投資家の目線

投資家の目線703(米国の万国郵便連合脱退について)

 米国が万国郵便連合(UPU)の脱退手続きを始めることを発表した(「米、万国郵便連合離脱へ、中国との料金格差批判。」 2018/10/18 日本経済新聞 朝刊)。トランプ政権は、「サンフランシスコからニューヨークに送るより、北京から送った方が安い」(「米中対立、郵便でも、中国の「途上国料金」利用不満、米、万国連合離脱へ独自制度。」 2018/10/19 日本経済新聞 朝刊)ことや、「アマゾンが我々の郵便システムを配達員扱いしている」(「米郵便制度改革「需給に応じた価格設定を」政権が提案」 2018/12/5  9:35 日経速報ニュース)などの問題点を主張している。

 米国郵政公社は、「2017年まで11年連続で赤字を記録し、深刻な経営不振に陥っている」(同記事)といい、米国の郵便制度は危機的状況と言える。『米国が抱える不満の根源はUPUが定める国際郵便の料金制度だ。郵便事業者が重さや量に応じて相手国の事業者に支払う「到着料」が発展途上国については割安に設定されている。特に軽量の小包は格差が大きい』(「米中対立、郵便でも、中国の「途上国料金」利用不満、米、万国連合離脱へ独自制度。」 2018/10/19 日本経済新聞 朝刊)という。米国の政権が需要に応じた価格設定で自国の郵便制度を守ろうとしても、現行のUPUの制度のままでは、グローバル企業は安い輸送料金を求めて発送拠点を途上国に移し、米国の郵便制度の維持は困難になるだろう。グローバル企業の移転先は途上国ならどこでもよいだろうが、人口の多い中華人民共和国は郵便を大量発送する処理能力がある。自国の郵便制度が崩壊しては、UPUに加盟する意味もない。

 日本郵政グループのHPを見ると、日本の郵便物(国際郵便、ゆうパックなどの荷物 を除く)は2017年度の171億通と、2011年度の190億通から19億通(10%)減少している。日本郵政の保険会社アフラックへの出資も、「完全子会社の日本郵便は郵便事業が右肩下がりで19年度以降は営業赤字が続く見通しだ」(「郵政、国内縮小に焦り、アフラックに2700億円出資、頼みの金融2社も運用難に。」 2018/12/20 日本経済新聞 朝刊)という、郵便事業の縮小が一因としてあるようだ。昨年、はがきの料金が上がったが、日本も米国と同様に郵便制度を見直す必要があるだろう。

日本郵政グループのHPより

平成24年度引受郵便物等物数 2013年5月14日


2017年度引受郵便物等物数 2018年5月11日
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