≪選抜出場校の思い出 2024 その9≫
九州代表 熊本国府(熊本) 初出場
夏出場なし
今年の選抜に、フレッシュな学校がやってきますね。熊本国府高校。ワタシも全くノーマークの学校でした。このところ九州は、新たな学校を生み出してきますねえ。。。。一昨年の大島、21年の大崎、富島・・・・など。今年は熊本からの初出場校ですか。しかしながら、九州大会を制覇していますし、神宮大会などを見ても、かなりの力を持ったチームだという事はうかがい知れます。九州大会では、神村学園、明豊と、全国に強豪として知られる学校を撃破。何かをやってくれそうな気配もある楽しみな学校です。国府・・・と聞いて、オールドファンのワタシは、昔々そのまた昔の、1975年のことを思い出したりしていました。その年に野球どころの愛知から初出場してきたのが国府高校。読み方は「こうこうこう」です。その名前が面白くて、そして強豪県の愛知からの初出場という事で、ワタシはなんだかいたく注目していました。そして試合を見ると。エースの下手投げ、青山投手に目を奪われました。ホント素晴らしいピッチャーでしたね。あの頃はプロ野球でもアンダースローが花盛りで、山田や足立、小林繁がエースとして君臨する時代でした。そのアンダースローのきれいなフォームからキレのある球を投げる青山投手に、ワタシは試合中ずっと魅了されていました。結局悲しいかなチームには打力がなく、青山投手の好投を見殺しにして、さらにタイムリーではない点の取られ方をして青山投手は0-1で初戦敗退となったのですが、思い出に残る好投手でした。。。
おっと、まったく関係ない話になってしまって恐縮です。この熊本国府も、甲子園に爽やかな風を送って、できれば快進撃を・・・・期待しています。
九州代表 明 豊(大分) 6度目(3年ぶり) 準優勝1回
夏9度出場 甲子園通算19勝13敗
前回の選抜で快進撃を見せ、決勝まで駆け上がった明豊。太田ー京本の必勝リレーと鋭い打線で、市和歌山の小園、そして智弁学園、中京大中京の強豪を次々撃破したのは見事でした。その打線の鋭さは、川崎監督の母校、智辯和歌山の全盛期を思い起こさせるほどになってきました。毎年甲子園に出てくるチームはどれも力は十分に持っているので、一つかみ合えば頂点まで駆け上がることも十分可能なチームですね。しかし明豊が強くなったことで、確実に大分県の高校野球のレベルも高くなってきていることは確かですね。その功績は大です。昨夏はかなり力を持ったチームでの出場でしたが、北海にあと1死から追いつかれての悔しいサヨナラ負けを喫しました。今年はその悔しさを晴らしたいこの大舞台です。前回の選抜のように、大会の前半で波に乗ることができるか?そのあたりがカギになってくるでしょう。
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川崎監督の”色”が出始めた明豊。今年は3年連続での選抜切符をつかみ取りました。強豪が点在し群雄割拠の九州地区にあって選抜を3年連続で射止めるのは並大抵ではないこと。明豊の底力がうかがえる今年の選抜です。明豊といえば、思い浮かぶのはなんといっても今宮(SB)の時代の超絶なチームですが、川崎監督の色は「強打を中心とした攻撃野球」で、自身の出身校でもある智辯和歌山のカラーを色濃く受け継いでいる野球という感じですね。前回は下の記事にも書いているように、十分に優勝を狙える戦力を有していましたが、大会そのものが行われず涙をのみました。4年前の夏、3回戦の神村学園戦で見せた、延長で3点を取られたあと4点を取り換えしてサヨナラ勝ちするとか、準々決勝天理線の最終回の6点入れる大反撃とか、とにかく終盤の粘りが「伝統」として息づいてきた今年のチーム、結構面白いチームです。秋の九州大会でも、初戦で好投手擁する九国大付属に対して8回に追いついて9回に決勝点を挙げて勝つと、神村学園戦ではまたも、0-4のビハインドを8,9回で3点ずつ入れて逆転という離れ業を演じ「ザ・明豊野球」全開という選抜ゲットでした。「閉店間際まで飽きさせない明豊野球」はじまり、はじまり~~~~。となれば、面白い選抜になりそうです。
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昨年の選抜は、初戦で横浜のドラフト候補・及川を打ち込んで圧勝すると、2回戦では明治神宮大会優勝の札幌大谷を、準々決勝では近畿大会優勝の龍谷大平安を、いずれも投手戦で下して4強に進出。その存在感を見せつけてくれました。昨秋の九州大会では、昨選抜で好投を見せたエース若杉を中心に、大逆転の連続で接戦を制して優勝。選抜でもその力を出すことが出来れば、上位進出も夢ではないと言われている充実した戦力を有しています。過去の甲子園でも大きく勝ち越しており、毎回「余韻」を残して甲子園を去る好チームです。ここ2年連続で大分から2校揃っての選抜出場となり、県内のレベルアップは着実に図られているという印象ですが、その中心にはこの明豊がどっかりと座っています。当然優勝を狙って乗り込む選抜で、どのような戦いぶりを見せてくれるでしょうか。
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ダイエー・城島の母校として知る人ぞ知る存在だった別府大付属が明豊と校名を変えて甲子園に初登場したのが01年夏。今は亡き大分の名将・大悟法監督が率いて最初の試合から20-0というまさにセンセーショナルなデビューを飾って、この年いきなり3勝を挙げての8強進出。これで一気に明豊という名前は、全国の高校野球ファンにとどろきわたりました。その後はインパクトを残せませんでしたが、再度明豊の名前を全国に知らしめたのはなんと言っても09年のチーム。エースは言わずと知れた今宮(ソフトバンク)。能力がずぬけていた今宮は、もちろんエースで主砲というチームの大黒柱。通算本塁打で度肝を抜き、そしてマウンドでもMax154キロという速球で度肝を抜くというスーパー球児ぶり。春も夏もあの菊池雄星の花巻東と当たって激戦の末に敗れるという【激闘数え歌】を残して甲子園を去りました。今考えても、今宮はすごかったですね。夏は初戦で、翌年に春夏連覇を達成するエース島袋の興南と当たってサヨナラ勝ちを収めると、2回戦では大会屈指のエース秋山(阪神)を擁する西条を完封。3回戦でもエース庄司(広島)の常葉橘と延長12回の激戦を繰り広げ、準々決勝で菊池の花巻東と対戦。まあ何とも、初戦から4試合連続でプロに進むエースと対戦するなんて、くじ運がこれ以上ないぐらい厳しいものでした。楽なくじを引けば優勝をも視野に入るぐらいの実力を持っていたので、8強敗退は残念な結果でしたね。それでも常葉橘戦、花巻東戦など本当に手に汗握る試合でしたので、『明豊強し』を強く印象付けてくれたこの年の甲子園でした。その後は新たな監督になってやや勢いをそがれていましたが、一昨年夏は久しぶりに甲子園で輝きましたね。初戦の坂井戦で追い詰められた8回に逆転2ランが飛び出して勝利をつかむと、3回戦の神村学園戦は球史に残るような激闘が繰り広げられました。3点をリードして9回を迎えるものの、2死から3点を失って同点にされると、延長12回表には満塁からスクイズで3点を一気に勝ち越されるという痛恨のプレーが出て敗色濃厚。しかしそこから驚異の粘りを見せて4点を取り返しての大逆転勝ち。勢いに乗った準々決勝も、完敗の展開から9回一気に6点を返して粘り腰を見せるなど、この大会の【激闘王】にふさわしい散り際で圧倒的なインパクトを聖地に残してくれました。今回はそれ以来の甲子園。今年のチームも過去3度インパクトを残したチームに負けない力を持っているので、楽しみです。
九州代表 神村学園 (鹿児島) 6度目(9年ぶり) 準優勝1回
夏6度出場 甲子園通算14勝11敗
神村学園といえば、ソフトボールの名将として鳴らし、後年は創志学園監督として何度も甲子園に出場した長沢監督に率いられて05年に初出場を飾ったチームです。それまでの鹿児島県の高校野球といえば、鹿児島実と樟南の2強ががっちりと君臨して、他校に付け入るスキを与えていなかったのですが、そこに神村学園が登場して風穴を開けました。以来約20年で12度の甲子園出場は立派なものです。今や完全に鹿児島の高校野球の中心となっています。最初の甲子園、05年の春の選抜はセンセーションを巻き起こしました。エース野上と主砲・天王寺谷を擁したチームは初出場ながら快進撃を続けて決勝に進出。鹿児島に神村学園ありを、印象付けてくれました。しかしそこからは、毎年好チームを作って甲子園に出場してくるものの、大会で2勝を挙げることができずに苦しむ場面が多かったですね。接戦負けもあったり大敗もあったりで、どうしても1大会2勝を挙げるに至りませんでした。「やっぱり鹿実か樟南が出ないとだめよ」なんて言われた悔しい思いを、昨年の夏、ようやく晴らしました。超強力打線を軸にチームは快進撃、なんと4勝を挙げて4強まで進出しました。昨年のチームは、本当に打線が強力でした。打球の速さが他校と比べてもケタ違い、打って打って打ちまくるという表現がぴったりくるようなチームでしたね。さあ、殻を破って、ここからいよいよ神村学園の進撃が、はじまるかもしれません。鹿実や樟南がグラウンド狭しと暴れまわったこの甲子園で、彼らと同じ漢字2文字の胸マークで、新しい薩摩隼人が、県勢待望の真紅の大旗を、持ち帰るかもしれませんね。その前にこの選抜で、昨年のあのセンセーショナルな打撃を、もう一度見せてほしいと思います。しかし鍵になるのは、新基準バットへの対応かもしれません。興味深く見守ることにしましょう。
九州代表 東海大福岡 (福岡) 3度目(7年ぶり)
夏出場なし 甲子園通算3勝2敗
東海大福岡が、3度目の出場を果たしました。昨年の秋は、毎試合接戦に次ぐ接戦を制し、ようやく甲子園を射止めましたね。今年は東海大附属の縦じまのユニフォーム、甲子園ではこの東海大福岡だけしか見ることはできません。前回出場した7年前は32年ぶりの聖地でしたが、選手は溌溂とグラウンドを駆けまわって躍動。初戦で神戸国際大付属をサヨナラで破ると、2回戦では清宮擁する早実をボコボコにしました。準々決勝では優勝した大阪桐蔭と接戦を展開するも敗れ涙をのみましたが、いい試合を続けて、深い印象を残してくれました。しかし福岡県は様々なタイプの強豪が数多いる大激戦の地区。その後はなかなか甲子園に届くことはありませんでした。何年かに一度やってくるチャンスの年、それを今回はがっちりとつかみ取っての甲子園。また思いも新たでしょう。7年前に見せたあのキレがあり、粘り強い戦いぶり。それを今回も、見せることができるでしょうか。
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ここ数年で、東海大付属の学校が校名を次々に変更しています。この学校も、東海大福岡・・・・・と言われると、まだなんとなく違和感を覚えてしまいます。東海大五と言われた方が、しっくりくるなあ。。。。四高も、三高も、二高も。。。。一高もかなり前に合併して東海大翔洋になりましたが、ワタシはまだ、東海大一そして東海大工の方が、しっくり来たりしています。その東海大五ですが、東海大付属校の中では、力は持っているのになかなか甲子園には縁遠い学校という認識です。その東海大五(当時)が唯一甲子園に登場したのが1985年選抜。この年は、そう、桑田―清原が3年生になったPLが、ピークの戦力を誇っていた年でした。何しろ完璧なチームで、高校生の大会に一つだけ社会人のチームが入ったような感じさえありました。(大学を通り越し、社会人チーム・・・・です。)何しろ巷では、あまりにも弱すぎた阪神に対して、『PLと試合したら、PLが勝つんとちゃうか?』なんて言われるほど、PLのチーム力はずば抜けていました。(ちなみにその酷評に発奮したか、阪神はこの年あのバース・掛布・岡田を擁して日本一に輝きます。) 選抜大会の予想は、『PLを止めるチームは出てくるのか?』ということ一色。予想では、ダントツの優勝候補がPL、追うのはそのPLを秋の近畿大会で下した東洋大姫路、あとは団子状態だが、四国大会優勝の明徳の出場辞退が痛い。。。。。こんな感じでしたかね。(PLを破って優勝した伊野商は、下馬評では”渡辺投手はいいが…”ぐらいの扱いで、ダークホースの中にも名を連ねてはいませんでした。) その中で、ひそかに注目を集めていたのが、東海大勢2校。千葉の東海大浦安と、この東海大五でした。両チームとも、『大型チームで、はまったら怖い』というもの。東海大浦安は秋の関東大会優勝校で、西の清原に並び称される、東の佐久間というスラッガーを擁していました。一方の東海大五も実力は十分の大型チームで、エースの中川に加えて、大型スラッガーの森山(?うる覚え)という選手を擁していたように記憶しています。しかしいずれも初出場だけに、甲子園ではどうなのかな?とは評されていましたが。。
東海大五の初戦の相手は奈良の広陵。チームとしての甲子園デビュー戦となったこの試合。広陵は近畿勢の中では最も力はないといわれていましたが、東海大五は中盤まで押されまくって0-4のビハインド。『あ~あ、やっぱり初出場は厳しい』と思っていたのもつかの間、5回に彼らは前評判通りの『見たこともない』というような攻撃を見せてくれました。ま~打つは打つは。。。。。。見ているこちらが疲れてしまうほどの波状攻撃で、一気に10点。当時まだ、ワタシは甲子園で1イニング10得点なんて、見たことも聞いたこともありませんでした。『すっげ~~~~~~~~』それしか感想は、ありませんでした。
そんなすごい試合でデビューを飾った東海大五でしたが、二回戦では帝京の好投手・小林の前にあっさりと完封を許して敗れ去ってしまいました。そして甲子園もそれっきり。。。。。。。
そんな東海大五が校名を一新して、32年ぶりに甲子園に帰ってくるのですが、実はこの大会で『監督デビュー』するのが、東海大五を完封した帝京の小林投手。帝京五の監督として甲子園に登場します。これも何かの縁か。。。。。。この両校が対戦してくれるのを、実はワタシ、ひそかに期待したりしています。やっぱり甲子園の縁(えにし)、ありますね。これがあるから、ファンはやめられません。対戦が実現したら、東海大福岡がその時のリベンジをするのか、それとも小林投手(監督)が返り討ちにするのか、大注目です。ちなみにワタシの知り合いに、32年前の東海大五の野球部員だった人がいるのですが、『甲子園はサイコーでした』と言っていました。32年ぶりのこの春も、東海大福岡の選手たちには、『甲子園はサイコーでした』という感想、のべてもらいたいものです。そんな戦いを、してもらいたいですね。
(おわり)