を学ぶ」べきだ、というのである。

 この麻生発言を単なる一時的な舌禍事件とみなすことは到底できない。ナチス政権の手法を評価し、それに「学ぶ」などという発言を、ナチス政権が引き起こした計り知れない戦禍を体験してきた国際社会は、絶対に許容しない。にもかかわらず、外相経験もある麻生副総理からこのような発言が出てくる背景には、麻生副総理を生み出した安倍首相をはじめとする多くの閣僚が、先の大戦で日本が行ったアジア諸国に対する侵略行為を否定し、日本の戦争責任に対して極めて無自覚な思想的土台が存在するからにほかならない。その意味で今回の麻生発言は、一人の閣僚の問題発言ととらえるべきではなく、安倍政権全体の歴史認識問題と任命責任が問われているというべきである。

 そして、安倍内閣の中枢にある副総理兼財務・金融担当相から出たこの発言は、国民的議論もないままに、集団的自衛権などの解釈改憲・立法改憲、国家安全保障会議(日本版NSC)設置、秘密保全法制定、「防衛計画の大綱」見直し、日米ガイドラインの見直しなどを推し進め、日本国憲法の保障する人権保障や平和主義を破壊しようとしている安倍政権のまさに「真意」をあらわしている。経済成長が第一の課題と言いつつ、着々と改憲策動を推し進めるのが安倍政権の真の狙いなのである。

 国内外からの大きな批判を受けて、麻生副総理は8月1日、発言は「誤解を招くので撤回する」と表明したと報道されている。

 しかし、発言を「撤回」したからといって、改憲はナチス政権を学べと公に発言した政治的責任を免れることはできない。憲法尊重擁護義務を無視し、立憲主義を真っ向から踏みにじる、このような政治家は、国務大臣はもとより国会議員としての最低限の資格すら備えていないと言わざるを得ない。

 自由法曹団は、デマと煽動で民主的憲法を破壊し、戦争と民族虐殺の悲劇を生んだヒトラーの「手口」を学べなどとする麻生発言を絶対に許さず、安倍政権に対して麻生副総理の大臣罷免を求めるとともに、麻生副総理自身の国会議員辞職を強く要求する。そして、このような副総理を任命した安倍首相の責任を追及するとともに、今回の麻生発言にみられるように、その危険性を隠して着々と進めようとしている安倍政権の改憲策動に対して、その徹底した批判を加え、これを阻止するために全力を挙げてたたかうことをここに表明する。

 

2013年8月1日

自由法曹団

団長 篠原義仁

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8/7国会前行動のお知らせ【内閣法制局長官人事について】

2013-08-04 06:10:13 | 身辺雑記

ルールを先に変えちゃえと思ったら、殊の外抵抗が大きかったので、じゃあ今度はレフェリーを変えちゃいましょう、って感じ?

下記のとおり、抗議の国会前行動が予定されています。

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臨時国会開催日の2日午後、私たちは150名を超える市民の皆さん、12名の
国会議員の皆さんと共に「安倍内閣の改憲暴走を許さない!8・2緊急院内集
会」を開催しました。

そこでの確認で、以下の緊急行動を再度、提起致します。

報道によれば、安保法制懇は当初の予定を大きく超えて、集団的自衛権の全面的
行使容認の憲法解釈を提言すると言われております。安倍内閣の改憲暴走が始ま
りました。一人でも多くの皆さんが、なるべくプラカードなどを持って、この国
会前行動に駆けつけて下さいますよう、お願い致します。
この案内の拡散にご協力下さい。

内閣法制局長官の首のすげ替え、違憲の集団的自衛権行使への暴走に抗議する
8・7緊急国会前行動
日時:8月7日(水)18:00~19:00
場所:衆議院第2議員会館前(地下鉄永田町駅または国会議事堂前駅下車)

主催:2013年5・3憲法集会実行委員会
(事務局団体)憲法改悪阻止各界連絡会議、「憲法」を愛する女性ネット、憲法
を生かす会、市民憲法調査会、女性の憲法年連絡会、平和憲法21世紀の会、平
和を実現するキリスト者ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会 連絡先:憲法
会議・03-3261-9007 市民連絡会・03-3221-4668

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司法修習生の給費制復活を求める訴訟

2013-08-02 14:54:16 | 身辺雑記

本日、司法修習生の給費制復活を求める訴訟が提起され、私も賑やかしに、提訴行動に参加してきました。

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5399007.html

 

戦前司法権の独立が守られていなかったためにさまざまな弾圧・えん罪事件が生じました。第2次世界大戦直後、その反省に立って、司法権の独立をきちんと守ると同時に、国費で法律家を養成することとしました。

 

それだけ人権の守り手としての法律家を養成することが重要だと認識されていたのです。

私も、第45期の司法修習生として、2年間、給費を受けました。

 

ところが、新第65期の修習生から、司法修習生は無給ということになりました。お金が必要な人には国が貸し付ける(しかも保証はオリックス)という制度になったのです。

 

カリキュラム上司法修習生に要求されていることは、かなりあります。私の頃は2年だった修習が、今は1年に短縮されていますが、やらなければならないことはほとんど変わっていません。しかも公務員に準じて兼業は禁止になっています。

 

そのような中で、無給で勉強しろ、というのはかなり厳しい変更です。しかも、変更の理由は専ら財政的な理由とされています。しかし、戦後国費での法律家養成が決定されたときの国家予算は、今よりもはるかにシビアなものでした。その中で、国費による法律家の養成は決定され、60年以上にわたって運用されてきたのです。

 

今回の訴訟についてはいろいろな意見があると思います。しかし私は、給費制の廃止が理不尽だと感じ、それを訴訟で明らかにしようとする若い人たちがいる以上、彼らを応援したいと思います。