酷暑の名古屋で行われている、大相撲名古屋場所。
”綱取り”のはずの稀勢の里は前半戦にはやばやと3敗。
横綱どころか、
大関の地位を守る風情になっちゃっています。
そんな中で、
やはり大横綱・白鵬は今場所もひとり、
無人の野を行く安定感を見せひとり全勝。
先々場所からの連勝を40に伸ばしました。
琴欧洲、魁聖が1敗で追ってはいますが、
白鵬の連覇は時間の問題でしょうね。
大きなけがさえしなければ、
角界のすべての記録、
塗り替えていきそうな勢いと安定感を感じます。
まさに【不世出の大横綱】という貫禄を備えつつあります。
さて、
そんな【1強】時代に終止符を打つべく横綱昇進を果たし、
強い相撲を見せてくれていた日馬富士が、
どうも良くありません。
『横綱の勝ち越し』とも言われる10勝に汲々とし、
『このくらいは勝ってほしい』と言われている12勝には到底届かない場所が、
これで3場所続いています。
その間、白鵬は1敗もせず驀進しているので、
日馬富士のふがいなさが、
実際以上に強調される事態となっています。
スピードを生かした、
疾風のような相撲っぷり。
それが日馬富士の持ち味ですが、
どうもその持ち味が出ないうちに、
軽量という弱点を突かれて黒星を重ねる展開が続いています。
『新横綱』で臨んだ昨年の九州場所での負けは、
横綱の重圧やたまった疲れなどから同情される向きもありましたが、
この3場所での低迷ぶりは、
心配を通り越して叱責を浴びるようになってきています。
昨日の土俵でも、
横綱が負けた後に館内を飛ぶ座布団が、
なんだかむなしく感じられました。
どこかケガをして不安のある土俵ならば、
いっそのこと1,2場所休場して完全に治してから・・・・・
と思わないではありません。
休場すれば一時叱責を受けるかもしれませんが、
それでも今の状態で負けを重ねる相撲を続けるよりはずっとましではないかな、
と思ったりもしています。
日馬富士を見ていると、
彼の最も悪いところは、
気持ちが切れてしまうと立て直せないところだと思います。
前半で負けが込んだり、
優勝が遠のくと途端に気力が失せたような、
集中力を欠く相撲っぷりが見受けられますよね。
そんな時は一昨日の豪栄道戦のように、
カッとなる気の強さだけが目立つ、
『どっしりと構えて下のものの挑戦を受ける』
本来横綱に求められる相撲とはかけ離れた、
粗すぎる相撲が展開されます。
そうなった時は、
やはり内館牧子さんではありませんが、
『横綱の品格』
というものに思いが巡ってきます。
白鵬、千代の富士、貴ノ花、
古くは北の湖、大鵬など、
大横綱と言われる彼らは、
やはり不調の時でも真摯に何とか立て直していこうという気概を見せてくれたものでした。
『ズルズルと気力が足りない相撲を取る』
ということには、
決してならなかったと記憶しています。
昨日解説の舞の海氏も指摘していましたが、
『横綱としての心の教育をもう一度するべきだ。』
ということ、
同意せざるを得ない状況ですね。
新横綱の場所に負けが込んだ後、
再起を期して臨んだ今年の初場所で、
見事に相撲を立て直して優勝した姿は、
『日馬富士は完全に白鵬に肩を並べる存在になったな』
と思わせてくれたものでしたが、
今回は果たして低迷を打破できるのでしょうか。
それともこのままずるずると、
短命の横綱に終わってしまうのでしょうか。
『横綱というものは、(その地位に)上がってからが大変』
という言葉をよく聞きますが、
何とか立て直して、
人気の復活してきた大相撲を支えていく存在になって欲しいと思っています。
今日から休場かも?
しゃらくせえ。
今場所は、最後まで土俵を務めやがれよ。
それが横綱の意地ってもんだ。