投資家の目線

投資家の目線868(United Nations のグレート・リセット)

 ウクライナ問題に絡み、日本国内でUnited Nations(以下、国連)改革に関する発言が出てきた。「国連、これでいいのか ロシアの安保理追放も検討を」(2022/3/15 日本経済新聞朝刊)でコメンテーターの秋田浩之氏は、常任理事国の拒否権への一定の制限、常任理事国の追加や非常任理事国枠の増加などを提案している。また、辛坊治郎氏は、「こういうことを機に、第二次世界大戦後の戦勝国が国際社会の平和の枠組みを全部手の中には入れているという現状において、おかしいんじゃないのという国際的な議論を始める1つの大きなきっかけになってもいいよな、という気はしています。」(『ロシアの安保理常任理事国解任案浮上 「議論を始める1つの大きなきっかけになってもいい」辛坊治郎が持論』 2022/3/3 ニッポン放送)とまで言い出している。元枢軸国が連合国(United Nations の本来の意味)主導の国連の枠組みに口を出すなんて調子に乗り過ぎではないか?ウクライナ問題では、国連憲章の敵国条項対象国のドイツやフィンランドもウクライナへの武器供与を表明している(「ドイツ一転、ウクライナに武器支援 露のSWIFT排除にも前向き」 2022/2/27、「フィンランドとスウェーデンも武器供与 NATO非加盟の中立国」 2022/3/1 産経新聞sankei.com)。

 「グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」(クラウス・シュワブ、ティエリ・マルレ著 藤田正美、チャールズ清水、安納令奈訳 日経ナショナル ジオグラフィック社 p122)には、グローバルガバナンスの項がある。「グローバルガバナンスとは、一般にグローバルな(複数の国家や地域に影響を与える)問題へ対応することを目的に国家を超えて協力することと定義されている。そこには、複数の国民国家に関わる共通課題への対応を予測可能で安定したものにするための制度、政策、規範、手続きやイニシアティブなどすべてが含まれる。」と書かれている。グレート・リセットの一環として、国連の連合国主導からの脱却を妄想しているのだろうか?

 ウクライナにはネオナチがいる。「問題視されるのが第2次大戦前に結成されたウクライナ民族主義者組織(OUN)の指導者ステパン・バンデラ(1909~59年)。ウクライナを支配していたソ連、ポーランドからの独立を期し、武力闘争を展開した。ユダヤ人を迫害するナチスにも協力し、欧州では極右勢力と目された。」(「ユダヤ人が殺された渓谷に博物館建設へ 被害と加害が絡む歴史」 2020/7/27東京新聞 TOKYO Web)というから、ウクライナのネオナチは枢軸国の残党と言える。連合国だったソビエト連邦の後継国家ロシアと米英はネオナチ殲滅のために連帯ができるだろう。日本でも、これを機会に連合国主導の国際秩序をリセットしようと考える不心得者があぶりだされた。

 ただし、「Also in 2015, the US Congress removed a ban on funding neo-Nazi groups like Azov Battalion from its year-end spending bill, said an article by The Nation magazine in January 2016. In July 2015, two Congressmen drew up an amendment to the House Defense Appropriations bill that limited "arms, training, and other assistance to the neo-Nazi Ukrainian militia, the Azov Battalion," but the amendment was removed in November following "pressure from the Pentagon," an insider told The Nation."Considering the fact that the US Army has been training Ukrainian armed forces and national guard troops, ... Congress and the administration have paved the way for US funding to end up in the hands of the most noxious elements circulating within Ukraine today," commented the article's author James Carden, suggesting that the US military had also engaged in the training of NGU, which may include Azov Battalion members.(また、2015年、米国議会は、アゾフ大隊のようなネオナチ集団への資金提供の禁止を年末支出法案から削除したと、2016年1月のThe Nation誌の記事は述べた。2015年7月、2人の下院議員が「ネオナチ・ウクライナ民兵、アゾフ大隊への武器、訓練、その他の支援」を制限する下院国防歳出法案の修正案を起草したが、修正案は「ペンタゴンからの圧力」を受けて11月に削除されたと、あるインサイダーはThe Nationに語った。アメリカ軍がウクライナ軍と国家警備隊を訓練してきたという事実を考えると、...議会と政権は、アメリカの資金が、今日ウクライナ国内で流通している最も有害な分子の手に渡る道を開いた」と、記事の著者ジェームズ・カーデンはコメントし、アメリカ軍がアゾフ大隊のメンバーを含むかもしれないNGUの訓練にも従事していたことを示唆している。)翻訳ソフトによる」(GT investigates: Evidence suggests US may have supported neo-Nazi Azov Battalion - Global Times  By Huang Lanlan and Cui Fandi 2022/3/7)。これを見ると、オバマ民主党政権は、ネオナチのアゾフ大隊にウクライナで何らかの役割を期待していたのだろう。

 2020年の米国大統領選の前に、当時のトランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領にジョー・バイデン現大統領と息子ハンター・バイデン氏の疑惑の捜査を依頼していた(「トランプ氏の通話記録を公表 ウクライナにバイデン氏捜査を働きかけ」 2019/9/26 BBC)。ロシアから米国への制裁リストにはハンター・バイデン氏も含まれていたが(「ロシア、バイデン米大統領と高官12人の入国禁止 西側の制裁に対抗」 2022/3/16 BBC)、トランプ支持者にこの事件を思い起こさせるものであり、米国がウクライナ支援でまとまることはないだろう。

 ロシアは米国がウクライナで生物兵器の開発に関与していると主張した(『露再び「米国が生物兵器開発に関与」 国連安保理会合』 産経新聞 sankei.com 2022/3/19)。アンソニー・ファウチ氏が所長を務める国立アレルギー・感染症研究所はチュニジアでビーグル犬が生きたまま感染症の原因となる寄生虫に嚙ませるような研究や(『動物実験疑惑浮上で「ファウチを逮捕しろ」タグがトレンドに』 2021/10/25 女性自身)、『武漢ウイルス研究所でのコロナウイルス研究のため、NIHがニューヨークの非営利団体「エコヘルス・アライアンス」を通じて、5年間で少なくとも60万ドル(約6600万円)を助成した事実を、ファウチ博士が認めた(=米紙ウォールストリート・ジャーナルは、送金額を340万ドル=約3億7200万円=と報じている)。NIHディレクターは「コウモリのコロナウイルスが人に感染するか、その研究をするため」と語っている。』(『米ファウチ博士、武漢研究所と“親密な関係”か 「コウモリ研究」名目で多額助成、パンデミック初期に「一緒に乗り越えましょう」とメール 河添恵子氏が緊急寄稿』 2021/6/9 iza)という研究を外注に出しているので、危険なウイルスを研究している施設がウクライナにあっても不思議ではない。

 日本政府は、ウクライナ難民に対して「政府は特例で日本に親族がいない人も対象に加え、生活支援として難民に就労可能な1年の在留資格を与えます。」(「ウクライナ難民増加止まらず 日本どう対応?」 2022/3/16 日本経済新聞WEB版)。アドルフ・ヒトラー著「わが闘争 上」(平野一郎・将積茂訳 角川文庫 p415)では、日本を含む東部アジアの人種を『おそらく「文化支持的」と呼ばれうるが、けっして「文化創造的」と呼ばれることはできない。』とアーリア人より下位に置いている。治安の面から、入国する難民の中にネオナチが含まれないよう、審査は厳密に行う必要がある。

追記:2022/3/27(最終更新 2023/6/19)
チャルマーズ・ジョンソン著「帝国アメリカと日本 武力依存の構造」(屋代通子訳 集英社新書 p19)には、1979年のソ連のアフガニスタン侵攻について、カーター政権の国家安全保障担当補佐官だったズビグニュー・ブレジンスキーのフランスの週刊誌《ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール》でのインタビューが記されている。
「公式にはCIAがムジャヒディンに手を貸すようになったのは一九八〇年からということになっている.つまりソ連軍がアフガニスタンに侵攻した一九七九年一二月二四日以降、ということだ.しかしこれまで固く守られてきた秘密だが、現実はまったく違う.実のところ、カーター大統領がカブールの反ソ連勢力に秘密裏に支援を開始する最初の命令に署名したのは、一九七九年七月三日だった.わたしが大統領にメモを送り、この支援がソ連の軍事介入を誘発することになるだろうという見解を伝えたのもちょうどその同じ日だ(中略)ソ連が本格的に国境線を越えた日、わたしはカーター大統領に書簡を出したよ.だいたいこんな内容だった.これでソ連にヴェトナム戦争を体験させてやれます、と.」

ソ連がアフガニスタン侵攻したとき、「カーター回顧録 下 キャンプ・デービッドとイランの影」(日高義樹監修 持田直武・平野次郎・植田樹・寺内正義訳 日本放送出版協会 p268)には、「この対ソ制裁問題をめぐって、国務省は国家安全保障会議のスタッフより強硬な態度を主張した。いつもの場合とは逆であり、おもしろい現象だった。ブレジンスキーは際立って冷静であり、ソビエトとの将来の関係を心配していた。私もまた冷静だった。」と記されている。カーター氏らにとっては、ソ連が彼らの思惑通りに動いたのだから、それは「冷静」でいられるのだろう。

米国のアゾフ大隊への支援は、ソ連のアフガニスタン侵攻の時のムジャヒディンへの支援に似ている。

 

↓ズビグニュー・ブレジンスキー氏の息子、マーク・ブレジンスキー氏はロシアの特別軍事作戦開始の半年前に、対ロシア強硬派のポーランドの駐在米国大使に任命されている。(2023/6/19追記)

米大統領、駐ポーランド大使にブレジンスキー氏任命 外交のベテラン  2021/8/4 ロイター


「バラク・オバマ元米大統領はまだイリノイ州選出の新人上院議員だった頃、初の外国訪問で、危険な生物物質を扱うウクライナの施設に連れて行かれた。倒壊しそうなその施設では、米当局者が生物兵器の製造を手伝うのではなく、死に至る危険な病原体がテロリストの手に渡らないよう管理に当たっていた。」(「米支援のウクライナ生物施設、米ロ情報戦の火種に」 2022/3/22 WSJ)。このことは、オバマ元大統領がかなり以前からウクライナとつながる伝手があったことを示している。

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