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あんまり好きじゃありません。レオナール・フジタ。
なので、年末年始当たりに都内でやってたときには、わざわざ交通費払ってまで行くのはめんどくさい、くらいに思ってたんですが。
でも、この規模のものを、家から歩いていけるところでやられちゃあ、やっぱ行っとかないとね。
ということで、午前中から出かけてみました。
さすがに午前中だけあって、大混雑なんてことはないんですが、それなりに人が入ってますよ。
全体としては制作年代順に並んでいるので、最初期のもののあとはしばらく裸婦ばかり。
「仰臥裸婦」あたりは流れるような構図といい、結構嫌いじゃないんですが、それでもそんなにいいとは思えない。
白を強調するために、他の色味を極力抑えていたり、それでいながら、必ず目頭にはかすかにピンクを入れていたり、そういうところは見ていて面白いんですが。
「構図」「争闘」の大作4枚も、修復技術も含めて、すげーな、と思いつつも、好きかと訊かれたら全然そんなことないわけで。
個人的に良かったのは後半の展示、晩年の宗教画と、その頃のアトリエの再現。
前半に展示されているものとは筆致が違っていて、こっちの勢いのある輪郭線の方が好きだし、どうしてもそれを描き表したい、という意志が伝わってくる感じだ。
しかも、背景に金箔が貼ってる作品は、金箔の貼り方が実に日本的なので、ちゃんと宗教画の伝統をすべて踏まえていながら、何とも独特な雰囲気に仕上がっていたり。
そして、何よりも良かったのは、平和の聖母教会の再現。
下手に複製を展示するのではなく、実際の教会内の配置通りに下絵を展示してあることで、これはこれで本物だ。
この教会だけは、いつか実際に行ってみたいと思わなくはないけれど、果たしていく機会があるかどうかわからないだけに、こうして「本物」を体験できるのは実にありがたい。
それにしても、教会としては小さい方だとは思うが、実際にその広さを再現した空間に身を置いてみると、あの年であれだけの空間に、しかもフレスコ画ですべて描いた、というのはホントに凄いことだ。
まさに、遺作にして最高傑作、といったところじゃないでしょうか。