はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

環水平アーク。

2010-05-18 01:27:04 | アートなど
こちらは大気光学現象の話。

5月16日、日曜日の昼頃に、生まれて初めて環水平アークらしきものを見ることができました。
環水平アークとは、太陽と地面の間の空に水平に架かる虹色の帯です。
太陽の光の屈折で生まれる、いわば虹のようなもの。
しかし、ふつう虹は、太陽とは反対の空に出現しますが、この環水平アークは太陽と同じ方向の空に出現します。
しかも、環水平アークは特別な条件がそろわないと出現しません。

この大気光学現象の存在を知ってから、ぜひ一度観てみたいものだと長らく思っておりました。
太陽の同心円上に出現する内暈(22°のハロ)や幻日はよく目にしていたものの、環水平アークや、天頂付近に現れる環天頂アークは、そう簡単には見られないだろうと半ば諦めていました。

さて、16日の昼頃です。とうとう牡鹿半島でそれらしき現象に遭遇いたしました。

Rimg0760

(写真では肉眼ほどうまく再現できなかったため、若干補正を加え彩度を上げてあります。)

22°の内暈からさらに下、海と22°内暈の間に虹色の帯が見えています。
出現状況から見て、おそらく環水平アークではないかと思われます。
条件から見ても、太陽高度が高く、なおかつこの日は上空に寒気が残っていました。氷の結晶からなる薄雲ができていた可能性は高かろうと思われます。

せっかくですのでこちらに記念の記事を上げてみたという訳です。
次は環天頂アークの目撃を目指します。

大気光学現象については
こちらのサイト→「空の輝き」 や
こちらのサイト→「天空博物館」
で勉強させていただいています。
アークって何?という方はぜひのぞいてみてください。
オラファー・エリアソン好きなどには特におすすめです。


ここ最近観たもの(2010年上期)。

2010-05-18 00:53:04 | アートなど
ひさびさの更新。
今年は、まさかの異動やら何やらで怒濤の上半期を過ごしました。
少し落ち着いたので、観たものを一応メモ的に。

1月8日から10日:金沢1泊4日の夜行バス弾丸ツアー
金沢21世紀美術館の企画展、オラファー・エリアソン「あなたと出会うとき」
 オラファー・エリアソン展観たさに遠征した21世紀美術館。エリアソンは期待以上に素晴らしかった。3回観た。近くなら通いつめたであろうことは想像に難くない。金沢市民がうらやましい。エリアソンには数年前の原美術館の企画展「影の光」でノックアウトされ、それ以来のファン。大気光学現象好きにはたまらない。そのうち群馬もぜひ行ってみたい。

1月17日 映画「かいじゅうたちのいるところ」
 かつて予告編では『着ぐるみ?!』とのけぞったが、本編は実に丁寧に作り込まれた良作でした。かいじゅうたちの存在感がすばらしい。ハイテク着ぐるみとCGの幸福な融合。

1月23日、24日:東京横浜遠征
東京都写真美術館
 アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶
 カルティエ=ブレッソンの写真の本質はユーモアなんじゃなかろうかという印象を受けた。ネガシートのダイレクトプリントが非常におもしろかった。
 躍動するイメージ。石田尚志とアブストラクト・アニメーションの源流
 フィッシンガーとレン・ライの映像に釘づけになった。衝撃。
 日本の新進作家展vol.8 「出発-6人のアーティストによる旅」
 さわひらき作品目当てで足を運んだが、石川直樹の富士写真に出会えたのは大きな収穫。さわひらきは物語的予兆と静寂の同居。いつも見入ってしまう。石川直樹の富士山シリーズは、対角線上斜めに空を切り取った写真に釘づけになった。

横浜BankART studio NYK 東京藝術大学 先端芸術表現科 卒業|修了制作 2010
 東京藝術大学先端芸術表現科の展示。なかなかのボリュームだった。多様な作品。展示数が多いと観るのにもエネルギーを使う。文谷有佳里氏のドローイングが強烈に印象深く忘れ難い。
東京藝術大学大学院映像研究科新港校舎 メディア映像専攻年次成果発表会《Media Practice 09-10》
 個人的に注目し、この専攻が発足した年の夏から継続して見続けている展示。他ではあまりみられない表現が盛り沢山でつい見入ってしまいました。興味深く、いろいろ思うところも多かったが今年はメモが追いつかず。

東京大学総合研究博物館 命の認識
 東京大学博物館が収集してきた動物の骨格を展示した企画展。黒塗りのシンプルな展示空間。そこにテロップや説明書きはいっさい置かれず、鑑賞者は膨大な数の骨格という『命の痕跡』と向き合う。
 とにかくすばらしかった。禁欲的なまでに情報量を削ぎ落とすことによって、大量の骨格たちが自ら語りだすような状況を作り出していることに感動。膨大な標本が並ぶ空間は圧倒的な物質の存在感を放つと同時に静謐な空気を保っている。生命の痕跡、生命に向き合うとは何かを考えさせられる。もちろん比較解剖学の知識があるとさらに楽しめること受け合い。生物学に携わる方や生き物に興味のある方は必見、とさえ思った。会期をもっと延ばしてほしかったと切に思う。

銀座メゾンエルメス 小谷元彦展「Hollow」
 小谷元彦の立体作品展示。具象と抽象のはざま。観ていてざわざわする。独特の空気。個人的には抽象寄りのほうが好き。 newbornシリーズは東大の標本展示の後に観ると複雑な気分になる。

六本木 森美術館 医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る
 芸術と科学に興味を持つ身としてはとりあえず観ておかねば、と足を運んだ。現代医科学関連のアプローチが少し物足りなかったけれど、十分面白くボリュームのある内容でした。意外にもMAM project#10のカルレイネン「不平の合唱団」がものすごく面白かった。面白すぎてうっかり全部観てしまい、気が付けば時間切れ。

2月12日 映画「つむじ風食堂の夜」
 クラフト・エヴィング商會の作文担当こと吉田篤弘氏の同名小説が原作。とぼけた味わいの原作世界がどのような映像になっているのか興味を覚えての鑑賞。八嶋智人に頼り切った印象。生活感漂う実写映像だとどうしても野暮ったくなってしまう。もっと浮き世離れした感じで突っ走って欲しかった。あのテイストでやるなら芝居向きかも。美術や小道具は好きだったのだが。やはり私にとっての吉田作品の魅力は、小説の向こうにAZOTやクラウド・コレクターの世界がうっすらと垣間見えそうで、でも見えなくて、気配だけ感じるあたりなのだろう。映画は違うとわかっていても、AZOTの気配をどうしても探そうとしてしまう。

5月1日 映画「アリス・イン・ワンダーランド(3D)」
 監督と俳優と原作と3D技術確認目当て。それほど思い入れは感じなかった。たしかに立体感はすごいが目が疲れる。双眼顕微鏡で長時間組織切片を見たときの感覚に似ているかもしれない。 

5月8日 水戸芸術館 リフレクション―映像が見せる“もうひとつの世界”
 さわひらきとレストランのランチ目当て。行ってみると予想以上に濃い内容。4時間ほどみっちり鑑賞。それでも足りないほど。映像は情報量が多い反面、時間と表現が不可分という点で、鑑賞者にすべてを鑑賞させるためのハードルが芸術表現の中では格段に高いのだなということを実感した。
 八幡亜樹の「サーカス・テント・ブルー」は虚実不明の案配がとても面白かった。が、手ぶれ画面に酔ってトイレに駆け込んでしまった。二つの意味で印象深い作品となった。
 レストランはまさかの結婚式貸し切り。目的の半分は達せられず、無念。

この週末は、本当は山崎龍一の個展を観に遠征する予定でしたが、体調すぐれず断念。
会期内にぜひ足を運びたいと熱望しています。