アノニマス・ライターの事件簿

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【医療ミス】飯高世子 研修医が造影剤を誤投与、女性患者を死亡させる=国立国際医療研究センター病院

2014年05月20日 | 造影剤による医療事故

2014年4月16日、国立国際医療研究センター病院において、CT撮影時に造影剤の誤投与があり、検査入院していた都内の女性患者(78)が死亡した。整形外科の女性研修医 飯高世子(29)が本来使用してはいけない薬剤を脊髄に投与、患者はショック性多臓器不全を起こした。



<事件の概要>
新聞発表の記事によると事件の概要は次の通りである。

「女性研修医が造影剤誤投与、女性患者死亡 医療研究センター」2014.4.18

 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)は18日、レントゲン撮影時に造影剤の誤投与があり、検査入院していた都内の女性患者(78)が死亡したと発表した。整形外科の女性研修医(29)が本来使用してはいけない薬剤を脊髄に投与、ショック性多臓器不全が起きた。センターは重大な医療事故と判断、警視庁牛込署に届けた。
 センターによると、患者は今月16日、神経が締め付けられ、足に痛みやしびれが出る「腰部脊椎管狭窄症」のために検査入院。同日午後2時ごろ、女性研修医がレントゲンやCT撮影用の造影剤を脊髄注射したところ、約2時間半後に意識を失い、蘇生処置を施したが午後8時すぎに死亡した。
 研修医に聴取したところ、脊髄には本来「イソビスト」と呼ばれる専用の造影剤を使うが、研修医が誤って別の造影剤 「ウログラフイン」を投与していたことが判明。浸透圧が約6倍と高く、神経組織内の水分が抜けるなどして虚脱状態に陥り、全身の機能不全を引き起こしたとみられる。
 研修医は卒業後5年目のレジデント(後期研修医)だが、一人で造影剤の脊髄注射を行うのは初めて。「どちらの造影剤も同じだと思っていた」などと話しているという。主治医は外来で現場におらず、投与の際には1年目の若手研修医2人が見学に立ち会っただけだったという。
 ウログラフインの箱やアンプルには「脊髄造影禁止」と赤字で注意書きがあるが、センターでは「なぜ気付かなかったのかは不明」とし、院内に調査委員会を設置して原因究明を図る。
 センターの中村利孝病院長は「ハイリスク薬の取り扱いの際に行うべき(第三者による)ダブルチェックが機能していなかった」と謝罪。研修医の教育も含め、再発防止を行うと説明した。


記者会見で謝罪する国立国際医療研究センターの中村利孝 病院長(右)、簑和田 滋 副院長(左)=18日午後、厚労省
(産經新聞 2014/4/18の記事より引用)

(*1)腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、脊椎にある脊柱管(せきちゅうかん)という神経を囲んでいる管が狭窄する整形外科疾患(Wikipediaより)


<事件の事実関係>
新聞記事の他、病院関係者からの情報によると次の通りである。

【加害者】整形外科の研修医 飯高世子(いいだか としこ)医師(29歳)
【被害者】東京都在住の女性患者(78歳)

・女性患者は腰部脊柱管狭窄症で国立国際医療研究センター病院の整形外科に通院していた。
・患者の担当医はふたり。主治医の正田修己(しょうだ なおき)医師(第二整形外科医長)と飯高世子 医師(研修医)。
・女性患者は一泊二日の予定で検査入院していて、同日の午後にCT検査を受けた。
・現場で患者に脊髄注射を行ったのは 飯高世子 医師。
・脊髄に使用してはいけない造影剤とは知らずに「ウログラフイン」を投与した。
・ウログラフインの箱やアンプルには「脊髄造影禁止」と赤字で注意書きがあるが、飯高 医師は確認していなかった。
・その場にいたのは、他に若手研修医が2人のみ。
・主治医の正田 医師や看護士は現場にいなかった。
・女性患者は、約2時間半後に意識を失い、蘇生処置を施したが午後8時すぎに死亡した。




<事件についての考察>
今回の事件は、この病院の医療現場で行われていた信じがたい事実が次々と明らかになる。

【研修医は知らなかった?!】
医療関係者によると、脊髄に使用する造影剤と血管に使用する造影剤が違うことは常識であり、最も「基本的なこと」であるという。医師だけでなく現場の看護士でも知っているそうだ。
警察の事情聴取で飯高 医師は「どちらの造影剤も同じだと思っていた」などと話しているというが、研修医とはいえ5年も医療現場で勤めてきた医師が「造影剤の種類の違い」などという基本的なことを、なぜ知らなかったのだろうか?全く持って不思議な話である。もし本当に「知らなかった」ならば、非常に程度の低い研修医だったと言わざるを得ない。5年もの間、飯高 研修医は現場で何を学んできたのだろうか?? また、飯高医師に指導してきた担当医師の責任も重いであろう。

いいだか としこ
飯高 世子(整形外科レジデント)

香川大学医学部卒業
日本整形外科学会会員
関東整形災害外科学会会員

(国立国際医療研究センターのウェブサイトより)
整形外科|診療科目・スタッフ紹介一覧(2013)|国立国際医療研究センター病院
※飯高医師のデータは事件のあと削除されている。

【病院内のチェック体制がない、という事実】
造影剤を間違えた研修医とは別に、使用する造影剤の「チェック体制」が病院内に「なかった」ことは、非常に重大な落ち度である。研修医は間違った造影剤を選び、それをノーチェックで使用した結果、今回の事故が起きている。検査薬などの運用システムに問題があるのは明らかだ。他の大学病院に勤める医師によると、安全対策を施したシステムが導入されている場合、今回のケースだと使用に関して薬を入力したら「禁止」が出てしまうという。管理体制が不備だった病院の責任も非常に大きい。

【国立病院のずさんな管理体制が露呈した事件】
もし・・・研修医が造影剤についてキチンと勉強していれば、事前に主治医が造影剤を確認していれば、病院のチェック体制がしっかりしていれば、ベテラン看護士がそばにいれば・・・きっと事故は未然に防ぐことができたはずである。
このようにずさんな管理のもとで命を落としたとあっては、亡くなった被害者(患者)も浮かばれないであろう。
不十分なシステムのまま放置してきた病院の管理体制は、当然、批判されるべきである。
今回の事件で責任ある立場の病院職員を記しておきたい。

中村 利孝(病院長)※2016年3月で退職
簑和田 滋(副院長・医療安全管理部門長・第一泌尿器科医長・泌尿器科診療科長)※2016年3月で退職
桂川 陽三(第一整形外科医長・整形外科診療科長・病棟医長)
前田 雅晴(事務長)
正田 修己(主治医・第二整形外科医長)※2015年3月で退職
飯高 世子(研修医・整形外科レジデント)※直接の加害者 ※2015年3月で退職

このような事故が起きた場合に病院側は、きまって「再発防止を行う」と言うが、犠牲者が出たあとで改善に取り組んでも遅いのだ。必要なのは「絶対に事故は起こさない」という強い意志と実行力、事故の可能性をひとつひとつ潰していく想像力である。

警察は刑事事件として業務上過失致死容疑で飯高世子 医師を立件する方向で動いている。また当然、民事事件としても訴訟になるであろうから、今後の裁判の行方を見守っていきたいと思う。



【主な新聞記事】
女性研修医が造影剤誤投与、女性患者死亡 医療研究センター(MSN産経ニュース)
造影剤の誤注射で78歳患者死亡 国立国際医療研究センター(日本経済新聞)
誤った造影剤注入、女性患者が死亡 国際医療センター(朝日新聞)

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