コロナ重篤化から全身麻痺

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退院

2022-08-07 18:04:00 | 日記
手術を受けてから三時間とちょっとが過ぎ、朦朧としたまま目が覚めた。

お腹は術後のため少し痛い。

そのまま四人部屋へと運ばれ尿道にカテーテルがないのを確認する。
あれ?全身麻酔をしたら必ず尿道カテーテル入れるのに入ってない。

?を浮かべながら何やら薬を飲まされた。どうやら痛み止めのようだ。
点滴に繋がれ足には血が止まらないようにと、マッサージする機械が取り付けられている。

そうこうしてる内にオムツを穿かされた。
「オシッコが出なかったらカテーテル入れますのでその時は言ってくださいね」
看護師にそう言われるが、カテーテルなんて冗談じゃない。
麻酔中に入れられて抜くのも痛いのに、はっきりと目が覚めてる時のカテーテルなんて地獄だ。
最初の病院で何度もやられて参ってる。

頑張って夜中にオムツでオシッコをした。
寝ながらだとやはり出にくい…

オシッコが出た事を伝えると、「あ、出たんですね。次からはトイレに行きますか? 行く時は遠慮なくナースコールして下さい」そう言われて安心した。

ナースコールしてトイレに行くのも、ベッドから車椅子に移らなければ行けない。
しかも点滴という邪魔なもの付きだし、車椅子の乗り降りはここの看護師とは初めてだ。

不安なままナースコールを押して、車椅子に乗る時の位置取りやトイレでどう乗り移るとか指示した。

何とかトイレで用を足せる事への安心感たるやなかった。
退院は5日後らしくそれまでの間は用を足すときはナースコールかと溜息をついた。

それにしてもこの部屋は暑い。
暑くて何度も目が覚めた。ナースコールをしてアイス枕を貰うも全く効果がない。

暑いと訴えても隣のお年寄りの患者は暑くないらしく言っても無駄だった。

その日は暑くて何度も目が覚め眠れず、医者にも「暑方寝れなかった」と訴えた。
返ってきた言葉は意外にも「本当だね。空調下げてもらおうか」だった。
言ってみるもんだと思った。

そんなこんなでお昼前の時間に部屋移動と言われて、何故か個室に移動させられた。

聞いてみると、一緒に来た施設の看護師がコロナの陽性になったらしい。(後から聞いたら二回目検査したら陰性で何ともなかったらしいが)
濃厚接触ではないが、一応隔離と言うことで個室に移ったのだ。
空調が自由に設定出来る喜びに笑みが溢れた。

個室に移ってもリハビリのない毎日は本当に暇で、決まった時間に1日三回点滴をして、同じ時間に三食用意される日々が続いた。

その間、ずっとスマホを弄り、トイレの度にナースコールをする。

退院の前の日に病院で最初で最後のシャワーを浴びた。
介助は一年目の新人看護師で頭から身体まで洗ってもらう。
さっぱりして部屋に戻るとシャンプーの良い匂いに包まれていた。
そういえば髭も剃っていない。

そして退院当日。
迎えに来たのは施設の人ではなく母親だった。
介護タクシーを予約しているからと朝早くから迎えに来て、退院の手続きをする。
その間に五日間剃っていない髭を電動シェーバーで剃った。

介護タクシーに乗り込んで見送りに来た看護師に「お世話になりました」とお礼を言って出発する。

出発して三分ほどで施設に到着すると、誰の迎えもなく、その手で部屋まで車椅子を走らせた。

荷物を手の届くとこにまた配置しなくては。
元来せっかちな性格なため、早く元に戻したかった。

本日は日曜日、リハビリの訓練もなく、施設内は静かだ。
バスの時間がまだだと言う母と部屋で過ごしている間に昼食の時間となった。
急いで食べて母の元へ戻ると、バスの来る時間だからとお別れをした。

また明日から施設での生活が始まる。
もう手術をする事はないだろう。

この一年間で一生分の手術をしたはずだ。




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