神無月に逢はむ仔細はその節と書けり切手は「見返り美人」 塚本 邦雄
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塚本信奉者たちが過剰に作り上げているきらいのあるカリスマ性とやらには・・多少辟易いたしますが・・
このようなお歌のみ見れば、とてもさりげなくて親しみやすく、永田和宏氏あたりのお歌かしらん、と思ってしまいます。
けれど、よくよく読むと、おっとりさらさらと詠まれたものでもなさそうな。
ちょっと思わせぶりな眼光の鋭さが見え隠れするような歌です。
一文の切れを二度も句の中間に挟んである、不定型リズムなども・・そのひとつ。
この秋の佳き日にはて「仔細」とはまたなんであろうか?
しかし、貼られた切手の菱川師宣の「見返り美人」をみれば
この書状の送り主は決して居住まいを崩さぬ典雅な「姿勢」で話されるのだろう
そんな想像がふくらみます。