投資家の目線

投資家の目線895(岸田内閣の支持率低下)

 岸田内閣の支持率が低下している(『岸田内閣、支持・不支持「逆転」続出 9月各社世論調査』 2022/9/20 日本経済新聞WEB版)。6月のブルガリアの連立政権崩壊に始まり、イギリス、イタリア、NATO加盟予定のスウェーデンでもウクライナ事変発生当時の政権が崩壊した。フランスではマクロン大統領が再選したものの、国民議会選挙は野党が制した。ウクライナ支援の拠点となったポーランドでも生活費の高騰で与党の支持率が低下し、野党と拮抗していた(”Cost-of-Living Surge Erodes Support for Polish Ruling Coalition” 2022/7/26 Bloomberg)。米国の中間選挙でウクライナに何の権益も持たない「アメリカを再び偉大に(MAGA)」勢力が勝利すれば、バイデン政権はウクライナ支援などできなくなるだろう。

 

 7月の参議院選挙で自由民主党が改選分の過半数を制したため与野党逆転による政権交代は難しい。与党内でジョンソン首相を引きずり下ろしたイギリスのように、与党内での反乱が「日本の顔」を取り換えるモデルケースであろう。

 

 第二次世界大戦前、ウクライナ西部はポーランド領だったことは以前記した(投資家の目線882(キナ臭い世界情勢))。そのほか、現在ウクライナ領の北部ブコヴィナは、以前はルーマニア王国領だったが、1940年にウクライナ・ソビエト社会主義共和国に割譲されたものだ。ウクライナ西部のザカルパチアは、チェコスロバキア領だった時代もあったが、ハンガリー王国の一部でもあり、近年はハンガリーが財政支援を行ってきた(復活始めた「大ハンガリー」 民族主義オルバン政権 隣国の市に財政支援 | 2019/12/23 毎日新聞)。2020年には、ポーランド軍がチェコ領に侵入するという事件が起こっている(『ポーランド軍、チェコ領を「侵犯し占領」 誤解原因』 2020/6/13 CNN)。「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた」などという間の抜けたセリフを吐くことは二度とあってはならない。

 

 安倍元首相狙撃事件に関連して、旧統一教会は、米国のマスコミ報道ではトランプ前大統領に関連して取り上げられていた(”How Abe and Japan became vital to Moon’s Unification Church” 2022/7/12 The Washington Post、「【焦点】安倍氏暗殺で注目、政治家と宗教団体の関係」 2022/7/15 ダウ・ジョーンズ配信)。トランプ政権はワシントン政治の部外者を多く採用したため、ワシントン政治の内部者であるロビイストなどは意見を聞き入れてもらえず、仕事はやりにくかったようだ(「アメリカン・デモクラシー 漂うマネー・惑う票3 与野党拮抗、ロビー活動勢い 企業、強まる政策拒否権」 2022/4/20 日本経済新聞朝刊)。ワシントンDCの主流派はトランプ政権の再来を望まない。日本の議員は旧統一教会と手を切った方が賢明だろう。

追記:

2022/10/1最終更新

第二次大戦のドイツ降伏直後、新生チェコスロヴァキアは、「領土の点では、ソ連にザカルパチア=ウクライナをゆずった(六月)が、ハンガリーとポーランドからいくらかをえたので、ほぼ相殺されていた」(「ドナウ・ヨーロッパ史 新版世界各国史19」 南塚信吾編 山川出版社 p327~p328)。第二次世界大戦後の国境線を変更しようとすれば、チェコ、ハンガリー、ポーランド間でも揉め事が起こりそうだ。

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