お題「山」
いっさいのげんのもたねどなればこそ
さんやのことはあがくちをわる
一切の言の持たねどなればこそ山野の言波吾が口を割る
自由詠
ひゃっくりをあいのてとえむそぼのせを
たたくあまあしはだうんびーと
吃逆を合いの手と笑む祖母の背を叩く雨足はダウンビート
おぼえがき
二首 第二十回三輪山まほろば短歌賞 献詠歌
どちらも令和5年5月5日の作です。
この日に真夜中眠れず急に沢山歌や句が出来てきたのですが、それらのいくつかを三輪と伊勢と神社の献詠歌にと送りました。
選外でしたが、もっと精進したいと思える歌が出来たので見ていただきたいと思いました。
伊勢神宮の今年のお題は「力」でしたが、
こうしてみると、言葉の力にフォーカスしていたのかなと思いました。声に出した言葉の力、威力もすごいですが、言葉を持たない存在の声なき声や思い、貯められた思い、発せられなかった言葉や思いを思い、その威力を想ってそこに心を寄せた歌になっています。
祖母は激動の大正昭和を生きたのですが、無数の深いしわに、いつも微笑みを浮かべて、些細な事に無性の笑顔を見せる人でした。ふとした瞬間に、その背中に、弱音や投げやりな言葉を聞いた言がないのですが、ふとした瞬間にけっして語らない大変な人生だったのを語る背中を、どうにかして残したいと思いました。
ところで私は しゃっくり ではなく、ひゃっくり と覚えていました。
ひゃっくりは大分の方言だと今知りました。
どうりで変換に出なかったのですね。
私の家は何代まで遡れるか分からない江戸っ子なのですが、。