投資家の目線

投資家の目線987(サウジアラビアの欧州債券売却問題)

 今年初め、G7がロシアの凍結資産約3000億ドルを差し押さえた場合には欧州の債券を売る可能性があると、サウジアラビアが非公式に伝えたという(“Saudis Warned G-7 Over Russia Seizures With Debt Sale Threat” 2024/7/9 Bloomberg)。それを引用したロシアメディアsputnik日本(「サウジがG7に警告、ロシアの凍結資産を押収すれば欧州債券を売却=米メディア」 2024/7/10)によれば、その結果、G7は資産そのものには手を付けず、その運用益の差し押さえのみにとどめたという(ただし、サウジアラビア財務省は報道内容を否定)。

 

 また同記事によれば、検討対象となっているのはフランス国債で、全て売却されても相場に大きな影響はないと報じられているが、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバーでフランス銀行(中銀)のビルロワドガロー総裁は、フランスは赤字を拡大させ続ける余裕はないと警告している(「フランス、赤字拡大続ける余裕ない-ECBビルロワドガロー氏が警告」 2024/7/11 Bloomberg)。財政状況が悪い中でフランス国債が売却されれば、フランス政府の資金調達コストは高くなるのではないだろうか(フランスだけの問題ではないだろうが…)?プーチン露大統領はG7によるロシアの凍結資産の差し押さえのことを「盗み」と表現しているが(「サウジがG7に警告、ロシアの凍結資産を押収すれば欧州債券を売却=米メディア」)。「盗み」を正当化するG7の「法の支配」とは、G7が好き勝手をやれる「法(解釈)」によって世界を支配できるようにすることなのだろうか?

 

 GPSに誘導されるエクスカリバー砲弾、高機動ロケット砲システムHIMARS、ボーイングとサーブが製造した地上発射型小口径砲弾といった西側のハイテク兵器は、電子技術を使ったロシアの対抗措置により短期間で無効化され、現在投入されているハイテク兵器についてもロシアが対抗措置をとるのは時間の問題とされている(「【焦点】米ハイテク兵器、対ロシア有効性は続かず」 2024/7/11 ダウ・ジョーンズ配信)。政府・議会は昇給や住宅手当の引き上げなど兵士の生活の質向上を図ろうとしているものの、2024年第1四半期の米空軍、海軍、海兵隊の兵士の自殺率はパンデミック期を上回っている(陸軍は低下)(”Suicides in Air Force, Navy and Marines in first quarter of 2024 top pandemic-era rates, DOD data shows”  By CAITLYN BURCHETT  STARS AND STRIPES • July 11, 2024)。

 

 G7は財政でもハイテク兵器でも兵士の自殺の点でも、問題を抱えている。

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