
戻っていくと、楽屋の中から声が聞こえるが、着替えが済むまでは入らないでおこう。
いや、今、着替えてるかどうかもはっきりしないが(笑)
楽屋の外では、Marcとスタッフが今日のセットリストを手に話をしている。
どうやら、スタッフの意見では、観客があまりついて来れてなかったから、"Unterwegs"は入れない方が良い、ということのようだ。
するとPeterがWeißbierの瓶とグラスを手にGarderobeから出てきた。
どうやら注ぐのに失敗したらしく、グラス一杯に泡だらけになっていて、向かいの原っぱに泡を捨てている(笑)
つーか、まだ着替えてないじゃん!!
まだしばらく外にいるしかない。
Marcとスタッフの話に加わったPeterが、そこにはどうしてもテンポの速い曲が欲しいから、"Unterwegs"が最適だという。
Marcはさらに別のスタッフにも意見を求めているが、こちらのスタッフは、"Unterwegs"は良かったよ、と言っている。
ところで。
「今日のセットリスト、貰えるかな?」
と外に出てきたFloに訊いてみる。
昨日、一昨日は、こっちから頼まないうちに貰っちゃったけど、どうせなら3日間全部のが欲しい。
余分が見あたらないらしく、FloがMarcに「セットリストをあげて」と頼んでくれると、なんとMarcは自分が持っていたリストをくれた。
もうこれしかなかったのか!!
申し訳ないなぁ。
まだ話は続いていたので、途中でMarcがやってきて、
「ちょっと見せて…OK!」
Marc…なんていい人なんだ。
Floがシャワーを浴びに行き、小屋の排水管から、水が流れ出している。
そういえば、Floは2日間ともシャワーを浴びに行くのを見たけれど、PeterやRüdeは行ってない気がする(笑)
毎回、かなり汗をかいているけれど、着替えるだけだ。
でもRüdeの髪のにおいとか、大好きだ。
着替えて出てきたPeterが、ふざけてドアの脇にあった手押し車に乗る。
それを太って体のデカイスタッフが押して回る。


オフィシャルに公開されたり、他のサイトに公式に載ったりするものであっても、彼らの写真は、よくふざけたりじゃれ合ったりしているのが多いけれど、これはもう、彼らの日常の姿なんだなぁ。
なんだかどこまでいっても写真や映像から受けるイメージと変わらない(笑)
Floがシャワーから戻ってきて、ビールを飲み始める。
「あ、そういえば今日は、全然アルコールを飲んでない!」
FloにWeißbierを注いで貰うことにした。
ところが使っていないWeißbier用のグラスがない。
仕方なくFloは、誰かが使ったグラスに、傍らのミネラルウォーターを注ぎ入れて中をすすぎ、自分のタオルでグラスの口をごしごしと拭いてくれる(笑)
「これでいい?」
いい、いい(笑)
グラスをほぼ水平にしてビールを注ぎ入れ、ほとんど入ったところで、瓶を両手で転がすようにして回して泡立て、泡をビールの上に注ぐ。
これで完成、と思ったら、
「この泡が少し沈んだら、残りを入れて」
と瓶を渡された。
確かに瓶の底に、あと少し泡が残っている。
なるほど。正しい入れ方がよくわかった。
「そこに座りなよ」
というので奥のソファに座って、飲もうとしたところへ、Marcが入ってきて、
「やぁ、すごい図だな(笑)」
と笑う。
そういうMarcはロングドリンク用のグラスにワインが入ってるんだがf(^ー^;
Marcのワインと乾杯する。
他のみんなが外で飲んでいるので、Floが外に行こう、と言う。
Peterが、さっきのアレなんて言うんだっけ、"Wunderbaren Jahren"を日本語で…と言って、またもや「スバラシイトシ~♪」と歌い出す。
絶対に変だから!!(笑)
ある日突然、ライブで歌い出しちゃわないかと心配だ。
「2009年はライブがないから、会う機会がないね」とPeterが言い出すと、
「でも、仕事で来るって」とFlo。
「ミュンヘンに?」
「うん、たぶん」
するとPeterが言った。
「じゃ、会おうよ!」
「マジで?!」
横からFloが、
「俺達、もう友達だし」
やった!!
本気でSportfreunde Stillerと友達になっちゃった!!
実際、自分でも、ライブも見たいけれど、こうしてまた彼らと一緒に色んな話をしたい。
ファンとして話せて嬉しい♪とかではなく、友達としてもっともっと色んなことを語りたい。
それにはもちろん…。
「じゃあ、それまでにもっともっとドイツ語を勉強しなきゃ。次のときには、ドイツ人みたいになってやる(笑)」
「でも、この3日間で、随分ドイツ語出来るようになったよね(笑)」
え? 今でも、物凄く苦労しながら会話してるのに?
と言うことは、一昨日はよほどヒドイ有様だったんだな…f(^ー^;
確かに、一昨日はあんなに英語で話してきたのに、昨日今日は全部ドイツ語だし、知らない単語や言い回しじゃない限り、こっちも聞いた瞬間に言いたいことがわかるようになった。
具体的な言い回しを再現しろ、と言われたらできないけれど、おそらく内容の理解はそんなに間違っていないと思う。
今までは、一生懸命身構えて聞かなければ、理解できないことの方が多かったのに。
そりゃまあ、さすがに、これだけドイツ語漬けになる環境なんてないもんなぁ。
「Du Schweine」
とRüdeが突然言い出す。
は?
ブタ?
なにそれ?
「lustigな言葉だよ(笑)」
ぜんっぜん、わかんない。
「Schweinは知ってる?動物の」
Floがブタの真似をする。
そりゃ、Schweinって単語は知ってるけど…。
「日本では、ブタって良い意味?悪い意味?」
「あんまり…良い意味じゃないけど」
「こっちでもそうだよ」
?????
でも、みんなの表情からすると、そう悪い意味で言ってるようには思えない。
「でも、親しい相手に、lustigに言う言葉なんだ」とRüde。
まぁ、名実共に友達として認めてくれた、ってことだと受け取っておこう(笑)
「日本語には複数形がないって言ってたけど」
とFloが訊く。どうしてもそれが理解できないらしい。
「もちろん、3年とか、5年とか、10年とか、複数自体を表すことは出来るけれど、『年』っていう単語には複数がないんだよ」
と、ここで日本語の文法の説明をする。
日本人が欧米語を勉強するときに、単数と複数の違いをちゃんと理解するのに時間が掛かるのと同じく、単数と複数の違いがないというのがどういうことなのかを理解するのはきっと難しい。
なので、日本語とドイツ語と、文法がどれくらい違うのかを簡単に説明する。
さらには、午前中にRüdeに話した、文字の話も。
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