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釣りとルーテシアの日々

釣りとルノー・ルーテシアに関するブログです。

純米酒の常温自家熟成

2007年07月25日 22時17分11秒 | 日本酒

釣りを再開して魚料理を頻繁に行うようになってから日本酒を良く飲むようになりました。刺身、塩焼き、干物、煮魚、天ぷらなど、やはり日本酒と絶妙に合います。しかし飲み方は、適当に買ってきた4合ビンを冷蔵庫で冷やして、味が劣化しないうちにできるだけ早く飲み切るというスタイルでした。
そんなある日、本屋でたまたま目にした古川修さんの著書「世界一旨い日本酒」を買ってみました。その本によると、「よくできた純米酒に限っては開栓したらすぐに飲まず、そのまま常温で放置した方が美味しくなる(常温自家熟成)」、しかも「2、3日放置しておくレベルではなく、1ヶ月、半年と放置するとより味乗りしてくる」とのこと。
さらに別の本、上原浩先生の「純米酒を極める」には、「酒は純米、燗ならなおよし」すなわち良い純米酒・純米吟醸酒を割り水(少し水を入れて)燗をつけるのが本当の日本酒飲み方で、これほど美味で健康的な飲み方は無いと書いてありました。
とりあえず半信半疑だったので、両方の本に紹介されている「神亀」と「秋鹿」に目星を付け、近所でそれらの銘柄を売っている酒屋を探して行ってみました。横浜市港南区の秋元商店です。大きなガラス張りの部屋(セラー)があり珍しい地酒がたくさんあります。涼しい部屋で15℃くらいに保たれているようです。生原酒などは巨大な冷蔵庫内に陳列してあります。目当ての神亀純米と秋鹿:山廃山田錦無濾過生原酒(精米7割)の一升瓶を選んでレジに持って行きました。すると店主が「今日のお勧めを試飲されますか?」と何種類か酒瓶を持ってきてくれました。その中の悦凱陣・無濾過純米生原酒は、「これが日本酒か!?」というくらいびっくりする味わいで、一瞬ブランデーを思わせる香りが口の中に広がったあと、ほのかな甘みが広がります。しかもその甘みが舌から蒸発して行く過程が分かります。日本酒という分類の中で、こんな高レベルな飲み物を造る人がいることに、カルチャーショックを受けました。「開栓してから一週間経ったものです。まだまだ味乗りしますよ。」ということで思わずこれも買いそうになってしまったのですが、その時は我慢して帰りました。
それからは日本酒の常温熟成を実践し、家には常に一升瓶が4~5本栓が開いている状態になりました。確かに1本を数ヶ月かけて飲むと味乗りの変化がよく分かります。その日の料理に合わせて日本酒を選択する楽しみも生まれました。
写真は「秋鹿(大阪)」山廃山田錦無濾過生原酒(精米7割)、赤ワインに負けない酸味を持っています。これくらい個性のある日本酒も珍しく、揚げ物とかハンバーグとも良く合います。食事の最初はもう少し穏やかな日本酒を飲んで、締めに「秋鹿」を飲むのがしばらくの定番でした。

日本酒の実態

2007年07月19日 22時27分54秒 | 日本酒

現在の日本酒は、『純米酒』(特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒を含む)と『それ以外』(本醸造酒、普通酒、吟醸酒、大吟醸酒)に分けることができます。純米酒は当然ながら「米+水+米麹」で作られます。対して『それ以外』に共通することは、「米+水+米麹」に醸造用アルコールが添加されていることです。吟醸酒、大吟醸酒には、味わいをすっきりさせるなどの目的で少量の醸造用アルコールが添加されますが、本醸造酒・普通酒は価格を下げるため、米の使用量を減らすために醸造用アルコールさらに糖類なども加えられます。何かに似てますね。ビールに対する発泡酒・第三のビールとそっくりです。
日本酒を飲んで悪酔いしたり、臭いが嫌いになった人が少なくないと思いますが、それは本醸造酒・普通酒を飲んだ可能性が高いです。本来の日本酒「純米酒」は、米のでんぷんを米麹が糖に変え、酵母がその糖をアルコールに変えて行き、その過程で複雑な香りや味わいを増し、最終的にひと夏を越えて熟成されて味が落ち着いた頃、火入れをされて出荷されます。酵母の分解作用に伴って、生活習慣病や成人病、ガンを防ぐミネラル成分が含まれることが分かってきました。正しいものを選んで飲んでいれば悪酔いしづらい酒です。
しかし本醸造酒・普通酒は、酵母が働いている最中に醸造用アルコールを加えてしまうので酵母は動きを止めその後の熟成も行われない酒となってしまいます。酵母の分解作用が少ない分、当然アルコール度数が低いのですが、その分さらに醸造用アルコールを加えます。それらを飲むということは、何者か分からないアルコールを体に入れるのですから、肝臓への負担も大きいでしょう。そもそも我々はアルコール摂取を目的に飲酒しているのでしょうか....。
残念ながら、今の日本酒の出荷量のうち90%がこの「本醸造酒・普通酒」だそうです。居酒屋に行って目をつぶって日本酒を頼むと、10本のうち1本しか「純米酒」は出てこないかもしれません。

写真の酒は「神亀(埼玉県)」純米酒です。関東では大きなデパートや良心的な酒屋で結構売っています。燗にして夕飯の時に飲んでました。甘口感はなく、口に含んだ瞬間に「厳しさ」を感じる酒です。例えは変ですが、よく焙煎された豆のストレートコーヒーをホットで飲んでいるような潔さがあります。どんな料理もしっかり受け止めて、食事を豊かにしてくれる酒です。