今週の【なるほど!】本
タイトル:『ウェブ進化論』~本当の大変化はこれから始まる~
著者 :梅田 望夫
出版社 :ちくま新書
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■どんなひとが書いたの?
東京大学大学院情報科学修士課程修了。
アメリカ、シリコンバレーのコンサルティング会社「ミューズ・アソシエイツ」社長。
昨年春に株式会社はてなの取締役に就任。
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■どんな内容なの?
インターネットが登場して10年、「半導体性能は1年半で2倍になる」というムーアの法則が40年も続いてきた結果、
「チープ革命」起こり、文章、写真、語り、音楽、絵画、映像、ありとあらゆる表現行為を世界中すべての人に無料で手にする総表現時代がやってきた。
Googleのような検索技術の革新により、玉石混在のネット上から「石」だけをふるいよけて「玉」だけを見つけ出す技術も進み、混沌の時代は終わりを告げ、既存のメディアの権威が揺らぎ始める。
今まで既成権力に守られていた情報と知識も瞬時に伝播され、模倣され、吸収される。
誰でもセミプロになれる時代が到来した。その中での真のプロフェショナルとは何か?概念の再構築を著者は問う。
「気づいたときには、色々なことが大きく変わっていた」あとから我々はそう実感するだろう。
知識レベルでの革新は目には見えないため、多くの人が気づかない。
Web1.0が楽天のように旧来のビジネスモデルをインターネットの世界に持ち込んだだけに過ぎないのに対して、Web2.0とは、インターネットを前提にまったく新しい概念、サービス、ビジネスモデルを創出することを示す。
今まで出版社は、ベストセラーのみで収益を得ていたが、アマゾンはその概念を覆してしまった。売れない本(ロングテール)を広く売ることで収益を得る(塵もつもれば山となる)という新しいビジネスモデルを構築した。
Web2.0には富の再分配という側面もある。
この国ではアフェリエイトで稼げてもせいぜい10万円。しかしグローバルな視点からみるとこの10万円、発展途上国では莫大な額となる。
Googleはこのことをもって「世界をよりよき場所にする」と標榜している。
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■どんなところが「なるほど!」って思えたワケ?
●なるほど!その1 『Web2.0時代の身の振り方を考える』
「あいつは凄かった」なんて人は結構いる。でも昔は表現する手段が少なかった。
これからはそんな凄い人たちが大挙して表現する時代が来る。
もはや大した技術や知識では勝ち残ることは出来ないだろう。
どうやってもデジタル化できない分野とは何だろうと改めて考えた。
●なるほど!その2 『富の分配の正体』
なんでも無料って少しネズミ講に似てる。
僕らにも確かに多くの恩恵があるわけだけど、Googleの資産は現在10兆以上、しかも5000人足らずで運営されている。
全員とんでもない大金持ちだ。アメリカという国の底力を感じる。悔しいけれど発想の違いが、これだけの格差を生む。
でも世界の6人にひとりはネットどころか電気も使えず、貧困に喘いでいる。悲しい現実だ。
●なるほど!その3 『ブログを活用しよう、溜め込むより無料放出』
日本の会社では、常に貴重な情報を持つものが権力者とされる。
Googleでは電子メールは使用せず、ブログを利用して情報を共有しているという。
上司から部下への指示も、幹部間の密談もフルオープン。
徹底した情報共有がスピードとパワーの源泉という思想は見習いたいところだ。
●こころに響く一節
実際にブログと書くという行為は恐ろしい勢いで本人を成長させる。
ブログは己の能力と生き様がそのままプレゼンされる。