愛食愉炊

日常遭遇する食と料理についての備忘録

常にも使わぬ道具を使う

2015-10-01 08:45:21 | キッチンツール
かくしてフルーツ救済のためのソース作りが始まったわけだが、作るにあたって、日頃使わぬ道具を使った。

一つはパスタロボである。

これはかつての同居人が置いていったものだ。
実を言えばパスタロボにはひどく憧れていた私は当初この存在に狂喜乱舞した。
嬉しかったのである。しかし、直に自分の手に余ることに気が付いてしまった。 

先ずこの丈高い鍋は洗いにくかった。そして何より、少人数のパスタを茹でるには少々大きかった。
そして一番肝心なことは、なんのかんのいって、そんな毎回パスタ料理ばかり作ることがなかった。

その後紆余曲折あって、このパスタロボは私のものとなり、
台所の奥深くにしまい込まれ、滅多に出番がなかった。

しかし、今回材料を揃えてみると、当座家にあったものだけだというのに、結構な量で、当初予定していたクリステルの20センチ鍋では明らかに溢れる。かといって鍋二つに分けるというのも業腹だ。大体そういう作り方をすると濃度が違ってきそうだし・・・。

ここでパスタロボの存在を思い出し、タマネギ・ニンジン・セロリの葉と切った端から放り込んでいくと、お、ちょうどいい。そして肝心の桃を放り込み、ワインに調味料を注ぎ淹れると、実に縁ギリギリとなった。

そういえば、同居人は、かつて、こいつを使って豚の角煮とか作ってたといってたっけなあ・・・

パスタを茹でる以外に用いられる宿命なのかもしれない。




さて日ごろ使わぬ道具の二つ目というと、大きな木杓子である。

材料と調味料を淹れ、火にかけたところで、少しずつ混ぜていったのだが、最初用いたのは、ル・クルーゼのスパチュラだった。それでも何とかなるかと思ったのだが、少々負荷がかかりすぎるような・・・そこで思い出したのが、木杓子である。

これは、昔たまたま町で入った雑貨店で見つけた、安い木の杓子だ。
それを見たとき、ヨーロッパの昔話に出てくる大鍋を混ぜる魔女の杓子のようだと思ってしまった。
いつか、自分も大鍋を使って料理することがあるかもしれない!
その時のために買っておこう!
・・・などと、一時の気分というものは実に始末が悪い。

だが、使ってみると実に木杓子はピッタリだった。
パスタロボの縁まで満たした材料が、スパチュラと違って、楽々とかき混ぜられる。
手にかかる負荷が明らかに軽いのである。
やはり道具というのは、その時々の調理する材料の量に応じて使い分けねばならぬのだなぁ。




一時の感情でついつい入手して後悔することも多いキッチンツールだが、
それでも料理していれば、使う機会というものはできるものである。

状況に応じて、使い分ける。突き詰めればそういうことになるのだとおもうが、
とにかく台所に立ち、何か作ろうとしなければ始まらない。