あみものだもの

まちがいだらけでも

私の持っているニットのお話

2015年10月10日 | 番外編
筆者はいっさい編み針を手にしていないのに、記事はどんどこ更新される奇妙な編みものブログ「あみものだもの」へようこそ。

いいかげん、キーボードを叩くその手でまず編み棒を握れよ!と自分でつっこみたくなってきたんですが。このまま編みものブログとしてポイントを頂いていてよいのか、そんな気もしますがまあ、ひとつ広い意味でのKnitting cultureを語るブログとしてここで書くことをお許しください。

クラブニッターのみなさんは、既製品のニットについてどう思われているんでしょうか?実際にみなさんに聞いて回ったらたぶん、答えはひとそれぞれになるのでしょうね。小物しか編んだことのない人から、買うぐらいなら自分でデザインして編んだほうがいいよ!という方までいるでしょうから。

私は、既製品のニットも大好きですよ。自分でデザイン性の高いニットを編むことはまだまだ難しいですからね。ということで、今日はわたしの私物である既製品のニットたちを呼んできました。

一番、カルピス君どうぞ!



カルピス君という名前はもちろん愛称です。これは、3年前くらいかな?の誕生日プレゼントとして母と妹から半額を出してもらって、もう半額を自分で出して購入したものです。山形の、米富繊維という会社が立ち上げたブランド、Coohem(コーヘン)のものです。Coohemというブランド名は、「交編」という日本語からきています。



Coohemは、日本からニットテキスタイルの可能性を広げていこうということでスタートしたブランドです。青いネップを絡ませた上質な毛糸で編まれたそれは、一見よくあるケーブル編みのニットカーディガンなのですが、実は手編みでは不可能な、機械編みならではのテクニックが編みこまれた凝ったものです。



くるみボタンも質感にこだわって作られた上等なものがつけられています。

二番、バンビちゃんどうぞ!



バンビちゃんは、大阪のSi-Si-Si(スースースー)comfort出身です。絨毯や毛布などに使われるスライバーニットとエコファーを使った一着です。



スライバーニットとはウールの綿の束を編んだ生地のこと。その製法はあまり公開されておらず、国内で流通しているものの大半はMade in Italyだということです。縫製自体は国内でされたから日本製と書いてあるのでしょうが。そんなちょっとミステリアスな出自のバンビちゃんは、暖かいのにとても軽い、まさにcomfortな一着です。

三番、これは最近、名古屋の古着屋Karisomeさんからネットで購入しました。謎のカウチン君です。



「謎の」と冠したのは、これがいわゆるカウチン糸で編んだ本物のカウチンセーターなのか私には判断がつかないからです。手元に届いた時はよく手入れがされていて、羊毛独特の匂いもしなかったので、ひょっとしたらそうではないのかもしれません。模様もよくある左右対称のヘラジカではないですしね。縞模様はメリヤス編みとガーター編みで構成されていて、白と、濃茶の部分にはボッブルがついています。



ブランドタグや、組成表示はついていません。ということは、誰かの手編み、という可能性もありますね。平置きにすると、やっこさんのようになるので、身頃、袖に目の増減はないようです。



謎めいています。唯一の手がかりは…



このファスナーです。TALONという刻印がされています。それで私は「TALON ファスナー」で検索してみましたが、TALONのファスナーというのは、アメリカの会社が製造しているもののようで、ビンテージ衣料にはこれがよく使われています。が、これが確実にTALON社のものなのかどうかは分かりませんでした。TALON社の、一般的に「棒タロン」と呼ばれているものとよく似ているのですが、私の持っているこれについているのは、引手下部にミゾが入っています。このミゾのついた「棒タロン」というのは、画像検索してみても発見できなかったんですよね。日本の、YKKのファスナーでさえ今はフェイクが出回っているといいますから…。

ただこのカウチン君が、どこのブランドであろうが、仮にファスナーがフェイクだとしても、私にはどうでもいいことなんです。とても気にいったので。この立派なセーターが、約7千円で買えたんですもの。

正直私、古着というものに今まで抵抗があったんですね。古着を愛する方には大変申し訳ないのですが…要はお古に値段つけてるんじゃん!などと思っていました(お古という概念、若い読者に伝わるでしょうか?)。でもこれも三國先生の影響でしょうかね、質の良いものがはじめの持ち主によって長く大切にされてきた上で、なんらかの事情で売りに出される。その歴史に価値があるから値段がつく。それは忌むべき「お古」なんかではなくて立派なビンテージではないか、そういう風にとらえるようになったのです。

今日、こんなことを書いたのは、こう思ったからです。編みもの文化において、熟練の職人による手編みの作品こそもっとも価値のあるもの。そういう考え方もあるかもしれません。それでは機械編み製品はそれより一段劣るものなのか?と。私はそんなことはないと思っています。もし歴史上の編み手たちが、かたくなに自分の手だけで編むことにこだわり続けていたら、現代のわたしたちは編みものに触れることができなかったのではないでしょうか。機械の発展がなければ、毛糸の洋服はきっと王侯貴族ぐらいしか持ちえないものになっていたんじゃないかと。特にわたしなんか、紙おむつのない時代に生まれましたけど、既製品を着せられて育ってきましたからね。まず既製品のセーターに触れて、祖母と母から手編みを教わり、自分の手でこういうものが作れるんだ!という感動が、手編みを始めるきっかけになっているんです。だから優劣はつけられないんです。私の中ではね。

今日クリックは…うーん、どうしようかな。手編みの話ではないので、やめておきましょう。PVポイントを頂くことだけお許しください。それから、謎のカウチン君について、なにか分かる方がいらっしゃったら、コメントかツイッターでお教え下されば幸いです。


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