≪第98回全国高校野球選手権大会≫
【西東京大会】 ~神宮~
―準々決勝―
第1試合 東海大菅生 14-3 国学院久我山(8回コールド)
第2試合 八王子 6-4 早稲田実
第3試合 創価 3-1 早大学院(延長10回)
第4試合 日大三 13-3 聖パウロ(5回コールド)
【東東京大会】 ~神宮~
―準々決勝―
第1試合 関東一 3×-2 修徳
第2試合 二松学舎大付 4-2 江戸川
第3試合 東亜学園 15-8 日大豊山(7回コールド)
第4試合 城東 7-6 帝京
雨で順延になったおかげで、
当初2試合ずつ4日間で行われる予定だった東西の東京大会は、
週末の土日に4試合ずつ行われました。
土曜日が西東京大会で、日曜日は東東京大会。
土曜日は第2試合登場の早実・清宮人気もあって、
早朝からチケット売り場に長蛇の列ができるという、
東京の大会としては異例のこととなりました。
それにしても清宮人気はすさまじい。
土曜日は清宮の試合前には外野席までびっしりの状態となりましたが、
第2試合が終了すると観客は引き始め、
第4試合のころにはかなり余裕も見られました。
反対に日曜日は、
第2試合ぐらいにかなり観客が増え始め、
第4試合がピークだった感じです。
いずれにしても大観衆の中、
『東京のトップ16校』
をいっぺんに見られて、
本当に充実した週末になりました。
西東京大会のハイライトは、
なんといっても早実と八王子の対決でしょう。
八王子の2年生左腕、早乙女クンは、
丁寧にコースを突く投球で早実打線に的を絞らせませんでした。
初回からピンチでは清宮を徹底マーク、
第1打席の1死2塁、第2打席の1死2塁、
そして第3打席の2死1塁と、
いずれも勝負を避ける投球。
(結果的に第2打席は、打席の途中で2塁走者がディレードスチールを失敗したため2死無走者になり、勝負した結果清宮が2塁打を打ちました。)
第4打席は2死無走者の場面で、
焦る清宮に緩い球で勝負して『超特大の』高~~~~いセカンドフライに打ち取りました。
そして最終回。
6-3と八王子リードの場面でしたが、
代打と金子の連打で無死1・2塁のチャンス。
その後1死1・3塁となって、
清宮に打順が回ってきました。
ここで一発出れば同点。
マウンドには2番手の”八王子の守護神”140キロの剛腕・米原。
『勝負か、歩かせるか?』
ワタシは同行者と、
『ここで同点の一発撃ったら、まさに”神”だね。清原、松井を超える甲子園のヒーローになるよ』
と言っていたら、
その瞬間清宮のバットから快音が響き、
高く高く舞い上がった打球は、
ワタシの見ている角度からは、
ライトスタンドに一直線!!
に見えました。
『ウソだ~~~~!!!!!』
あまりの劇的な瞬間に、
ワタシは叫んでしまっていました。
しかし打球はライトフェンス際で失速。
ライトフライ(犠牲フライ)に終わり、
彼の『短すぎる夏』は終わりを告げたのでした。
それにしても彼の千両役者っぷりには、
やっぱり興奮してしまいます。
予選で敗れ去ったとはいえ、
『高校NO1スラッガー』の称号は彼以外には、
考えられません。
第3試合はいい試合になりました。
早大学院のエース柴田クンの奮闘が光りましたが、
延長10回に創価に勝ち越しホームランを許して万事休す。
早大学院2度目の4強進出はなりませんでした。
第1試合と第4試合は、
強豪の東海大菅生と日大三が、
その力を見せつけました。
日大三の打線は、
『今年は例年に比べ打てない』
なんて言われていましたが、
なんのなんの。
打球の速さはやはり突出していますね。
しかし一,二回で12点を取った後、
やや『悪い三高』の部分が出て打ち上げたりしていましたから、
そのあたりは修正して次戦に臨みたいところです。
東海大菅生は、
大事な準々決勝でエース伊藤クンを温存。
伊藤クンは昨年から4番を打っていたほどのスラッガーですので、
『伊藤抜きの打線で大丈夫か?』
なんて思いましたが、
同点の7回から大爆発。
7・8回だけで11点を奪い、
コールドで準決勝進出を決めました。
この日は途中リリーフに出て、
さほど疲れを残さないで準決勝に進めたことが、
今後の戦いを見据えるうえでは大きいと思います。
この土曜日は、
1日中曇り空で気温も25度ぐらいまでしか上がらず、
『春季大会?』
というような感じの快適な気候の中での戦いでした。
選手たちも体力を温存できたことでしょう。
準決勝は、
東海大菅生 vs 日大三
創価 vs 八王子
の対戦です。
そして日曜日。
まったく同じ時間に球場入りしましたが、
前日とは打って変わって、
チケット売り場に列はなし。
『より日陰』
の席で観戦することができました。
正直なところ、
東東京大会の方が西東京大会よりも実力差がはっきりしていると思っていましたので、
『大差の試合が多いかも』
と思っていましたが、
それは全くの思い違い。
四試合のうち三試合が大熱戦になる、
近年まれにみる面白い準々決勝となりました。
今年のチームで秋、春と東京大会を制して、
いまだ都内の公式戦無敗の関東一は、
修徳の粘りの前に大苦戦。
修徳のエース飯田クンの前に完ぺきに抑えられて一点ビハインドのまま迎えた九回。
球場のムードは『関東一敗れる』というものでしたが、
その重い空気を打ち破ったのが米田クンのバット。
左中間に飛んだ打球を見て観客は『抜けた!』と思ったと思います。
それだけ低い弾道の打球。
しかしその打球、
グ~ンと伸びて、
なんとそのままスタンドへ。
歓喜の同点ホームランになりました。
米田クンは何度もガッツポーズをしながらホームへ。
マウンド上の飯田クンは、
なんだか呆然としたまま続く佐藤クンに対しました。
そして二球目。
今度は佐藤クンのバットから、
打った瞬間に『行った~~~~』とわかる打球が!
あっという間にレフト中段に突き刺さった打球は、
関東一の歓喜と修徳の悲鳴を乗せて、
サヨナラとなったのでした。
劇的といえばあまりに劇的すぎる結末。
ワタシも長いこと野球を見ていますが、
最終回に『同点アーチ、サヨナラアーチ』が立て続けに出たのを見たのは、
初めての出来事でした。
関東一。
東京を制しているとはいえ、
全国の舞台でまだ今年のチーム、
その本領を発揮できていません。
選抜でも明治神宮大会でも、
そして春の関東大会でも、
『関東一強し!』
というところを披露していないだけに、
この一発で昨年の”オコエフィーバー”を再現できる雰囲気になるかもしれません。
乗って行ける要素満載の、
期待できる勝ちっぷりでした。
そしてその強力な対抗馬である二松学舎大付。
大江・今村・三口の『闘魂三銃士』を揃え、
今年のチームは、
”絶対に譲れない”甲子園の道です。
この日の対戦相手は”都立の名門”江戸川です。
元阪神・伊達コーチが指導に参加して、
注目を浴びた学校です。
今年は好投手・山田を擁して『一波乱を起こす』とされていましたが、
この日は粘り強い見事な戦いぶりでした。
大江は最速148キロの剛球と、
縦にブレーキ鋭く落ちるスライダーが切れるいつも通りの投球でしたが、
その投球を江戸川の打者は力負けすることなくしっかりと捉えていっていました。
一昔前の都立高のイメージからは、
かけ離れた『洗練された』打線だったと思います。
山田も打たれながらも要所を締め、
見事な投球を披露。
江戸川が後攻めだっただけに、
後半は『ひょっとしたら』の期待を持って、
神宮の空気も少しずつ『ジャイアントキリング』に期待を持つように変わってきていました。
しかしながら、
さすがにそこは甲子園経験2度、
経験十分の大江。
最後のところで踏ん張り、
江戸川に同点を許さず、
逃げ切りを果たしました。
今年の二松学舎大付。
例年に比べて、
まだまだ打線に当たりが見られないのが心配な点ですが、
バッテリーを中心に経験値が高いだけに、
『いつも夏はバタバタして、そこをつけこまれて負ける』というような失敗は繰り返さないような感じがしています。
準決勝はやや力の差がある東亜学園と対戦。
そして決勝は、
宿敵の関東一か、波に乗る城東との対戦となります。
『全試合完投』を掲げる大黒柱の大江が最後まで持つのかも気になるところです。
第四試合は、
しびれる試合となりました。
東京屈指の好投手・関根を擁する城東と帝京打線の対決といわれていましたが、
試合を決めたのは城東のチャンスをものにする打線でした。
放った安打は帝京の12本に対してわずか6安打。
しかしその安打が有効に飛び出し、
2,3,4回に6点を奪い、
7-6と1点差の勝負を逃げ切りました。
帝京の強打線にじりじりと追い上げられたものの、
エース関根が最後まで集中力を切らさずに投げ切ったのは見事。
『勝ち切った』
というような試合でした。
たくさん詰めかけた城東のファンは、
盛り上がっていましたね。
城東は3度目の甲子園に行ってもおかしくない、
戦力と勢いを手に入れている感じがします。
2日間で8試合。
計16校の東京の高校野球のトップチームの野球が見られて、
本当に幸せな2日間でした。
各校ともよく鍛えられていて、
『たくさん練習したんだろうなあ』
というプレーの数々が、
随所にみられました。
東京は2大会ありますから、
楽しみも2倍……そんな感じでした。
今日からいよいよ準決勝。
さて、どうなるでしょうか。
甲子園への切符は2枚です。