ボクシングの興行、
本当にこのコロナ禍で非常に厳しい状況になっています。
世界タイトルマッチは、
日本人同士でなければ対戦相手を海外から呼ばなければならず、
そのため日本での開催というものは極めて難しい状況です。
(2週間の隔離期間というのが海外のボクサーにとっては戦ううえで致命的な厳しさだと思いますので。)
ということで井上尚弥は海外での防衛戦を選択し、
村田諒太は1年半以上も対戦が組まれない事態となっています。
すべての日本人ボクサーにとって、
このコロナ禍でどのように今後進んでいくかという事に、
頭を悩ませていると思います。
そんな中ではありますが、
この週末は久しぶりにボクシング関連のニュースが続きました。
まずは世界タイトルマッチ。
4/24
≪THE REAL FIGHT≫ ~エディオンアリーナ大阪~
◇WBC世界Lフライ級タイトルマッチ 12回戦
チャンピオン 挑戦者・同級1位
寺地拳四朗(BMB)○ 12R判定 ● 久田哲也(ハラダ)
118-109、119-108、118-109
実力者で世界タイトルを7度防衛していた寺地拳四朗が、
久しぶりのタイトルマッチを戦い、
大差の判定で8度目の防衛を成し遂げました。
寺地(いや、やっぱりこの呼び方には違和感があるので、元のリングネームであった拳四朗と呼ぶことにします。)は、
昨年酒の上でのトラブルでこのタイトルマッチを延期されていましたが、
この日の禊のタイトルマッチで快勝。
やはり強いという事を認識させてくれました。
拳四朗は挑戦者の久田に対して、
初回からポイントを奪取。
2回にはダウンを奪い、
その後は相手に主導権を取られることなく12Rを完走。
9-11ポイント差という大差の判定で防衛に成功しました。
試合後は謹慎明けという事もあり、
涙ながらのスピーチがあったようですが、
今後正常な軌道に戻して、
頑張ってほしいと思います。
今後の展望としては、
やはり現在のライトフライ級にとどまり防衛を重ねるという「防衛ロード」になると思いますが、
より強い相手を求めて他団体チャンピオンとの「統一戦」に臨むことも考えられますね。
ワタシも拳四朗選手の能力は非常に高い評価をしていますので、
今後「自分のピーク」にもっていってほしいと思います。
そして同じ日に、
沖縄でアップセットがありました。
4・24
≪LIFETIME BOXING FIGHTS6≫ ~沖縄コンベンションセンター~
◇WBOアジア太平洋バンタム級タイトルマッチ 12回戦
Sバンタム級王者 同級11位
比嘉大吾(AMBITION)● 12R判定 ○ 西田凌佑(六島)
111-117、110-118、111-117
同じ日、沖縄では元フライ級世界王者で、
バンタム級で世界王者返り咲きを狙う比嘉大吾の試合が行われました。
沖縄での試合という事で、
世界タイトルマッチではないものの「凱旋試合」として華々しく再起ロードの第一歩としたかった比嘉ですが、
プロわずか4戦目の西田に翻弄されて、
強打を封じ込められての完敗。
今後のバンタム戦線からの脱落とともに、
厳しい現実を突きつけられる形となりました。
フライ級時代にはデビューからのKO勝ちの記録など、
強打で無双し、
世界タイトルマッチでも圧倒的な強さを見せていた比嘉。
しかし18年に体重超過で王座をはく奪され、
その試合でKO負けをしてから明らかに歯車が狂った感じで、
もともとの具志堅ジムを離脱して再起に賭けましたが、
まだまだ歯車はかみ合ってきていないように見受けられますね。
今年2月には『LEGEND』というイベントで同じクラスの世界王者・井上とグローブを交えましたが、
圧倒的に「違い」を見せつけられていました。
持ち前の強打を前面に押し立てたボクシングを組み立てたいと思いますが、
2階級上げたことでこのクラスではその強打が強打となっていないという事も見受けられるので、
なかなか今後は厳しいロードが待っていると思われます。
今一度輝けるのか否か?
地道な努力と辛抱が、
試されることになりそうです。
そして最後は、
本当にびっくりして、うれしい話。
6/26 ラスベガス
◇ライト級12回戦
WBCライト級1位 WBOライト級5位
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ) 中谷正義(帝拳)
なんとなんとのビッグマッチが、
正式に決まったようです。
ライト級で海外で強豪をバンバン行うさすらいのボクサー・中谷正義が、
昨年までPFP(全階級統一のランキング)1位という、
「世界のすべてのボクサーの中で一番強い男」だったワシル・ロマチェンコとラスベガスで激突します。
ロマチェンコといえば、
ボクシングファンには「世界のビッグネーム」としておなじみの名前。
オリンピック2連覇、
そしてプロに転向してあっという間に世界タイトルを奪取すると、
フェザー級、スーパーフェザー級、そしてライト級の3階級制覇。
そしてPFP1位の座をゲット。
まさに「世界のスーパースター」です。
我々には、
世界ライト級チャンピオンだったリナレスが敗れた試合が、
衝撃を与えました。
しかしそのロマチェンコも、
ネクスト・スーパースターのIBF王者、ティモフィオ・ロペスの強打の前に、
僅差の判定で敗れました。
そのKO勝ちばかりの強打者・ティモフィオ・ロペスに対し、
IBF王者決定戦で判定まで持ち込んだのが、
誰あろう中谷でした。
中谷はこの試合で燃え尽きたという事で一時引退を表明しましたが、
昨年12月にラスベガスで復帰。
対戦相手はIBF5位で”次のスーパースター”にも数えられていた、フェリックス・ベルデホ。
ある意味「かませ犬」のような立ち位置でしたが、
中谷はこの試合に序盤ダウンを奪われながらも反撃して大逆転勝ち。
日本のボクシングファンのみならず、
アメリカのファンをも熱狂させ、
その結果ロマチェンコの目に留まってこの対戦を手繰り寄せたというわけです。
「俺は、強い奴としかやらね~よ」
なんて言葉では言いませんが、
まさにそれを体現している中谷。
古くは矢吹ジョー、ロッキー・バルボアなど、
「架空のヒーローファイター」
になぞらえるようなボクシング人生。
その到達点が、
このロマチェンコとの激突だと思います。
当然のことながら、
中谷は「アンダードッグ」そのもののかけ率でしょう。
しかしながら、
ワタシも、そして日本のボクシングファンも、
熱烈に応援しますよ~~!
中谷なら、何かをやってくれるかもしれない
と信じて。
さ~あ、楽しみになってきました。
6月は井上尚弥のファイトもあるし、
緊急事態宣言を抜けた先に楽しみがいっぱい待っていると思って、
我慢を重ねることにします。
どのボクサーも、
今が耐え時、
がんばってくれ~!
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