ごきげんよう 八八千景です

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醜態

2022-04-26 16:04:09 | 日記

 落ちるところまで、落ちる。

 思考の果てにあるものは、いつだって自己否定だけだ。

 何をやっても駄目。

 何しても無駄。

 朝起きられないのは、人間がなってないから。

 偏頭痛を起こすのは、体調管理ができないダメ人間だから。

 些細なミスを起こす原因は、自分が存在しているから。

 暴言を吐かれるのは、舐められているから。

 時に、前世で何らかの罪を起こしたのだろうと思う。生きなければならないのは罰だ。

 私は一体、何の罪を償っている?

 至らない脳ミソを与えられ、頻繁に故障する出来の悪い身体を動かす。

 痛みに耐える。

 羞恥心に耐える。

 怒りに耐える。

 希死念慮に耐える。

 それほどまでの罪を重ねたのか。

 罰であるのなら逃げるわけにもいかない。

 何に対する罰なのかも分からないが、こうしてのうのうと生きているには、こういう理由がお似合いだと思う。

 

 生きる理由より、死ぬ理由の方が数多あるのに、多くの人間が死にたいと思いながら息をしている。

 死ぬことへの恐怖心。

 否、何かを失うことへの恐怖心。

 私の家には多くの物がある。

 未読の書籍、購入したばかりのドール、旅行先で見つけた狐面、御朱印、藁人形、鉱物。

 対物性愛。私は無生物しか愛せない上に、愛した無生物を置き去りに、ひとり逃げることが出来ない。

 自然災害で彼らが壊れでもするなら、私は彼らとともに朽ちたい。それが、私の死の場面なのだろう。

 人間の命は有限だと、自分達ばかり特別扱いする周囲に虫酸が走る。全ての物に命がある。人間も、物も、同一だ。思い出に替えは利かない。しかし、対物性愛とは言うものの、私には性愛が無い。性欲という醜いものがよく判らない。

 瞼の裏が点滅する。

 頭が釘を刺されたように痛む。

 昨日までの醜態を全て思い出す。

 救われたいと強く思う。



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