アノニマス・ライターの事件簿

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【民事責任】造影剤の誤投与事故で民事の賠償が決着。遺族は「医療安全についての提言」を病院へ提示(国立国際医療研究センター病院)

2017年10月30日 | 造影剤による医療事故

関係者への取材によると、国立国際医療研究センター病院で造影剤の誤投与で女性患者=当時(78)=が死亡した医療事故(2014年4月)において、被害者の遺族と事故を起こした飯高医師および国立国際医療研究センター病院(※以下、センター病院)との間で、2016年5月、民事責任(損害賠償など)の示談交渉が決着した。

◎医療事故についての詳細はこちら

<民事責任についての概要>
事故を起こした飯高医師の刑事裁判で有罪判決が確定した後、被害者の遺族と飯高医師およびセンター病院、双方の弁護士を通して民事責任の賠償について示談交渉が行われていたが、賠償金等で合意に至った。2016年5月、都内の某所にて、遺族と飯高医師およびセンター病院の代表者(大西 真 病院長など)、双方の弁護士が立ち会いのもと合意書が取りかわされた。主な内容は、次のとおりである。

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<民事責任についての合意事項>
■飯高医師およびセンター病院が被害者の遺族に損害賠償金を支払うこと(※金額については非公開)
■遺族が提示した「医療安全についての提言」をセンター病院が実行すること
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この示談で画期的なことは、被害者の遺族から「医療安全についての提言」が提示され、合意書に盛り込まれたことである。
痛ましい医療事故を二度と起こして欲しくないという遺族の強い思いが、提言というかたちになったと言える。合意書への調印の席上でセンター病院の大西 真 病院長は、遺族に提言の実行を約束したという。
それでは提言の内容とはどのようなものか、見てみよう。

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独立行政法人 国立国際医療研究センター病院に対する提言(医療安全についての提言)

1)亡 ○○○○(※被害者の氏名)の死亡日をメモリアルデーと定め、毎年、病院の安全体制の再点検や見直し、職員の医療安全の研修、第三者を含むシンポジウムなどを行い、その結果をホームページなどで公表する。シンポジウムを行う場合には、亡 ○○○○(※被害者の氏名)の死亡月の土日に行う。

2)月1回のリスクマネージャー会議「医療に係る安全管理のための指針」第3項)に、患者の声を代表する外部の有識者等の外部委員を参加させる。

3)医療事故の経験を患者の視点から医療安全に生かすため、病院が実施する医療事故防止にかかる研修(「医療事故に係る安全管理のための指針」第4項)に、医療安全・事故防止で活動している被害者団体等からも講師を招聘する。
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【参考】国立国際医療研究センター病院「医療安全管理室」