歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

櫻井充vs舛添要一・福田康夫 参議院予算委員会 平成20年02月04日

2008年02月04日 | 国会議事録
○櫻井充君 今回問題になったのは、もう一つ、その検査体制なんだろうと思うんですね。
 実を言うと、農薬の問題が随分食の安全という点で取り上げられておりますが、実際もっと問題のあるものが入ってきているんです。
 例えば、これ、テレビを見ている皆さんは化学物質過敏症という病気を御存じでしょうか。私は化学物質過敏症の患者の一人です。私は新築の住宅に入れません。新車に乗れません。それから、例えば家庭で使っている、うちの娘などが使っていた寝癖直しがあるんですが、スプレーがあるんですが、それを吸うとせきが止まらなくなって、娘にやめてもらいました。
 今、そういう患者さんたちが増えています。実際のところ、それはせきが出たりとかいわゆるぜんそく様の発作が起こるものですから、子供たちがそういう病気になると基本的にはアトピー型のぜんそくだという形で治療されています。しかし、私のところの外来に来てくれた人たちや私の周りの人たちは、化学物質をやめてもらった途端にそういった症状が止まっています。じんま疹が出ている人たちもいます。私の場合には、中枢神経系の症状が強く出てくるので、僕は目まいがするとかふらつくとか体がだるくなって実は動けなくなったりします。
 僕は全部中国製を悪者にする気はありませんが、中国製の足温器を使って実は化学物質過敏症になった患者さんがいらっしゃいます。つまり、今危ないのはそういった食べ物だけではありません。
 今、化学物質過敏症のところを、ちょっとこれ、皆さん見ていただきたいんですが、(資料提示)多分、体調不良を訴えてよく原因が分からないという方いらっしゃると思います。まあ一応、私も内科の医者の端くれでございまして、もし何か不安があればそれはお尋ねいただければ幾らでもお答えしたいと思いますけれども。
 ここの中でポイントになるのは、化学物質過敏症というのは実は空気から入ってくるのがほとんどでございます。特にその中の室内の空気汚染でして、これ若干古い数字でありますが七十四人、約半分の方が何らかの住宅関連です。
 特に最近私の感覚でいうと増えてきているのは、シックハウス対策がそれなりに取られてきているので、むしろ家庭内での薬品の使用ですね。例えば、芳香剤であるとかそれから防ダニ、それからあとは抗菌処理剤でしょうか、それからこういう嫌なにおいを消しますよとか、そういったものによってせきが止まらなくなってきている子供さんたちを実は多く経験しております。
 それだけではなくて、大気汚染のほかに、ここからポイントなんですが、百四十四例のうち入れ歯という方が二例いらっしゃるんです。食べ物での報告はありませんが、基本的に申し上げると、要するに何が原因かよく分かっていないからですけれども、問題は入れ歯の方が二例いらっしゃるということなんです。
 今、歯科の技工物がどういう扱いを受けているのかというと、雑貨ということになっておりまして、日本国内だけでも、歯科業界もこれは本当に大変なことになっていて、技工物そのものを中国にお願いして作ってもらっている現状がございます。
 ところが、これがノーチェックなんですね。なぜかというと、技工物は雑貨なんです。口の中に入れて病気になるかもしれないものが雑貨で扱われているので全くチェックされておりません。この点について、舛添大臣、どうお考えでしょう。

○国務大臣(舛添要一君) 最近、歯科技工物、これは人件費が安いということで海外で作られている例を私も歯医者さんから聞きました。
 やっぱりこの安全性ということ、それは四六時中口の中に入っているものですからそれはきちんとすべきだというふうに思っておりまして、具体的に、平成十七年の九月の八日に厚生労働省から、国外で作成された補綴物などの取扱いについてということで、歯科医師に対して注意を喚起し、十分な情報提供を患者さんに行ってくださいと、そして患者の理解と同意を得て、そしてこの良質かつ適切な歯科医療を行うように指示を出しているところであります。
 その後、今の委員の指摘をお受けいたしましたんで、更に調査をし、この法制面を含めて、こういうことは雑貨扱いであれば国民の健康を守れないということであれば、しかるべき手を早急に検討して打ちたいと思います。

○櫻井充君 ありがとうございます。
 本当に口腔内に何が入っているかによって全然違うんです。しかも、多分、国民の皆さんは、口の中の詰め物で具合が悪くなっているなんて思ってないと思うんですよ。今、本当に訳の分からない病気が増えてきていて、みんな不定愁訴と言っていますけれども、そうすると現場でどうなるかというと、自律神経失調症だとか、それからうつだとか、そういう病名だけ付けられて、本当に気の毒、御苦労されている患者さんがいっぱいいるわけですよ。ですから、そういう点で考えてみても、この辺のところをきちんとやっていただきたいと、そういうふうに思います。
 その上で、歯科技工士さんたちがどれだけ苦しいのかということをまず、ちょっとお話だけしておきたいと思いますが、これは歯科技工士さんたちの年齢の分布です。(資料提示)これ見ていただくとお分かりですが、二十五歳未満の方々が毎年毎年減ってきています。これはなぜかというと、余りに仕事が厳しいからです。歯科技工学校がつぶれています。それから、学校で募集しても定数に足りないところがほとんどです。卒業されても、一〇%程度の人しか技工士さんになりません。あとは金属の加工とか、そういうところに行った方がはるかに処遇の面でいいから、そうなってきています。
 そうすると、今現在二五%ぐらいを占める五十歳以上の方々がこれお辞めになると、日本の歯科医療の根幹を支えているところが根底から揺らいでくるということになっていくわけです。これも実を言うと、医療費の抑制政策がこういうところにも来ているんです。今まで看護師さんであるとかいろんな人たち取り上げられてきましたが、技工士さんのところ取り上げられてきていませんけれども、この業界もめちゃくちゃ大変です。この点について大臣、どう御認識されているでしょう。

○国務大臣(舛添要一君) これ、全体の医師不足の問題ともかかわりありますけれども、やはり養成に五年、十年と掛かる。そういうときに、長期的な計画を立ててこの定員をどうするかということを考えないといけない。昭和五十年代に歯医者の技工士の方が多過ぎるという要望があったようなことも聞いております。そういうことから抑制路線を取ってきた。そして、今処遇の問題、待遇の問題もありますんで、今おっしゃったように定員割れをしている状況です。
 それから、まあ治療よりも予防という方向の転換もありますけれども、今のようなことはきちんとして、それはこれから高齢化社会になって、例えば義歯、入れ歯ということのこの需要も高まりますし、また治療ということは当然行われないといけない。その根幹である技士の方々の不足ということを来しては駄目だと思いますんで、これ、長期的な観点からも今医療ビジョンを作成し直そうと思っていますんで、そこでもこれはきちんと取り上げさせていただきたいと思います。

○櫻井充君 ありがとうございます。
 いずれにしても、この最大の問題は、医療費をずっと削減し続けてきたこと、抑制し続けてきたこと、必要なところに結局はお金が付いていないことが原因なんだろうと、そう思います。
 ですから、これ総理、改めて総理の御決意を僕はお伺いしたいと思いますよ。後で自民党の議員もいかに医療費が圧縮されてきたかということをこれ質問されますけれども、もうそういう時代ではないわけです、これは。これは与野党関係なしに取り組んでいかなければいけないことだし、先ほど総理は経済財政諮問会議の言いなりにならないんだと。経済財政諮問会議は公的給付を抑制しろばっかり言ってきているわけです。こういう声を聞かないで、本当にもう一度見直していただいて、医療費を大幅に増額していただきたいと思いますが、総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(福田康夫君) 医療費の重要性というのは十分認識しておるつもりでございます。日本の限られた財政事情というようなこともございますから、それは、じゃ幾らでも増やさなければいけないという、そういうことに直結するわけじゃありません。全体のバランスを見て考えていかなければいけないと思います。
 しかし、医療、今は、今は世界一の長寿国だ、しかし、来年、再来年どうなのかということもあります。やはり将来、そういう水準というものを、良い医療の水準を維持できるかどうかというのは、やはりこれも考えていかなければいけないということであります。ただ、この医療費を予算を増やすとかいうことになった場合に、国民の負担はどのぐらいになってくるかということも当然考えなければいけないわけでありますので、そのバランスも取らなければいけない。
 そういう意味において、ただいま社会保障についての検討会議を開催いたしまして、これは国民会議と私ども申し上げておりますけれども、各般の方々にお集まりいただいて、将来の社会保障、もちろんその中に医療もございますけれども、そういうものはどうあるべきか。当然、負担があるから負担との兼ね合いで考えていかなければいけないというのはこれ当然のことでございますので、そういうことについて十分な議論をしていただきたい。そして、早急に考え方を取りまとめて、それを具体化するというような手はずを整えておるところでございますので、でき得れば、そういうような議論について民主党の皆さん、野党の皆さんにも御参加をいただいて議論をしていただくというのがよいのではないかというように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

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