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True Crime Story

True Crime Story

 2011年12月17日、マンチェスター大学に通うゾーイ・ノーランという女子学生が共同アパートから失踪し、そのまま行方不明になる事件が発生した。それから数年後、売れない作家のイヴリン・ミッチェルが事件に興味を持ち、調べることにする。イヴリンは事件の関係者(ゾーイの双子の妹キンバリー、恋人のアンドリュー、友人のリュー、ジェイ、フィンタン、そして両親といった人々)にコンタクトをとり、彼らへの長期インタビューを通して事件の前後の状況を探っていく。そうした彼女の取材によって、ゾーイの隠された一面や関係者の暗い秘密が次々と明らかになっていくのだが、やがてイヴリン自身も何者かによる悪質な嫌がらせを受けるようになる。イヴリンは今や人気作家となったジョセフ・ノックスに連絡をとり、自分が書いたインタビュー記事を送付する。当初ジョセフは乗り気がしなかったが、思いもかけぬ形で彼自身が関わることになってしまう……。

※タイトルに惹かれて読んでみたサスペンス小説。著者は「堕落刑事」「笑う死体」「スリープウォーカー」などを書いたジョセフ・ノックス。「True Crime」(犯罪実話)と銘打っているが、ノンフィクションの形式を借りた完全なフィクション。主要登場人物は10人ほどであり、彼らの短いインタビュー記事や著者が交わしたメールだけで構成されているので、とても読みやすい。トリック自体はそれほど目新しいものではないし、結末で全ての謎が明らかにされるというわけでもないので、本格ミステリーのファンは不満を覚えるかもしれないが、一読する価値はあるだろう。そのうち新潮文庫から日本語版が発売されるかも。
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