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歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

先人の知恵と経験に学ぶ

2011年09月26日 | 日本歯技


『日本歯技』2011年10月号 巻頭言

先人の知恵と経験に学ぶ

 『もしドラ』ブームは、あなたの周囲にも到達しているであろうか?

 いつの時代も様々な岐路に対処し課題に向かい合う上で、学ぶべき対象は先人の知恵と経験であることは論を待たない。この先人の知恵と経験を、より良く整理し後世に伝わり、移ろい易い人と時代の変化の中で耐え、生き残ったものが古典と呼ばれるものだろう。
 現在、全国の公益法人と呼ばれる様々な団体が「公益法人制度改革」の大波に向き合っている。全国団体である日本歯科技工士会はもとより地域歯科技工士会も、「法人」の在り方、「公益」とは何か、自分たちの団体の公益性、そしてそれに相応しい「器」を問い直していることと思う。
 ややもすると、移行手続きに関し行政との対応を重ねる中で、細々としたテクニカルな面に意識の比重が傾きがちであるが、先人から受け継ぐ団体をこの変革期に預かる者のチームとして、社会貢献を志す団体の必要性を認め、この形に創設した先人たちの思いに立ち返りながら、現代の制度改革が求める水準の公益活動を行うとき、社会の誰もが認める活動と運営の在り方を我々は身に付けなければならない。
 人の歴史からすれば、非営利法人・公益法人の組織が「発明」されてからまだ日は浅い。そして、今回の制度改革が求める非営利法人・公益法人の組織の在り方・運営方法の源流が欧米文化から生み出されたものであれば、そこに分け入り学ぶことも必要であろう。
 「マネジメントの発明者」と言われる経営学者・社会学者のピーター・ドラッカーが、その晩期に研究対象として企業経営論よりも興味を置き心血を注いだものが「非営利組織」であり、「非営利組織の経営」の研究である。晩年の著書『非営利組織の経営』には、我々が直面する課題に対するヒントが随所に隠れている。制度改革の期限である「平成25年11月30日」の日付を意識しながら、一度は紐解きたい著者であり一冊である。

 歯科技工士の連帯と協力の結集軸である日本歯科技工士会は、揺れ動く社会と価値観の変化の中にあっても、大いに議論を重ねながらも右顧左眄せず、常にその構成員と社会に対し未来へのより正しい航路を指し示したい。
 『もしドラ』ブーム到来の背景を考えることも現代を考える基礎となり、歯科技工士の直面する課題を考えることにつながっている。

ドラッカー名著集〈4〉非営利組織の経営 
ピーター・F・ドラッカー【著】上田惇生【訳】ダイヤモンド社刊




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