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札幌・円山生活日記

【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ~北海道立近代美術館~

旧来の繊細優美なイメージの日本画とは一線を画する作品を集めた「【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ」。戦後の社会や価値観の大きな変革の波にさらされ日本画滅亡論さえ唱えられ時代に独自の革新的なアプローチで生み出された日本画の数々を展示する特別展が「北海道立近代美術館」で9月16日(土)~11月12日(日)までの会期で開催中です。

本日は「北海道立近代美術館」で開催中の「札幌テレビ放送創立65周年記念 【特別展】足立美術館所蔵 近代日本画と北大路魯山人展-和の美、再発見。」に続いての「【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ」の鑑賞です。同時に「アール・ヌーヴォー 自然を映しだすガラス」「アートギャラリー北海道 小川原脩記念美術館コレクション展」も開催されています。「展示室B」で特別展が開催されている際には「展示室A(1階・2階)」では所蔵品展が開催されている場合が多いのですが今般は特別展の同時開催です。更に2階では別の展示もある忙しい鑑賞日となりました。少し盛りだくさんだったかも知れませんが共に見応えある特別展二つの同時開催は贅沢でした。

「北海道立近代美術館」東門。

戦後、日本画滅亡論さえ唱えられ、社会や価値観の変革の波にさらされながら、日本画家たちはリアルで強靭さをそなえた絵画表現を求め、赤裸々な生のあり様や時に凶暴な自然を凝視したり、現代美術に刺激を受けつつ伝統的な素材や技法を見直したりしてきました。とりわけ独自で革新的なアプローチで生み出された作品は、旧来の叙情性ゆたかで繊細優美なイメージの日本画とは一線を画する表現で、観るものの心を強く揺さぶり、日本画の枠組みそのものさえ揺さぶるインパクトを放っています。
本展は、そうした表現の数々を、戦後、個性的な画境を切り開いた岩橋英遠(1903-99)や片岡球子(1905-2008)をはじめとする北海道立美術館・芸術館コレクションと豊橋市美術博物館のコレクションを中心にご紹介します。豊橋市美術博物館は、反骨の画家・中村正義(1924-77)をはじめ、三上誠(1919-72)や星野眞吾(1923-97)などの日本画革新の動向に棹さす優れた画家の作品や、既成概念にとらわれない“明日の日本画”を公募する「トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞」(1999〜)の受賞作を数多く所蔵しています。1960年代から今日までつづく日本画創造の歩み―その優れて鮮烈な一端をご紹介します。


展示会場入口。「展示室A」1階で「【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ」が開催され幾つかのサブテーマで作品がまとめられています。写真撮影NGなのでネット等より借用したもので展示作品の一部を紹介します。また2階で「アール・ヌーヴォー 自然を映しだすガラス」「アートギャラリー北海道 小川原脩記念美術館コレクション展」が開催されており写真OKでした。

【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージ

(生を見つめて)

星野眞吾《人体による作品》1966年、豊橋市美術博物館蔵。魂が千手とともに昇天するような荘厳で宗教画を思わせまる作品。生と死がこのコーナーの共通テーマのようです。 

大森運夫《ふきだまりⅡ》1962年、豊橋市美術博物館蔵。


菊川多賀《ひとつの記録》1977年、北海道近代美術館蔵。運命に翻弄され漂うかのような人たちの流れる髪が印象な作品。


 三上誠《灸点輪廻・黄土》1966年、豊橋市美術博物館蔵。

(自然との孤高の対話)

岩橋英遠《彩雲》1979年、北海道立釧路芸術館蔵。

(反骨の画家ー中村正義と片岡球子)
「日本画壇の風雲児」と呼ばれた中村正義や大胆・奔放で個性的な片岡球子の作品を集めたコーナー。 
中村正義《男と女》1963年、豊橋市美術博物館蔵

中村正義《源平海戦絵巻 第二図(海戦)》1964年、東京国立近代美術館蔵。

中村正義《源平海戦絵巻 第三図(玉楼炎上)》1964年、東京国立近代美術館蔵。映画『怪談』のために小林正樹監督からの依頼で描かれたいう「源平海戦絵巻」5部作の2点。圧倒的迫力です。 

中村正義 《うしろの人》1977年、豊橋市美術博物館蔵。52歳で亡くなった年に描かれ死を予感させる気配を放つ作品。この辺りが1階のハイライトでしょうか。
 
片岡球子《死火山(妙義山)》1966年、北海道近代美術館蔵。
片岡球子《面構 浮世絵師歌川国芳と浮世絵研究家鈴木重三先生》1988年、北海道近代美術館蔵。片岡球子が2008年103歳で没するまで描いた「面構」(つらがまえ)シリーズの一つ。

(逸脱する日本画)
千住博《ウォーターフォール》1998年、北海道立釧路芸術館蔵。

田中武《裏側(十六恥漢図シリーズ)》2011年、豊橋市美術博物館蔵。SNS上で女性蔑視ではないか等様々な意見が飛び交った作品。美術館側の見解は「揺さぶる絵展と田中武氏の作品《裏側(十六恥漢図シリーズ)》について」として公開されています。


【アール・ヌーヴォー 自然を映しだすガラス】

自然をインスピレーションの源泉としていたエミール・ガレ(1846–1904)が活躍したアール・ヌーヴォー期を中心に、多様な自然を映し出したガラス表現をご紹介します。

ガレ工房《草花文ランプ》1904年-14年頃。
ルイス・コンフォート・ティファニー《ランプ・きばなふじ》1900-10年頃。
エミール・ガレ《ガラス工場風景文花器》1900年。

【アートギャラリー北海道 小川原脩記念美術館コレクション展】


北海道洋画壇に大きな足跡を残した画家・小川原脩(1911–2002)。故郷であり戦後、終生の制作の地とした倶知安には小川原脩記念美術館が立ち、画家の画業を伝えています。本展では同館のコレクションを中心に代表作を展覧します。
小川原脩《男と白鳥》1939年。
小川原脩《雪》1940年。シュルレアリズムを感じる作品。
小川原脩《郡化社会B》1974年。戦後の“民主化”と高度成長期を経た日本を犬の群れに例えたとする作品。
小川原脩《チベット賛歌》1982年。チベットを取材して描いた作品。自然と動物とが共生する社会を牧歌的に描いています。
小川原脩《渡し船‐漓江》1979年。中国南部の都市・桂林を取材した際の作品。

以上で本日の「北海道立近代美術館」の鑑賞終了です。お疲れ様でした。ありがとうございます。
「北海道立近代美術館」西門から地下鉄東西線「西18丁目駅」へ向かいます。

門脇には《ヒメリンゴ》の木に実がたくさん成っていました。

【特別展】揺さぶる絵 変貌する日本画のイメージほか
会期:2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)
会場:北海道立近代美術館(札幌市中央区北1条西17丁目Google Map
時間:9:30~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日:月曜日、9月19日(火)、10月10日(火)
 ※ただし、9月18日、10月9日、11月6日は開館
観覧料:一般 800円(600円)高大生 500円(300円)小中生 300円(200円)
未就学児 無料(要保護者同伴)
※( )内は10名以上の団体料金
※リピーター割引料金:当館または他の道立美術館・芸術館で開催された特別展の半券の提示で、( )内の料金で観覧できます
TEL:011-644-6882
(2023.10.9)

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