家の花、道端の花、花器

自宅庭や道端の花を「一種類だけ」花器に入れてみたい。私には二種以上を組み合わせ美しく見せる、センスも技術もないので。

ヤブツバキ(続)、井光黒(いかりぐろ)の壺

2024-02-27 04:18:38 | 庭の花、道端の花


(2024.02.26撮影)

ところで14代沈壽官制作の[井光黒釉]壺。
「井光黒」と名づけたのは司馬遼太郎氏であることは知っていた。そもそも沈壽官窯を訪ねたのは司馬先生の『故郷忘じがたく候』を読んだからである。同作の初出が昭和43年(1968年)であるから、おそらく間もなく、私は薩摩を訪ねている。もう、50年以上前になる。

私はずっと[井光黒釉]を、せいこうこくゆう、と読んでいた。井水(せいすい)という。司馬さんの名づけ理由にもかなっている。しかし今回、当ブログを投稿するについて、念のため確認してみた。井光黒釉の出るページはいくつもあるが、フリガナのついたものを見つけられなかった。井光(いかり)神社というのがある。井光(いかり)という地名もある。しかし井光(せいこう)という読み方は、1件も発見できなかった。そこでもっとも確実な、沈壽官窯々元に問い合わせた。即日、お返事を頂いた。「井光黒(いかりぐろ)」と読む、とのことである。
「あの色、質感、 深い深い井戸の底をのぞいている感もあり」というのが司馬先生の感想でした、・・・このことは私も知っていた。
私の[井光黒釉]壺も、つや消しのなかにわずかに反射する「光」がある。井戸を覗いたときの水の色、反射のない黒に、覗き込んだ自分の影や空が映ることがある、・・・日常に井戸があった世代の私には、よく知っている色彩である。

沈壽官窯
https://chin-jukan.jp