一次産品に先行して動くとされるバルチック海運指数(Baltic Dry Index)のチャートを紹介しておきたい。
http://www.investwalker.jp/shisuu/Baltic-Dry.shtm
投資を行っている人はこのチャートを見て今後のことをよく考えるべきだろう。
この指数の英語版Wikipediaの説明はこちら:
http://en.wikipedia.org/wiki/Baltic_Dry_Index
・貨物船は作るのに2年ほどかかり、大きなコストもかかるので船をあそばせておくことは困難であり、貨物船による海運の指標であるBDIは海運で運ばれる一次産品の世界的な需給を反映して値段が変動する
・また、これら一次産品は中間財や最終消費財の原料となるものが多く、将来の経済活動の指標ともなる
足元の景気は非常に悪く、日本の株式市場も弱含んでいるが、水面下ではこのような状況がうまれていることに注目したい。
話は変わるが、地球温暖化についての記事をメモしておきたい。IPCCに賛成・反対の立場からの専門家の討論を扱っている。
http://eco.nikkei.co.jp/column/emori_seita/article.aspx?id=MMECza000029012009&page=2
毎年相場に関する予言がネット上にも出てくる。今年の分も出てきているようだ。
http://moneyzine.jp/article/detail/123491
http://www.creditwritedowns.com/2009/01/byron-wien-ten-surprises-for-2009.html
私も以前の記事に書いているが、米国の10年国債の金利は上昇に転じており、3%を越えるレベルにまできている。(ここ数日は3%を下回っている。)巨額の発行残高による金利の上昇という見方もあるのかもしれないが、今までのサイクル通りに年末・年始に底をつけていることから見て、景気の底打ちに伴う金利の上昇と理解している。
日本企業のニュースは相変わらず暗いものが多く、リストラや赤字への転落などが多い。例外はあるのかもしれないが、居酒屋などもがらがらのところも多いように思う。しかし、普通の人々から見えないところで景気の底打ちは始まるもので、そこを見越して投資をしていかないと儲けることはできない。ここは我慢のしどころと思う。
NHKの「日本のこれから」が雇用をとりあげていた。正規社員の解雇規制が判例を通じて決まっており、正社員の解雇を行う場合、非正規の人々を切ったかどうか、新入社員の採用を抑えたかどうかが判断基準として確立しているようだ。要は、昔パートなど一家を支える人ではない人々が非正規として働いていたころの状況を反映したルールのようで、正規社員になりたくてもなれない人々や一家の大黒柱として非正規で働いている人がいる現状に対応した制度・慣習とはとても思えない。
また、番組の中でデンマークの例を紹介しており、正規社員も簡単にクビになるが、セーフティーネットがしっかりしており、収入の9割を最長4年間保障する制度があり、教育・研修も充実していていろいろな職を選んでいける様子が印象的であった。
ただし、番組の後半(初めのほうは見逃した)を見た限りでは、年功賃金の功罪については取り上げていなかったように思う。日本においては、バブル崩壊前からの年功賃金モデルが現在でもかなり残っており、成果主義の導入はあったにせよ、仕事の内容に関わらず給与が毎年あがっていく部分がまだまだ大きいと理解している。これは経済全体に対する影響が大きいのではないだろうか。
年功賃金については、企業ごとの特殊な技能・ノウハウを蓄積していって生産性が上がるのか、雇用が保障され給与が上がっていくから働く意欲がわくのか、はたまた単なる既得権益なのか、私にはよくわからないが、以下のWikipediaの記事にもあるように、一定の経済成長を前提とした制度であることは間違いないだろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E5%8A%9F%E5%BA%8F%E5%88%97
これは、日本において「同一労働・同一賃金」を前提とした給料、(これは職務給と呼ばれるようだ)が確立していないことと表裏一体の関係にあると思うが、弊害をもたらしているように思える。
一つは、正規雇用の労働者は、新卒で就職した企業、ないしは若いうちに転職した企業で働いている限り、一定レベル以上の給与をもらい続けることができるが、その職を失った場合、市場で評価される給与しかもらえなくなり、その減少幅が大きいという点である。企業の内部でも、文系の場合は専門家としての経験を尊重する処遇にはなっておらず、一旦職を失うことへの恐怖感・経済的損失が大きい。従って、一旦勤め先が左前になると、全てを失うような気持ちになり、自殺などが増えることにつながっているのではないだろうか。意識しているかどうかはともかく、そうした経済的状況は潜在意識の中には不安として認識されているので、消費も盛り上がらないということになる。
もう一つは、若者が非正規雇用にしかつけないため、十分な収入をあげることができず、家庭ももつことができない若年人口が存在することにつながっていることである。(大前研一のたしか「サラリーマン再起動マニュアル」に書いてあったと思うが、今の若い女性は結婚して貧乏な暮らしをすることはせず、男に一定の収入があがるようになるまで結婚しないようだ。)
こうして見ると、昔の制度が現在の低成長時代にそぐわず、安心をもたらす制度がかえって、不安と不景気をもたらしているように思える。世界各国の中で、日本ほど「国際化」に否定的な国は少ないというが、そういった意識もこういった経済環境を反映しているのではないだろうか。バブル崩壊以後も場当たり的な政策を積み重ねてきた結果がこうした現状につながっているのだと思う。
昨日の日経にも記事がでていたが、それについてネットで調べてみた。
以下の記事によると、Pacific Decadal Oscillation(北太平洋数十年変動 )というものがあり、5-20年の期間で温暖期と寒冷期が繰り返されているらしい。
水産庁の資料(中ほどの「参考資料1」を参照)
http://www.jfa.maff.go.jp/release/16.0519.01.htm
NASAの記事(三段落目を参照)
http://www.nasa.gov/centers/jpl/news/jason20081209.html
こういう記事を読んで、ネット上では、以下のようにもう地球温暖化は終わりというような意見もあるようだ。しかし、このPODという現象もその原因はまだ解明されてはいないらしい。
http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/7420225.html
NASAの記事からリンクを見ると、PDOのグラフがあり、5-20年の周期があるというものの、過去100年ほどの期間でもその持続期間は大きな差があるように思う(中ほどの”monthly values for the POD index”を参照):
http://jisao.washington.edu/pdo/
昨日の日経の記事でもIPCCの予測を擁護する専門家の意見が載っていたが、今後この「寒冷化」がどれくらい続くのかはよくわからないのではないだろうか。地球温暖化に対する対策は依然として重要だと思う。今後も専門家による情報発信を望みたいものだ。