「その人」
この世でいちばん醜い顔を
思い描こうとして目やにのたまった眼や
うみつぶれたできものの額
黄いろくくちかけた歯を
福笑いのように並べてみるのだが
ばらばらのかけらがぼくの心の中で
ひとりの生きた人間の顔になると
醜さはどこかへ消えてしまって
ぼくは自分の顔に注がれる
その人の視線を感じる
<谷川俊太郎>
この詩は、ドローイングのようでもある。
人間の内側にはいり込んでくる。
この世でいちばん醜い顔を
思い描こうとして目やにのたまった眼や
うみつぶれたできものの額
黄いろくくちかけた歯を
福笑いのように並べてみるのだが
ばらばらのかけらがぼくの心の中で
ひとりの生きた人間の顔になると
醜さはどこかへ消えてしまって
ぼくは自分の顔に注がれる
その人の視線を感じる
<谷川俊太郎>
この詩は、ドローイングのようでもある。
人間の内側にはいり込んでくる。