透明人間たちのひとりごと

作られたヒーローたち

 チリ北部コピアポ郊外にあるサンホセ鉱山での落盤事故で
地下700mに閉じ込められていた作業員たち全員の感動的
な救出から一週間が経ち、その舞台裏のいくつかが徐々に
明らかになってきました。

 当初よりピニェラ大統領の政治的なパフォーマンスが指摘
されていたわけですが、その是非はさて置くとしても見事な
救出劇であったことに異を唱える者はいないでしょう。

 穿って見れば、映画化される予定のタイトル 『LOS 33
に絡めると、「33」 という数字を「奇蹟の数字」 に仕立て
上げ、無理やりにでも 「奇蹟」 を演出しようとする意図が
見てとれるのです。

 少なくとも事故発生当初の混乱から生存が確認されるまで
の17日間にはさまざまなトラブルや衝突が作業員たちの間
に起こった事は想像するに難くないわけで、そうした修羅場
から、やがて一人の優れたリーダーのもとに秩序ある行動が
保たれたことが奇蹟を生んだと言うのならばともかくも …、

 それ以降は奇蹟でもなんでもなく、いかにしてより早く確実
に救出するかのミッションが粛々と着実に遂行されて、無事
に10月14日をもって救出が完了したと思われるのです。

 もちろん、そこには複数の救出プランに必要な技術の提供
を世界に訴え、ベストなかたちでの一連の救出プログラムを
素早く決定するといったピニェラ大統領の決断があったわけ
なのですが、『国は君たちを見捨てない』 との
チリの国内に対する政治的なメッセージとともに国外向けの
派手なパフォーマンスが介在していたことも事実でしょう。

 坑内に閉じ込められた作業員の人数は33人で、救出用の
特殊カプセル(フェニックス=不死鳥)を通すためのプランB
(脱出口)の掘削に要した作業日数も、工事関係者によると
33日だとか …、

 また、チリは敬虔なカトリック国家で、

 一般的にはキリストが十字架に架けられて昇天したのは、
イエスが33歳の時だったと信じられていて、映画のタイトル
『LOS 33』 (33人の人々) というのも、そのあたりを
十二分に意識している気がしてなりません。

 そもそも、「救出が始まった日付は2010年10月13日で、
西暦の下2けたの数と月と日を加えると33になる」 と当の
ピニェラ大統領自身が指摘しているわけで、ますます以って
《作られたヒーローたち》 であるかのように感じて
しまいます。

 1号 さんに言わせれば、彼らは、紛れもない ヒーロー
あるのにもかかわらず救出時のTV映像にはスポットライトを
浴びる大統領の際立った露出が別の思惑を想起させるとか
で …、

 本来ならば、奇蹟の生還を遂げた彼らは、イソップ物語の
ライオンと三頭の牡牛right 《団結は力なり》 的な教訓話と
して報じられるべきところが、自分の利益のためだけの行為
や行動を揶揄する 「農夫とリンゴの木」 や実を結ばぬ栄光
は虚栄でしかないとする 「御神木」 のような話に見えなくも
ありません。


  ――― 『ライオンと三頭の牡牛』 ―――

  三頭の牡牛が仲良く牧草地で暮らしていました。

  ライオンは牡牛たちを餌食にしようと狙っていましたが、
 三頭がいつも一緒なので飛びかかることができません。

  そこで、ライオンは狡猾にも誰が一番強いかとケンカを
 させることで互いの仲を悪くさせてしまいました。

  それから、めいめいが一頭ずつ草を食べているところを
 襲って食べてしまったのです。


 この話は、団結することが力になるとか、妬(ねた)んだり
騙(だま)しあったりするような信じられない関係にあるよりも
お互いに信頼しあって仲良く暮らすことが安全で快適な生活
につながるということを諭しているのでしょう。

 それは、生存確認がなされる前の限られたわずかな食糧
しかない状況下にあって、小さじ2杯分のツナの缶詰と牛乳
半カップの配給を決めるなどの分配制度を確立し、坑道内を
食堂や寝室など3つのエリアに区切る他にも坑内での作業
やレイアウトをリーダーである一人の指導者の指示で決定し
、全員がそれに従ったわけで、まさに団結こそが生きる力と
なったわけなのです。

 一方、地上に目を向ければ、生存の発表から救出予定日
までもがピニェラ大統領のスケジュールに合わせるかたちで
進行していたという報道もあり、一部においては情報統制や
メディア・コントロールが行なわれていたようでもあるのです。


    ――― 『農夫とリンゴの木』 ――― 

  農夫の庭に1本のリンゴの木があったが、セミやスズメ
 の住まいにはなっても実をつけることはまったくなかった。

  農夫は、この木を切り倒してしまおうと、斧を手にすると
 根元を豪快に切りつけた。

  「この木は自分たちの住まいなので切り倒さないで欲しい
 もし、この木を切らずにいてくれたならば自分たちは懸命に
 歌を歌って労働の慰めになる」 とセミやスズメは懇願した
 が、農夫はその願いに耳を貸そうとはせずに、二度、三度
 と斧を打ち込んだ。

  すると、木の洞から蜜がいっぱいに詰まったハチの巣が
 見つかった。

  農夫はハチ蜜を味わうと斧を放り出して、御神木でも扱う
 ようにリンゴの木の世話をするようになった。

  
          ――― 『御神木』 ―――

  古い伝説によると、ジュピターは樫の木を、ヴィーナスは
 ギンバイカ、アポロンは月桂樹、キュベレは松の木、そして
 ヘラクレスはポプラの木 … という具合に神々はそれぞれ
 ご自分の庇護する木を特別に選んだのだそうです。

  女神ミネルヴァは、皆がなぜ実のならない木を好むのか
 不思議に思い、選んだ理由をお尋ねになりました。

  するとジュピターは、「果実を得るために庇護していると
 思われるのは潔くないので、それを避けるためなのだ」 と
 お答えになりました。

  女神ミネルヴァは、「誰が何と言おうと、私には実のなる
 オリーブの方が好ましいですよexclamation2」 と仰るとジュピターは
 「我が娘よ。お前が聡明だと言われるのはまことであった。
  どんなに立派なことでも、それが実を結ばぬことならば、
 その栄光は虚栄と申すほかあるまい」 そうお答えになった
 ということです。

 個人的には、1号 さんならずとも、自作自演の政治劇の
主役はあくまでもピニェラ大統領であって、彼らはそのため
のプロパガンダに利用されたようにも思われますが …。

 果たして、皆さんはどう感じられたのでしょうか

 いまなお

 喧騒のなかにあるだろうと思われる33人の作業員たちは

 正真正銘正真正銘

 鶴瓶ピン子ビックリヒーロー

  au (英雄) by KDDI なのです
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