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あかりの備忘録

日々の記録やおすすめしたいものを書いていきます。

山陰旅行その5。

2024-10-06 18:00:00 | 旅行
続いての目的地は、石見銀山。

事前に調べておいた情報を元に車を停めて、レンタル自転車を確保。
坂が多いとのことで、電動アシスト付きを選んだ。

まずは一番遠くの目的地、龍源寺間歩に向かう。
間歩、というのは銀の鉱石を採るために掘り進めていったトンネルのこと。
戦国時代から採掘が始まり、無数に掘られた間歩は1000ほどにもなるという。
落盤などの危険もあるので、中に入ることができる場所は貴重だ。

レンタル自転車は非常に快適で、まるで後ろから誰がが押してくれているかのように坂道をのぼる。
アシストがなかったら、途中で諦めて手で押して歩くことになっていたはず。

終点の駐輪場に自転車を止め、しばらく歩く。
やがて間歩の入口と、管理小屋が見えてきた。

ヘルメットを借りてかぶる。
危険性が低いから公開しているのだろうけど、念のため。
きっちり顎紐も留めて、いざ坑道内へ。

入口に立っただけで明らかに涼しい。
冷たい風が吹き出してくる。
夏の坑道内の温度は12〜15℃だそうで、30℃を超える屋外との温度差は大きい。
最初は涼しかったが、だんだん寒くなり、持っていた上着を着込んだ。
私にとって12℃といえば、12月の気温である。

進んでいくと、坑道の壁には鉱夫が掘り進んだノミの後が残り、鉱脈を追いかけて横に掘り進んだ樋追いや、排水のための深い縦坑を見ることができた。
当時は手掘りで進むしかなく、灯りもサザエの貝殻に油を入れたものに火を灯していたという。
私は夜目が効かない方なので、とてもそんな明るさで鉱脈を見分けることはできないだろう。

外に出ると、真夏の暑さが戻ってくる。

間歩の出入口には四ツ留と呼ばれる木組みがある。
坑道が崩れないように留めるものであるが、これは坑道内にも無数に作られた。
そして、銀山の周辺には精錬所や住居もたくさん作られ、大量の木材が使われたことから、この一体はハゲ山になってしまったという。
今回見て歩いたところは完全に森林に覆われ、ハゲ山だった頃の面影はない。
ぼんやりと長い時間の流れを感じた。

自転車置き場へ戻り、帰路に着く。

帰りはほとんどが下り坂なので、アシストはオフにして、ブレーキを握りながら降りていく。
歩いている人も多いので、ぶつからないように慎重に。
数日前に崖下に落ちた人もいる、と聞いたので、とにかくゆっくりを心がけた。

街並みが見える区域まで戻り、自転車を降りた。
返却時間を考えると、ひとつひとつの建物をじっくり散策する時間はなさそうなので、自転車を押したまま、ゆっくり歩く。
銀で栄えた大森のまち。
古い家のほとんどに幕府の直轄地であったことを示す「天領」の行灯が掲げられていた。



途中のお菓子屋さんで「げたのは」というお菓子を試食させてもらい、ひとつ購入した。
見た目に反してそこまで硬くなく、素朴な甘さの焼菓子で、かつて鉱夫も食べていたという。
それなりに口の中の水分が持っていかれるので、ぜひ飲み物と一緒にどうぞ。

お店はこちら↓

最後に、時間の都合で後回しになっていた世界遺産センターを見学して、この日の宿に向かった。

山陰旅行その6。に続く。