寒梅
退職金でも住宅ローンが返せない?!…「老後破産」の現実
Bさんの相談も緊急を要していた。
Bさんは58歳。16年前に3550万円で購入した自宅マンションのローンがあと
2000万円近く残っている。
60歳時点での残債は退職金で繰り上げ返済をする予定でローンを組んでいた。
しかし、勤務先が事実上の倒産状態となり、退職金による返済のめどがつかなくなってしまった。
転職活動をしているものの、今後の収入減は避けられず、このまま貯蓄を取り崩して
いては、早晩、行き詰まってしまう。
子どもが独立したこともあり、広い間取りは必要なくなっている。
自宅を売却してローンを清算し、夫婦2人でちょうどよい賃貸住宅に転居しようと
考えた。
そのことを銀行に相談すると、「自宅の売却はできない」と断られてしまった。
自宅マンションの評価額は1800万円程度まで下がっており、売却してローンを
清算すると、担保がない借金が200万円残ってしまうからだ。
それを避けるために、銀行は原則として自宅の抵当権をはずしてくれない、つまり売却ができないということになる。
「売ることもできないのですか?
でも、このまま返せなかったらどうなるのでしょう?」
Bさんはローン保証料を払っていた。
しかし、保証会社が〝保証〟をするのは、あくまで金融機関に対してである。
返済が滞ると、債権が保証会社に移り、そちらから取り立てが始まるようになるだけで、Bさんが返済を免れるわけではない。
幸い、Bさんにはある程度の金融資産があるので、それを現金化して繰り上げ返済することが可能である。
その上で自宅の売却を検討することにした。
しかし、それでも今後の生活設計には不安を残す状況になってしまった。
Bさんのケースは、予定していた退職金がなくなってしまったことが原因である。
しかし、退職金をあてにして住宅ローンを組んでしまったことが根底にある。
もし、金融資産が少なければ、金融機関の同意を得ての任意売却や自己破産なども考えなければならなかった。
できれば退職金は老後の生活資金と考え、退職までに住宅ローンを完済できるようにしたい。
それでは希望の物件を購入できない、という人もいるだろう。
確かに、退職金での繰り上げ返済を前提として住宅ローンを組む人は多い。
しかし、それでもなるべく、退職金への〝依存〟が少なくなるように資金計画を組みたいものだ。退
職金を受け取るのは、20年後、30年後のことである。
会社の倒産や転職などで、見込みが狂ってしまうことも少なくない。
老後に負担を残さないためにも、以下のことを頭に入れながら、住宅ローンの適正額を考えたい。
・住宅ローンの返済額は、安易に35年と考えない。
・「今返済できるか」だけでなく、「将来も返済できるか」を考えておく。
・収入や金利が変わる、住み替えを希望するなど、状況の変化も考慮する。
・住宅業者、金融機関は「できるだけ多く借りて、高い物件を購入する」ように勧めてくることを踏まえて話を聞く。
住宅ローンの“借りられる最大金額”と“無理なく返せる金額”は異なる。
どうしても“借りられる最大金額”に目が行きがちだが、“無理なく返せる金額”を超えてローンを組めば、必ずどこかで“無理”が生じることを肝に銘じておきたい。
ファイナンシャルプランナーからのまとめの
・背伸びしたローンでやがて老後破産
・退職金期待し過ぎは赤信号
・あわてない自分でつかむ身の丈の夢
私心
新築も建売住宅の購入も同じ事が言えます。
大きな夢は大切ですが、お金のからむ事は身の丈に合った計画が大切です。
人気のある土地での建売はセールスからせかされます。
冷静になって行動し悔いのない事を願います。