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中国潜水艦の侵入防げ 探知の切り札は国産哨戒機

2014-05-05 17:45:01 | 国際経済
自然八景



4月、沖縄本島の西にある久米島の北方海域。船からワイヤでつるされた物体が海中に投下された。

 「排他的経済水域内で同意のない調査活動は認められない」

 海上保安庁の巡視船は再三、調査活動の中止を求めた。しかし、中国の海洋調査船「科学号」は不当な調査を続けた。調査期間は半月に及んだ。

 自衛隊幹部は調査目的を「潜水艦の航行に備えたデータ収集だ」と語る。海底地形や潮流などのデータを集め、音の伝わり方を分析しておくことは潜水艦を進出させる上で不可欠だ。

 20年ほど前から中国海洋調査船は先島諸島周辺で活動を始めた。その後何が起きたか。平成16年に宮古・石垣両島の間を中国潜水艦が潜ったまま領海侵入し、駆逐艦は先島周辺から太平洋へ抜けるようになった。

 防衛省幹部は「海洋調査船が来れば潜水艦、駆逐艦の航行も時間の問題だ」と指摘する。それが沖縄本島周辺でも起きようとしていることを調査船の活動は暗示している。次に進出してくる潜水艦への備えは「南西防衛」の最重要課題だ。

 ◆米新鋭機と連携

 《潜没航行する中国潜水艦が日本領海に侵入。海上自衛隊の哨戒機や護衛艦が退去や海面への浮上を要求しても応じない》

 こうした事態は純然たる平時でも有事でもない「グレーゾーンの事態」と呼ばれる。事態を招かないためには、海底深く領海に忍び寄る潜水艦を早期に探知することが欠かせず、その切り札となるのが哨戒機だ。

 海自は純国産ジェットの新鋭哨戒機P1を25年3月から厚木基地(神奈川県)に7機置き、那覇基地への配備も予定する。

 P1の能力を現行のP3C哨戒機と比べると、飛行高度と速度は1・3倍、航続距離も1・2倍だ。レーダーの探知能力も向上し、日進月歩で静粛化を進めている中国潜水艦への対処能力を強化している。

 P1は、米軍が昨年12月から嘉手納基地(沖縄県)に6機を配備した新鋭哨戒機P8との連携強化につながることも強みだ。自衛隊幹部は「海自のP1と米軍のP8は開発段階から技術や機器について日米で情報を共有しており、相互に協力しやすい能力を備えている」と明かす。

 「日本国内のP8哨戒機が飛び立つ」。ヘーゲル米国防長官は4月、不測の事態にP8を積極投入する姿勢を強調した。

 海自は艦艇も増強し、現行47隻の護衛艦を10年後に54隻まで引き上げる。新造のうち2隻は潜没潜水艦の探知能力も備えた新型だ。

 ◆陸自新設部隊も

 防衛力整備の基本方針を定めた「防衛計画の大綱」(昨年12月に閣議決定)は、能力を強化すべき分野に「常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察活動」を掲げた。潜水艦は海自の16隻に対し中国は60隻にも上っており、常時継続的に海中を監視するには数をそろえる必要もある。

 大綱に基づき策定された、5年間の主要装備数量を示す中期防衛力整備計画では、(1)護衛艦(2)潜水艦(3)P3C(4)哨戒ヘリコプターSH60J-を延命させる方針だが、中国海軍に対抗する能力を維持できるかが課題だ。哨戒機能を持つ護衛艦艦載型「無人機」の導入も視野に入れている。

 陸上自衛隊も日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)に沿岸監視部隊を新設し、中国艦艇の探知に加わる。海洋調査船の活動拡大を受け、水上艦艇の展開も活発化するとみられ、監視部隊には「艦艇の挑発を防ぐため、最前線でチェックする監視機能」(防衛省幹部)が期待されている。





 4月19、20両日、与那国島への陸自配備に向けた起工と、航空自衛隊の早期警戒機E2C部隊の那覇基地配備が相次いで実現し、南西防衛強化が本格化した。具体的な事例に沿い、陸海空3自衛隊の取り組みを検証する。
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