aiubisの岡目八目のひとりごと

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民主党のマニフェスト

2010-06-19 | 国際・政治

数日前にメディアで報じられていた民主党のマニフェストをダウンロードして見て見た。ざっと見て気付いた点を書きとめておこう。

http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2010/data/manifesto2010.txt

1.「第三の道」について

Wikipediaの記事によると、「第三の道」というのは英国労働党のトニー・ブレア時代に主張した「市場の効率性を重視しつつも国家の補完による公正の確保を指向する」という政策を指すらしい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%89%E3%81%AE%E9%81%93

民主党の「第三の道」は英国のそれに比べると、市場の効率性を否定するようなイメージが強いような印象があるのが気になる。市場の力を利用せずにどのように経済成長できるのか疑問に思う。

この政策のブレインとしては阪大の小野善康氏(内閣府参与)がいるらしいけれども、「増税しても景気がよくなる」というのがあまりよくわからない。高橋洋一氏の「日本の大問題が面白いほどとける本」によると、精緻なモデルで経済学者にはファンも多いらしいが、オーソドックスなケインズ経済学と大して違いはないらしい。またしても標準的でない経済政策で経済運営がなされるということになればあまり景気には期待できないのかもしれないと思う。

2.金融政策について

ざっと見たところでは、金融政策に関する言及はない。財政政策を実効あるものにするには金融政策が不可欠という立場から見れば理解し難い方針である。民主党としては、日銀に任せているのでこれ以上は言わないということだろうか。以前から何回も言っていることであるが、CPIにはインフレバイアスがあるので、CPI1%程度では実質デフレの状態であることに変わりはない。日銀の人々は量的緩和はバブルを生み出したと言って本格的な金融緩和をしたくないらしいが、他の国が金融緩和を行いデフレによる経済へのダメージを避けようとしているときに、そのような考え方にどのような意味があるのかきちんと説明してもらいたい。バブル崩壊が問題なのは、人々が経済的に苦しむからであり、それは現在の日本の状態でも大きく問題になっていることだろう。「日銀貴族」には普通の人々の痛みは関係ないということだろうか。

3.郵政改革について

マニフェストでは、”「郵政改革法案」については、次期国会で最優先課題として速やかな成立を図ります。”と書いてあり、その成立を目指すことには変わりがないようだ。人気がない政策を強行採決で成立させると参院選に響くので、選挙後に通すということであれば、国民を軽視しているともいえるのではないだろうか。今回の「郵政改革」を見直すぐらいの気構えは持てないのだろうか。

4.年金について

「年金制度の一元化、月額7万円の最低保障年金を実現するためにも、
税制の抜本改革を実施します。」と書いてあるが、こうした政策はなんらかの年金数理上の根拠に基づいたものなのだろうか。以前年金のことを記事に書いたことがあるが、賦課方式の年金が少子高齢化に伴ってどうなるのかと言った基本的なことを検討せずに政策を考えても絵に描いた餅ではないのだろうか。参考までに以前の記事へのリンクを貼っておく。

http://blog.goo.ne.jp/aiubis/e/6be2d10092c7c4ff62f2258d9552ae97

http://blog.goo.ne.jp/aiubis/e/3848fa0c085c06f80cef4e4803723b1d

5.同一賃金・同一労働について

民主党マニフェストにある「同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇を均等・均衡にして、仕事と生活の調和を進めます。」というのは、同一賃金同一労働とワークライフバランスのことを言っているように思える。この政策は大賛成。社会保障制度が高齢者に手厚い形になっている日本では必要な政策と思う。また、高齢者も負担をするという意味で、中長期には消費税値上げも賛成。

6.交通政策

「自動車重量税・自動車取得税は簡素化とグリーン化の観点から、
全体として負担を軽減します。

高速道路は、無料化した際の効果や
他の公共交通の状況に留意しつつ、段階的に原則無料とします」

などとなっているが、これは米国などで実施されようとしている公共交通の強化・育成という方向とは全く反対のものではないだろうか。高速道路休日無料化でJRやバス・フェリーなどが被った被害を全く視野に入れていない。地球温暖化防止にも逆行するような政策である。以前からトヨタは民主党支持だったと記憶している。特定の業界の利害を反映していないか注意が必要だと思う。

ほかにも、放送・通信における規制緩和などは盛り込まれていないようだ。(検索してもヒットしない。)放送用電波のオークションなどは歳入の面からも規制緩和・産業の促進という意味からも必須の政策だと思う。書かれていることだけではなく、書かれていないことにも注意していきたい。

 

 

 

 

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