透明人間たちのひとりごと

知らない幸せと知る不幸

 「必ずしも人間は理屈に合った行動をとるわけではなく、
むしろ間尺に合わない行動に出くわすことの方が多い」

「まぁ、感情の動物と呼ばれる所以だ」

 アイスティーを啜(すす)りながら1号 さんは続けます。

 「宝くじで億万長者になる夢を見る人も、落ちてくる隕石に
当たる心配や確率的にはもっとずっと大きい身近に起こる
事故にだって、自分は遭遇しないものと思っている」

 心理学の研究では、良いことは実際の可能性よりも高く、
悪いことは低く受けとめるのは万国共通の傾向で、一般的
な人間の典型的なパターンだそうです。

 1 傍から見れば損だと分かることなのにやめられない。
 2 過去の成功体験に期待をして時代遅れの方法論に
   いつまでも固執する。
 3 環境や情勢が変化しているのに、これまでの努力を
   無にしまいと現状を変えることに躊躇する。

 こうした心理や行動こそが、所謂(いわゆる)普通の人で
あることの証左のようです。

 
 そんな普通の人たちに、

 50%の確率で事故に遭うとしたら、アナタは出掛ける
それとも出掛けるのを控えますか

 さらに出掛けると50%の確率で良い事がある(たとえば
欲しい物が手に入る)としたら、どうしますか

 大抵の人は半分の確率で事故に遭うようなリスクは避け
ようとする傾向にあるようですが、それでも、半分の確率で
欲しいものが手に入るのだとしたらトライする気持ちに変化
するようです。

 そしてこれが、3割でも2割でも、たとえ1割から1分(1%)
の確率になっても、リスクを顧みない つわもの どもが
少なからず存在するのです。

 結局のところ、人間とは 「欲深い動物だ」 という
結論に落ち着くわけです。 

 そうした俗世的な物欲との柵(しがらみ)をとっぱらって、
心からクライアントの満足度を高めるには、いったい何が
出来るのかquestion2、それぞれの脳裏にしっかりと刻み込んで、
よくよく考えながら自分自身の仕事に励んでくれ … という
趣旨の訓告が我がボス1号 からあったわけですが …

 脳裏にしっかり刻む … ですか nose8 ase2

 記憶とは 「過去の体験や出来事を記銘し、保持し、再生
する働き、あるいは再生されたものをいう」 と世界大百科
事典(平凡社)にあります。

 記憶する機能は、銘記(覚える)、保持(貯蔵する)、再生
(想起する)に大別され、意識や意欲などの心的な機能に
支えられているのだそうで、言い換えれば、意識や意欲が
薄れていけば記憶力も減退するし、時間とともに保持する
力(貯蔵量)も減衰し減少していきます。

 ひょっとしたらアルツハイマー病や老人性認知症(痴呆)
なんかもこうした心や意欲のメカニズムとも関係している
のかもしれませんね。

 記憶力だけでなく、認知力も判断力も
、仕事に対する2号の行動力も …
ase2

 さて、一昨日(7月7日)、七夕の夜の NHKスペシャル
『運命の遺伝子』 を見て考え込んでしまいました。

 話題となった米女優 「アンジー(アンジェリーナ・ジョリー)
の選択」 から話を起こして、最新のガン治療に天才の解明
まで、「あなたは未来を知りたいかexclamation2」 と題するサブタイトル
を冠してゲノムの解析の変遷や唾液による遺伝子検査など
の日米における比較と実情、そして 将来起こりうる病気の
罹患確率に対するリスク回避の是非について等々 …

 概(おおむ)ね好意的なプロットで肯定的な筋立でしたが、
2号 の見解はゲストのひとりである樹木希林さんに近く、
やや懐疑的というか否定はせずともいくつかの懸念材料を
払拭できない以上なんらかの規制を要すという見方です。

 既に、ご存知だとは思いますが、

 乳がんのリスクを高める遺伝子の変異が見つかり、両方
の乳房を切除して、再建する手術を受けたと公表したのが、
「アンジーの選択」 と呼ばれるものです。

 この勇気ある 「告白」 が同じ悩みを持つ多くの女性たち
に勇気と啓発を与えたとされる一方で、遺伝子医療に潜む
論議も浮上し、新たな波紋を広げているわけです。

 全米最大級の乳がん対策のための財団では「遺伝性に
よるがんのリスクを知らない女性たちを啓発してくれた。
彼女たちの命を救ったと言っても過言じゃない」と手放しで
アンジーをたたえ喜んでいる様子なのですが、反面では、
遺伝子医療には大きな問題が隠れているのも事実です。

 検査の結果の良し悪しが、そのまま血のつながりのある
親族全体の問題となるうえに、社会的な偏見や不利益を
もたらす恐れがあり、個人情報の保護に100% の確信
が持てない限り、「検査をためらう人」 がいても不思議では
なく、新たな差別や選別の思想が生まれないという保証は
どこにもないのです。

 米国では2008年に、保険会社が遺伝情報に基づき、保険
加入を拒否することを禁じた遺伝情報差別禁止法が成立し
、日本でも、第三者への情報提供の制限などを盛り込んだ
指針が策定されましたが、果たして、どれほどのバリアーに
なり得るのでしょうか

 ニューヨーク・タイムズはアンジーに関する記事のなかで、
遺伝子変異を子どもに受け継がせない方法として、変異の
ない胚だけを子宮に戻す体外受精を紹介していましたが…

 これこそが本来の遺伝子医療の目的から外れたかたちで
より優れた人間 を生み出すという ヒトラーの亡霊
のような 優性主義 にもつながりかねないわけで、その
反響は生命に対する倫理観や神の領域に触れるタブー論
にまで波及しています。

 遺伝性乳がんの予防的切除の効果に懐疑的な2号は、
「アンジーの選択」 が報道されて後、日本でも予防切除が
明日にもできるような雰囲気になっている現状を危惧する
とともに、切除による死亡率の低下の実績や結果が明確
ではない段階で、発症もしていないのに切除をするという
考え方には、どうしても同調できないのです。

 アンジーの場合、乳がんになる確率は推計で 87%
卵巣がんは推計で 50% だったそうですが、予防切除
(両乳房の切除など一連の手術)により、乳がんの発症
する確率は 5% 未満に下がったとされています。

 この数字の信憑性とは、いかほどのものなのでしょう

 単なる 「気休め」 とは違うこと位は分かるけれど、
正常な乳房を取り去ることに値するほどのものなのかeq

 87%の確率だと、残り13%はなにごとも起こらない。

 100人のアンジーがいるなら13人は本物の乳房で天寿を
全うし、87人のうち約4人強のアンジーには乳がんを発症
する危険が付きまとうというわけですね。

 まあ、あくまでも可能性の話ですが …

 確率とは確実に起こる割合を示すものではありません。

 同一には語れませんが、地元、静岡では30年以内に
震度6弱以上の大地震に見舞われる確率は89.7%です。

 アンジーの例に倣えば、とっくの昔にもっと確率の低い
別の場所へと脱出を企てなくてはなりませんが、きょうも
静岡県では新しい家族を迎え入れているのです。

 symbol2 拙稿 『機械任せの他人任せ』 の記事に
寄せてくれた<バカボンのパパのパパ>さんのコメントに

  「死ぬことがきまっているのに生まれてくるのだ。
   矛盾だらけの世の中だけどそれでいいのだ!


 と、ありました。

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/275.html(参照)

 長かろうと短かろうと遺伝的に欠陥があろうとなかろうと、
それがその人自身であり、その人の人生そのものなのでは
ないでしょうかpeace

  
 「知らないでいる幸せ」 と 分かってしまったが
故に生まれる 「知る不幸」 があるという

 死ぬことが決まっているのに生まれてくるからには、きっと
そこには 「意味がある」 と考えたいものです。

 バカボンのパパ老子ディオゲネス
に匹敵する人物であると2号 は常々、思っていました。

 そのパパであるバカボンのパパのパパ さん

 は、キチガイ でも 場違い な人でもなく、

 間違い なく 哲人 ですね

コメント一覧

透明人間2号
スベったままじゃ申し訳ないので、一応ツッコミを入れますが、鉄人違いですよ。 28号さんではなくバカボンのパパのパパさん。

でかまる子さんの言うように、悩むくらいなら知らないほうがいいですよ。 映画も推理小説もストーリーがわかっていたらつまらない。 まあ、それと同等に語れるような問題ではないですが … 
でかまる子
昨日の夕方の報道特集でもアンジーと同様の選択をする日本人の実情を紹介していたけど、一番大切なのは、ガンのリスクから解放されるということだと思う。
ガンになるならないよりも、その心配をしないで生活できるという点が重要なのではないのかな?
知る不幸というか、知ることで悩むくらいなら、知らないほうが幸せだとは思うけど。
バカボンのパパのパパ
いやぁ~、照れるのだ!
じゃが、わしは28号ではないのだ!
サンドリアン
5月頃放送してた「100分 de 名著」の老子の時にドリアン助川も
バカボンのパパは老子の思想に通ずるようなことを言ってたな。
ココナン
まったく意義なし!
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