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怒りの大捜査線!

ハングタンは架空の存在であり、起こった事件や登場人物・団体はすべて架空のものです。絶対にマネしないでください。
あと、過度な期待はしないでください。

ハングタンの一員、ホワイトこと白澤美雪は盛岡駅でアローこと斉藤葵と葵の叔父でブルーこと斉藤勲、そしてスティングこと原俊彦と食事をしていた。
「南部小麦で作ったパスタだ、うめぇだろ」
スティングは自慢していた。それをおいしそうに平らげるホワイトとアロー。
「やっぱり岩手の小麦粉は世界一ぃぃぃぃ!」
「社長」
スティングはブルーのことを「社長」と呼んでいた。ショパンこと横田夏子に「先生」と言うのと同じだ。
「小岩井のホワイトソースのカルボナーラなんて、幸せよね」
「うん」
「そう言ってくれるとありがたいな」

そしてブルーはホワイトとアローを帰り荷として運ぶことにした。
「んだらな」
「じゃ」
「原さん、ごちそうさまでした」
スティングはブルーのワゴンを見送ってからIGRの駅の方へ歩いていった。

ブルーのワゴンが都南方面に差し掛かったとき、ブルーは三人組に気がついた。
「ありゃ、ありゃ確か…」
「おじさま知ってるの?」
「昨日の臨時集会で色々言ってたからな」
ブルーは実は穀物投機詐欺事件の被害者の会に協力していた。この詐欺のせいで自殺者が出るなど、全国で問題になっていた。そして岩手県内でも小麦の増産などの触れ込みで詐欺の被害に遭った人がいるのだ。
「ちょっと降りる。葵は待ってケロ」
「了解」
ブルーは三人組の密談を立ち聞きした。どうやら投機グループははじめから岩手県民を騙すつもりでいたらしい。
「もう我慢ならない、こうなったら訴えるだ」
「あたしも訴えるだ」
三人は投機グループの詐欺の被害を訴えようとしたのだ。それを知ってブルーは考え込んだ。
「宮田さん!お願いしますよ」
「宮田さん、あんたは中村議員ともつながりがある。なんとかなりませんかね」
二人の男女がもう一人の宮田と言う男に土下座した。
「中村先生にも色々話をしてきましたけどね、どうも聞く耳を持たないんですよ」
ブルーは驚いた。中村議員と言うのは比例選出の農林水産族議員、そして宮田と言うのは中村の私設秘書だった。
「与党の農政の出鱈目、ここにきわまれり…」
ブルーはそうぼやきながらその場を立ち去った。だが、そのあと事件が起こった。宮田と別れた二人の男女は知事に直訴をと言ったところで数人の男たちに囲まれてしまった。
「知事に掛け合うだと?いくら直訴したって無駄だ」
「なぜだ」
「こういうことさ」
二人の正面の男がサングラスを外した。
「…お前は、ライスインベストの」
「太田さん、後藤さん、あんたたちの訴えを仮に知事が聞いたとしても、政府は聞き入れないと思いますがね」
そして男は太田を刺した。後ろにいた男は後藤を絞め殺し、後藤の左手にナイフを握らせた。
「兄貴、先生に連絡を」

翌朝、ショパンとマッキーこと牧村環はご飯を炊いていないことに気付いた。
「環、どうしたのよ」
「ちょっと酔っ払って」
ショパンはマッキーを叱った。ちなみにウイングこと高橋弥生は大会が近いため合宿中だ。
「ま、二人分だからいいけど。でも輸入穀物への投機で円高差益相殺、なんて話聞くと憂鬱よ」
「日本酒だよ、日本酒。日本酒は純国産だから。地産地消、はい」
そう言ってマッキーは食い物を用意した。純米酒にせんべい、県産米を使ったコンビニのおにぎり、岩手の水、スティングの家庭菜園の野菜、朝市で買った魚…
「これで一人前」
「でも大変よね、生徒たちの家も」
「授業料半端じゃないのに、食費払わされたら大変よ。鬼畜欧米のバッキャロー!!」
「欧米かい!?」

盛岡学園では高等部と中等部の生徒たちが家の節約自慢などを話していた。通学はバスやIGR線にしているという生徒、自転車だったら運動にもなるだろという生徒、早寝早起きでテレビをつけない日を設定している生徒など。
そんな中ゴッドである理事長の大谷正治はブルーを呼び出した。昨夜太田と後藤と言う男女が無理心中を図ったと言うのだ。それを知ったゴッドがブルーに電話をして、理事長室に呼び出したと言うわけ。
「なぜあの時最後まで三人の話を聞かなかった。そうすればこんな惨劇は起きなかったはずだ」
「…」
そこへハングタンたちがやってくる。ショパンはブルーから状況を聞いた上で太田と後藤は盛岡学園の生徒の親だと言う話をした。
「太田さんと後藤君の親を殺された気持ちを察しなさいよ」
そう言ってショパンはブルーに冷たく当たった。
「この仇はわかってるんでしょ?」
「ん、だども相手がおっきすぎる」
「えっ?」
「国会議員の中村勇だ。盛岡出身の農水族」
そしてゴッドが中村勇と私設秘書の宮田圭一について説明する。中村が農林水産省の幹部時代にWTOミールポート構想に関わったのが宮田、しかしWTOサミットが決裂したことでこの構想は頓挫した。それでもあきらめなかった中村は与党の国会議員として農業特別委員会の委員になるまでにのし上がった。
「ま、典型的な岩手人の性格だ。いくら踏まれても這い上がってくんだ」
よそ者(新潟人)であるショパンとマッキーは理解できなかった。が、ゴッドの説明は続いた。
「国会議員になるにあたり、選対総責任者となったのが宮田だった。元は農協の人間だったがリストラされ、国際農作物ファンドの日本営業スタッフになっているらしい」
「国際農作物ファンド?」
国際農作物ファンド、これこそが今回の事件の本質である穀物投機詐欺事件の引き金だ。岩手県内でも生産者や主婦が騙されたと言うらしい。だが詐欺事件はしたたかな連中のやることだから発覚しにくいのが現状だ。
「つまり、国際農作物ファンドの裏を探ることで今回の殺人が一連の詐欺に関連しているという確証と、中村議員がシロかクロかの裁きをというわけだ」

ゴッドの命令を受けたブルー、そしてハングタンたちはただちに行動を開始した。ショパンはさっそく盛岡駅のバスプールでスティングから警察の情報を聞いていた。
「殺されたのは太田利美58歳、農業。それから後藤あけみ49歳、主婦」
「それくらい知ってるわよ。警察は心中だとか言ってるけど、どうなのよ」
「事件の可能性もあると言ってるけど、まぁ警察の事なかれかな、今回は国会議員がらみだろ?」
「そうよね」
「だから僕は今までに被害届のあったところを注意深く取材してくる。まずは岩手町の石川さんと…」
そう言ってスティングは急いで新幹線の出る2階へと走っていった。一方マッキーとホワイト、それにエースこと荒川まどかは中央通にある中村勇の盛岡後援会事務所へ。そして宮田に会いたいと言ったが、宮田は出かけていると言う。どこへ行ったかと聞かれても後援会長の村田さんと岩山でゴルフと言う答えしか出なかった。
「村田後援会長…村田」
マッキーは勘を働かせた。村田といえば盛岡学園の理事の村田明宏かも知れない。すぐにエースがゴッドに宮田が村田と言う後援会長と岩山でゴルフをしているという話を電話で伝えた。
「何だって!?中村議員の盛岡後援会長の村田といえば理事の村田君だ。大変なことになったぞ」
「もし手違いでもあったら…」
「その場合は残念だが君たちには退学してもらう。もちろん横田君、牧村君にもだ」
ゴッドの非情な宣告にエースはプレッシャーをかけられ、凍り付いてしまった。
「まどか?」
ホワイトが声をかける。しかしエースは何も言おうとはしない。とりあえず岩山にある盛岡岩山カントリークラブへ行くことにした。

盛岡市の西にある岩山。岩山展望台、岩山パークランド、盛岡市動物公園がある。
「しかし大変だよ、ここはどこの細道じゃ~」
そしてカントリークラブ到着。宮田圭一と村田明宏は16番ホールでゴルフを楽しんでいた。そこをマッキーが激写、しかし宮田と村田のほかにいる男についてはわからなかった。この中に太田を刺した男がいた。

スティングは岩手町で石川から詐欺の実態を聞くことに。しかし詳しいことは知らないの一点張り。
「心当たりはありませんか?」
「あるわきゃね、主人の遺産みんな取られちまっただ」
「畑を抵当に取られたわけですか」
その畑を見てスティングは何かしようと鍬を持ったが、そこへいかつい男がやってくる。この男は後藤を絞め殺した男だ。
「ここの家も差し押さえにしますよ」
「とんでもねぇ」
そしてスティングは持っていた鍬で男に襲いかかったが、逆にぼろくそにやられてしまう。
「だ、誰だお前は。大事な土地をみだらに売り飛ばすな」
男は突然スティングに名刺を渡した。針生産興という会社の井上武行と書いてあった。

カントリークラブで宮田たちを待っていたマッキーにショパンから連絡。スティングが岩手町の石川さん宅で針生産興の井上と言う男に殴られたと言うのだ。
「えっ?それじゃどうすんのよ」
「中村事務所には何か罠張ったわよね」
「うん、まどかが電話してた間にいろいろ」
「じゃ大丈夫。あとは葵ちゃんにやってもらうから」
「岩手町ね」
マッキーは車を飛ばして岩手町へ、それと入れ違いにブルーのワゴンが岩山に到着したのは25分後だった。
「ごめんごめん、仕事ほっとけなくて」
「こっちだって仕事でしょ。名誉挽回の」
「んだんだ。で、今宮田はどごさいる」
ホワイトが宮田を指差した。ちょうど宮田たちは18番ホールをホールアウトしたばかりだった。
「宮田の隣は農協の幹部の佐藤、そんで…」
「村田さんです。うちの学園の理事をやってます」
「なんと!なしてそんなんが」
「村田さん、中村先生の後援会の会長なんです」
「はぁ、だからオラへにも中村のビラがはさまってたわけだ」
ブルーは納得した顔だったが、こうしてはいられない。さっそく宮田と村田に接触しようと考えた。しかし取り巻きの男たちに殴られた。
「さすがのブルー必殺タックルも…ダメだぁ」
ただ、ホワイトとアローは前もってトランスミッターを用意しており追跡はできるようになっていた。

沼宮内病院で治療を受けたスティングをマッキーが出迎えた。そしてマッキーは理事が事件に関与しているのではないかと不安をもらした。
「でも、そんなことだってある。もしかしたらそうしないと生きられない…かもね」
「えっ!?」
「農林水産省の官僚上がり、そして農協や穀物相場関係者、そういう人たちが持ちつ持たれつでやってく中に入ることで、何らかの利益があるのかな」
「…そりゃあるでしょ。食品とか酒とかスーパーとか」
「確か村田さんは商店会連合の理事長をしていたな。商店会の生き残りのために悪魔に魂を売った、か…」
「どういうこと?」
「確か岩手によく進出するスーパーチェーン、あそこのCEOは国民党の前の代表の兄貴なんだ」
「それで与党の地元議員に加担かぁ」
「でもわからないんだ。選挙資金のために詐欺を働くか?考えても見ろ」
マッキーはスティングの言い分がわかった。つまり選挙民を減らすようなマネを考えたりはしないだろうということだ。
「中村議員、そして村田さんは悔しいがシロかも知れない」
「そんな」
マッキーは今回のターゲットがシロだと言われたことに憤りを感じた。しかしスティングはまだ痛むみたいで、それ以上の説明をしなかった。

夕方6時、清水町にあるショパンのマンションの駐車場に中等部の3年生の山崎健太が立っていた。ショパンが中等部のテノールのリーダーに指名した生徒である。
「健太君、どうしたの」
「…パパが、パパが」
そして1階にある大谷の部屋、つまりハングタンのアジトへ。ここで健太は父親が半年前に海外の穀物を買ってリッチになれるチャンスと言う煽り文句に騙され、250万円の損害を出したことを話してくれた。
「で、パパが家帰ったら腕を切るようなことしてた」
マッキーはすぐさま健太の家へ急行、ほかのメンバーはここまでの状況報告。まずはエースが仕掛けた中村事務所の話だったが、これと言った手がかりなし。アローの仕掛けた宮田の車のルートは市内の料亭で止まっていた。そしてスティングは岩手町で詐欺の被害に遭った生産者が、針生という会社に土地を乗っ取られた話をした。
「詐欺のついでに土地乗っ取り。針生産興、許さん」
スティングは怒りのあまりテーブルに強くこぶしをたたきつけてしまった。
「針生ですか。確か盛岡支店は南大通、目と鼻の先です」
「じゃあ資産について相談するふりをしてください。僕ちゃんがフォローしますよ」

そしてブルーとアローが針生産興盛岡支店に足を運ぶことになった。ところがそこにパン屋の主人が押しかけてきた。
「石井さん、せめて元金だけでも」
それを見たアローはパン屋の主人を諌めた。
「やめて、お願い!」
パン屋の主人はブルーに押さえ込まれた。
「なしてだ、なして石井って人恨むだ」
「そうよ。恨みからは何も始まらないわ」
そしてパン屋の主人はショパンの部屋で詐欺のことを話した。実は半年前に高騰する小麦粉を安く買う方法のノウハウとして、ファンドのことを知ったらしく、そこで石井という針生産興の社員に会った。そして運転資金をファンドに回したが、アメリカの恐慌ですべてがパーになったと言うのだ。
「悪いのはアメ公じゃん、やっぱり」
「めったなこと言わないの。でも元本の倍以上の損失で、店は閉めたんでしょ」
主人は泣きながら首を横に振った。どうしてもパン屋はやめないつもりだ。

山崎家に到着したマッキー。しかし時すでに遅く、健太の父は左腕の動脈を…というところをなんと偶然来ていたバトラーこと国分繁治に助けられた。
「あれ?国分さん。どうしてここに」
「ゴッドがここだって教えてくれたんだ。間一髪だったね」
バトラーはゴッドから盛岡学園の生徒の親で被害に遭ったと確認された山崎昭夫の家を調べろと特命を受けていた。もしかすると大事な生き証人になるからだ。
「生き証人の一人もいないと、この戦いは泥沼にハマリますからね」
そして健太は父に泣きついた。それを見たマッキーとバトラーは微笑んだ。

そして作戦会議。スティング、ブルー、ショパン、マッキー、バトラー、アローの6人が参加した。
「よし、針生産興に討ち入りだ」
「ちょっと待て、まだ中村先生と村田理事が完全にシロとは言えない」
「そうなのよね」
しかしバトラーは違った。中村と村田は宮田に唆されていたと言うのだ。
「宮田が?」
「そんな馬鹿な」
しかしスティングは針生産興に来たときのパン屋の証言を思い出した。石井が投信顧問として宮田圭一と言う名前を出したというのだ。
「宮田圭一は元々経済新自由主義の悪しき副産物だったんだよ。それが…」
「山崎昭夫の念書もしっかりチェックした。しかしあの石川っておばあちゃんは気の毒だったな」
「あぁ」
バトラーはさらに中村代議士がこの一連の詐欺に関する騒動が元で最近議員会館で塞ぎこんでいるという情報をキャッチ。中村は事件に加担できる筈がないと言った。
「こうなると中村代議士が辞退して宮田が…やはり選挙資金稼ぎか?」
「違うな、ただの選挙資金稼ぎでは訴え出るような騒ぎにならない。これはマッキーにしかしゃべっていないが、票田を間引くようなマネは普通しないだろ?」
「むしろ訴え出る人間が現れたことが選挙活動に影響する。そのために宮田は懇意にしている針生産興に協力をお願いした」
「じゃあ村田さんは?」
「カモフラージュだ。中村代議士が自閉症なのもな」
「すべては宮田さんが悪いのね。有紀ちゃんのお父さんや智志君のお母さん、それに何人もの人が宮田さんのせいで…」
ショパンは泣いてしまった。それを見たスティングはハンカチを差し出す。
「先生に涙は似合いませんよ。生徒たちも一緒になって、みんなであいつらをぶったたきましょう!」
そして「ザ・新選組」を助っ人に迎えたハングタンは出陣した。

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